透明な存在の不透明な悪意

著者 :
  • 春秋社
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本棚登録 : 156
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393331750

作品紹介・あらすじ

全国を震撼させた神戸小六殺人事件を宮台社会学が徹底分析。露呈したニッポンの病理に、「専業主婦廃止論」「教育の個人カリキュラム化」など過激な提言を叩きつける。本書は、神戸小六事件を踏まえた「緊急出版」としての性格を帯びている。

感想・レビュー・書評

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  • 周囲と同調して透明な存在の少年が悪に人を殺すという悪意の手段によって、透明な存在から解放され透明でない不透明なつまり、少年aとなる。これは、少年aだけではなく、透明な環境の少年がいつでも、不透明な悪意を持つということだ。これは、少年aの犯罪からも続く。

    宮台真司の社会学的アプローチによって、その主題にある透明な存在についてとその透明な存在が不透明な悪意について二つとも細かく分解されている本書は今後も役に立つだろう。

  • 酒鬼薔薇事件直後の二週間内に行われた談話や座談会、事件を踏まえた緊急出版。社会は何を防衛したのか、喪失の風景、専業主婦廃止論など。

    じゃあどうすればいいの?となったとき、専業主婦廃止、は具体的かつシンプル。

  • ※これ、メモ程度なので参考にしないでね。

    ニュータウンという不気味な町。大人たちががんじがらめにしいたレール。
    そんな環境で育った少年が犯罪を犯した。しかし、大人たちは、彼を「性格異常」として、美しき清き一般少年像を抱き続ける・・・。
    対談相手として登場する唐沢俊一・著『美少女の逆襲』を読んでみたいと思った。

  • 共同幻想と価値体系というのが大きい収穫だった

  • 内容は少し前の凶悪な少年犯罪事件から現代の闇に迫るみたいな感じなんですが。僕が最近驚いたのは学校裏サイトってやつで。そこで起きていることがこれまた厄介だと。著者と同意見だった部分はネット社会のことで。インターネットを使って悪口をいったり傷つけたりするのは実社会で弱者であるという話なんですが子供たちはまだ教室という狭い社会で暮らしているので自分が強いか弱いかさえもわからない。そこにきて裏サイトって。相当キツイ。しかも切ない。インターネットは楽しくなければならない。この本には家族とか心とか現代社会の歪みに言及しているけどあるノスタルジーからヌケ切れていない。ネットがなければこんな難しい時代はやってこなかったということ。だからこそインターネットは楽しくなければならない。とかね。

  • ¥105

  • 平たく言えば、この本で、宮台氏が常日頃唱えている「学校化
    ストレス」と「ニュータウン的状況」が、今回の事件の周辺要因となっていると述べている。
    この主張が正しいかどうかは確かめようもないが、この主張に
    したがって私自身の周りの状況を見てみると、非常によく周囲が見えてくる感じがある。

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著者プロフィール

宮台真司:1959年宮城県生まれ。社会学者、映画評論家。東京都立大学教授。1993年からブルセラ、援助交際、オウム真理教などを論じる。著書に『まちづくりの哲学』(共著、2016年、ミネルヴァ書房)、『制服少女たちの選択』(1994年、講談社)、『終わりなき日常を生きろ』(1996年、筑摩書房)、『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』(2014年、幻冬舎)など。インターネット放送局ビデオニュース・ドットコムでは、神保哲生とともに「マル激トーク・オン・ディマンド」のホストを務めている。

「2024年 『ルポ 日本異界地図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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