「結婚式教会」の誕生

著者 :
  • 春秋社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393332696

作品紹介・あらすじ

郊外などに忽然とあらわれるゴージャスな大聖堂は、なぜこれほどまでに増えたのか。ヨーロッパの教会との様式比較、宗教・歴史から、日本人の性と結婚、ブライダル業界の戦略まで、ウエディング・チャペルを徹底的に考察。メイド・イン・ジャパンの愛の聖地。信者なきウエディング・チャペルから現代日本のファンタジーを明らかにする建築文化論。

感想・レビュー・書評

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  • 0423

  • 第1章 結婚式教会とは何か
    第2章 祝祭のかたち―様式と比較
    第3章 いざ、「聖地巡礼」
    第4章 建築家と教会
    第5章 起源から現在へ―結婚式の歴史と空間

  • ☆あ、なるほど。ダイアナ妃、松田聖子か。

  • 結婚式というか建築の話。
    自分があげる会場が古典かゴシックか気になる…

  • 擬洋風から始まる日本人のパクリ文化。キッチュ。

  • 結婚をするための儀式とは、ということをさまざまな事例の物証をもとに暴いている。その物証とは、結婚式を挙げるための教会のこと。「暴く」というのは、日本の結婚式という風習や結婚式を挙げる場所がどれだけ特殊で、そして日本人がこの事実に違和感を感じていないかということについてを記していることだ。
    著者はこれらを肯定も否定もしない(建築様式的な間違いは指摘している。)しかし、この結婚式という一生に一度の日本人の祭事がどのような場所で、どのような宗教観・思想で起こっているかと言う事をつきつけることで、結婚式教会というものについての疑問を持たせるような視点を与えてくれる。

  • 地味でそれとは気づかない本物の教会と、
    結婚「宗教」として乱立する結婚式教会。

    信仰はなくとも、キリスト教の教会をイメージしたキッチュな建物に
    カップル(主として女性)がすいよせられる。
    ドレスの見栄えを最大限引き出すためのバロック的な階段など
    消費を促すために肥大化していく部分と、削られる部分。

    結婚式教会は非日常の空間として、ラブホテルと似通ったハードをもつが、
    同じく非日常な葬祭会館は、建築的にどういった変化をたどってきたのかが気になった。

  • 実際に結婚式教会を観察し、明治以来の本物の教会と比較し、現代における建築から読み解き、結婚産業からの視点を考察し、さらに日本人の儀礼に対する意識からも結婚式教会を検討していく。単に「結婚式教会」という建築に、これだけの背景が潜んでいるとは思わなかった。
    自分はもともと、まがい物というイメージのあるこういう教会に否定的だったけれど、これを読んだ上で結婚式教会を肯定するか否定するかと問われれば、一概にどうとも言えない、という気分になった。
    ラストの4章、5章が特に読み応えがあった。
    余裕があれば再読したい。

  • 内容については表題のとおり。結婚式のみを行う、「教会」と呼ぶのもアヤシイ教会についての考察。「ある意味では、結婚式教会はきわめて日本的な「宗教」建築といえよう」とはまえがきでの筆者の言。その成立までの過程、その意匠についての建築史的な考察とそこから導かれる「キッチュ」「ディズニーランダゼイション」「なんちゃってポストモダン」の概念。第四章がとても面白かった。第五章と入れ替えたほうが本としてはすっきりとオチをつけられたのでは。

  • 世界でも初めて?日本の結婚式専用教会は興味深いです。

  • 宗教施設ではない、結婚式専用の教会が各地に出来つつある。その意匠は海外の大教会のデザインを模倣してゴシックや古典主義風で纏められてはいるがほとんどキッチュなものである。この信者を持たない特殊な教会はいったいどんなものなのか。建築デザインの検証からデザインコンセプトの分析、そして「本物の教会」のデザインの検証。現代建築家のデザインする「結婚式教会」と「本当の教会」の検証。そして「結婚式」そのもの及び互助会の成立まで調べたもの。一般書として平易な文体で判りやすく纏められて、ま新書向けかなって感じですがボリュームから単行本にしたのかな?内容とは関係ありませんが、初歩的な誤植が散見。

  • 結婚式教会っていうのはポジティヴに受けいれられているらしい。この人の問題意識としては「宗教がどのように建築物の中に体現されるか」というものがあると思うのだけど、もってくる事例が説得的。

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著者プロフィール

1967年パリ生まれ。東北大学大学院工学研究科教授。博士(工学)。建築史・建築批評。1992年東京大学大学院修了。ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展2008日本館コミッショナー、あいちトリエンナーレ2013芸術監督。
主な著作に『過防備都市』(中公新書ラクレ、2004年)、『建築の東京』(みすず書房、2020年)、『様式とかたちから建築を考える』(菅野裕子との共著、平凡社、2022年)がある。

「2022年 『増補版 戦争と建築』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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