18歳から考える国家と「私」の行方 〈東巻〉: セイゴオ先生が語る歴史的現在
- 春秋社 (2015年12月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784393333464
作品紹介・あらすじ
“すべての歴史は現代史である”(クローチェ)
タテの関係(時間と因果)&ヨコの関係(同時代性)で複雑に絡み合った近現代の難問たちを「編集」をキーワードに解きほぐす。
欧州・アメリカ・中国・朝鮮半島と日本。近代の始まりとともに、世界規模で密接になっていったそれぞれの関係性とその背景をわかりやすいストーリーで描き出していく。
18歳といわず、大人も目が離せない、セイゴオ先生、白熱の近現代講義。
感想・レビュー・書評
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2023.07.19 品川読書会オフで紹介を受ける。再発掘。MediaMarker時代に登録されていた。
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できるだけ広い視点をもって歴史を問うと、自分が「歴史的現在」の上にいることが少しずつ実感できる。
そのきっかけになる本。
視点の切り込み具合が認知に響く。
ともあれ、インタースコアが効いている! -
歴史は全くと言っていいほど興味がわかないアイテムだった。しかしながら翁の書物を読むようになり徐々におもしろくなってきた。そしてこの本ではまさにむさぼるという言葉通りに読み続けた。まったく未知の世界を知る思いであった。
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読書日記【すごい本に出会ってしまった。。。】
「国家と『私』の行方 -18歳から考える-」松岡正剛著、春秋社、2015年
このところ、日本神話、蘇我氏、大化の改新などの古代の日本史に興味があって、池澤夏樹の古事記・日本書紀などを読むところから始まり、山川出版の「詳説 日本史図録」を眺めたりしてきた。
それも、「日本」とは何なのか。ということの根っこをもっと知ってみたいという思いからのような気がする。
「東北」という土地に何度も足を運ぶうちに、土地の歴史をしっかり知ることがとても大切で、そこに人の営みがあったことの意味するものを考えていくことが大切なのではないかと思ったのだ。「復興」は、未来を創ることである一方で過去を愛でることのように思う。
過去と未来はつながっている。
それにしても、古事記から日本とは何かを考えるには随分と遠そうだなぁと思い、学校の方も忙しくてと思っていたら、Facebookで何人かの自分が尊敬する人が同じ時期にあげていたのが本書だった。
そして、松岡正剛さんは、尊敬するカメラマンであるエバレットさんからよくお噂を伺っていた。
初めての松岡正剛は、感動的だった。
グルジアがジョージアと表記を変更したことから書き始め、国の「顔」と「名前」について読者に考えさせる。
有権者は「名前」を隠して投票する一方で、政治家は「名前」を書いてもらおうと連呼する。
Facebookは「顔」と「名前」をさらしてやりとりして、一方でイスラム戦士はフェイスマスクで「顔」と「名前」を隠してやりとりする。。。
など。
「私」と「国」とか「個人」と「組織」とか「ネット」と「リアル」とか、そういうことを近現代史を自由自在にいったりきたりしながら、とてもわかり易い口調で説明している。
特に、p.84「ネーション・ステートとは、ずばり一言で定義するなら『戦争ができるみんなの国民国家」のこと」だと看破しているところにはちょっと鳥肌がたった。
夢中になってざぁっと読んだので、じっくりとあと2回くらい読みたい。
18歳から考える〜
という副題だが、Facebookにつながっているすべての方におすすめした良書です。
高校についての言及があるので、いくつかメモ。
【国家と『私』の行方 -18歳から考える-】松岡正剛著、春秋社、2015年
高校の授業は人生で初めて「学問」というものに出会うところだと思うのですが、私はあまり学問の香りを感じませんでした。だから現状の日本教育なら「学問」は大学に入ってから感じればいい。むしろ高校では「世界」や「世界観」の」香りに接するのがいいと思います。そこにのちのち「リベラルアーツ」の基本があるからです。けれども、「学」に何らの関心がないのなら、高校にも大学にもいく必要はありません。
そもそも学問は自由な知識を使えるするためのものなのです。
12世紀のヨーロッパで都市と大学が興隆するとともに「知」の体系化の取り組みが始まって、ボローニャ大学とパリ大学がプロトタイプになって、オックスフォード大学、サラマンカ大学、ナポリ大学、プラハ大学、クラクフ大学、グラスゴー大学などの都市大学が、それまで修道院に閉じ込められてきた「スコラ」を「スクール」に組み立てなおしていったのが、自由七科、すなわちリベラルアーツのスタートですから、この組立を問い直し、深め、新たなものに発展させていくのが学問の使命です。 (p.278)
それからついでに言っておきますが、大学入試のための受験勉強は大いに考えものです。とくにセンター入試に代表されるようなマークシート型の◯×選択問題に精通するための受験勉強はまったくおすすめできません。これは諸君に問題があるのではなく、大学入試に問題があるので、その抜本的改革が期待されます。 (p.279)
高校生活は自我に悩む季節であるとともに、小中学校時代につくられてしまった自我を別の方向に開放する季節でもあります。第1講のFacebookの話のところで、エリク・エリクソンのアイデンティティの話をはさみましたが、アイデンティティなんていくらでも変更がきくものなのです。
それとともに高校時代には「好きなこと」に一歩も二歩もつっこんでいくチャンスがあります。私はクラブ活動では新聞部を選びました。ジャーナリストに憧れていたところもあったのです。 (p.280)
#優読書 -
【由来】
・図書館でたまたま目についた、が、前に「読みたい」に入れてた。
【期待したもの】
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【要約】
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【ノート】
・少し読み始めたが、こりゃ面白い。何とか通読したマクニールの「世界史」で、あまり頭に定着していなかった部分が、俄然、面白く立ち上がってくる。しかも、参考文献の差し込み方と、その縦横無尽ぶりが、自分には結構ツボ。「千夜千冊」の歴史編の入門版といったところか。歴史好きの中学生の甥っ子に読ませてやり取りできるといいなあ。
【目次】 -
現代はイギリスの三角貿易手法による帝国主義に始まるということか。
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2016/5/15
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本書を読んで、同著者のほぼ同時期に刊行された『インタースコア』のタイトルの意味がわかりかけてきた。本書で扱われるのはナポレオンやアヘン戦争、そして、日本の開国など、歴史の教科書で見知った事柄ばかり。おそらく学生時代の自分に、歴史的事象と現在を橋架する力がなかったために、歴史を単なる暗記科目と捉えてしまっていた。タテ(時間と因果)とヨコ(同時代性)を織り合わせて見事な布を縫い上げている。
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哲学や社会学にこそ異質が必要なのだ。
プロテスタントは教育的。ハーバード、エール、ボストン大学などはいずれもプロテスタント系。 -
とてもわかりやすく、世界と日本がどう関係のバランスを保ったり保たなかったりしたかが書かれている。アフリカのくだりはとてもわかりやすかった。