スローネット: IT社会の新たなかたち

著者 :
  • 春秋社
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本棚登録 : 76
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393333068

作品紹介・あらすじ

ネット社会=ファスト、スローライフ=田舎暮らし、そんな風に思いこんでいませんか?ネット社会はほんとうは、もっとゆっくりでもいいんです。携帯もパソコンも捨てずに可能なスローなネットライフ、皆さんもいっしょに考えてみませんか。

感想・レビュー・書評

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  • 近年のシステム化やiPhone等のデジタルデバイス化、ネットワーク化に対して、アンチテーゼを一考する書。コンピュータ工学での経験後に文系の学問も同時に研究した著者が、学問的にITのあり方について述べている。私がプライベートでも仕事でも「ファストIT」側の人間であることを前置きしておくが、この本に関しては、主観的な主張の域を出ないと感じている。確かに「スローIT」として筆者が説く、身体的活動を伴うコミュニケーションの促進にITを使うべきではあるが、それが「ファストIT」を止めることの理由にはならない。本書では技術哲学的な視点が多いが、もっと政策的・経済的観点も含めて、筆者の言う学際的な論がほしいところ。

  • 資料ID:W0159930
    請求記号:007.3||N 81
    配架場所:1F電動書架A

  • 日本語文章として読みづらい。展開、流れが悪く、うーーーんセンスが無いのかなと…でもタイトルの通り、すごくいいとこ掠ってるので絶賛惜しい感じでした。タイトルテーマから逸れないようにしてくれたらよかったんじゃないか。テーマを念頭におけば、違う具体例や展開の仕方があったんじゃないかと思いました。

  • 「スローネット」という矛盾するようなタイトルに興味を惹かれて手にとった。ますます高速化がすすむインターネットを中心とするファストITに対し、ものごとの処理を現行より遅らせる能力をもつ情報技術をスローITと著者は呼ぶ。フランスの思想家ヴィリリオやマイクロソフトからGoogleやAppleといったアメリカのIT企業を産み出してきた「フロンティア精神」に触れながら、数理主義に基づくIT社会の行き着く先で、人間の存在が「機械的要素」とみなされてしまう恐れに警鐘を鳴らす。ローカルな場で創造される価値を大切に育む、というあたりに著者のスローネットにおいて目指すものがあるようだけど、結局スローネットってどんなもの?というイメージがつかめず、読み終わりはモヤモヤしてしまった。その答えはこれから自分達でつくっていくものなのだろうけれど・・・。

  • 現在の効率化、高速化をめざすITを「ファストIT」とし、それに対抗する形としての「スローIT」を提唱している本。この本ではファストITの過度の進行がもたらす弊害について警鐘を鳴らしている。
    今までのITについての見方を変える可能性のある本。参考にすべき事は多い。ただ、スローITまたはスローネットの姿については具体的な提示は少ない気がする。

  • マウスイヤーと呼ばれ、目まぐるしく変わる日常風景の流れに対し、警鐘を唱える書。同世代からの主張ではなく、筆者は60歳を超える高齢者。そのため、自身の生活に根付いたものになっている感は否めない。人間にとっての価値を主観的で多元的なリアルなコミュニケーションにおき、身体性の回復を促している。たしかに私自身も、この窮屈なつながりの中で、そのつながりを断ち切りたいと思うときもある。そんな時は、きまってネットやテレビ、ケータイといったあらゆる情報バイラスを遮断したりもする。そうして外界との連絡を絶って、地に足をつけてみるのもときにはいい。だが、そうはいってもやはり、時代の大きな流れというものに人は逆らうことはできない。この流れにのりながらも、いかに楽しみを創造していけるのかが、これから先も尽きない話題になってきそうである。

  • ソウトウェアの研究開発者であった著者が、効率やスピードをひたすら追求するITに警鐘を鳴らす一冊。基本的な趣旨は賛同ですが、リアルタイムといわれるツイッターが飲み会のTLで賑わっているのを見ると、あまり心配ないような気もします。冒頭で、「昔々、ネットワークのメディアは毛繕いだったらしい」とあります、酒を酌み交わすなんぞはかなり近いのではないかと^^

  • 生産効率性のみを目的としたITを「ファストIT」と定義づけその対極に「スローIT」があるという論理だが、ではその「スローIT」とは何かというとイマイチ判然としない。ファストITに対する批判はもういい、それなら貴方なりの答えをきちんと示して欲しい。

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著者プロフィール

東京経済大学コミュニケーション学部教授/東京大学名誉教授

「2018年 『基礎情報学のフロンティア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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