洗脳原論

著者 :
  • 春秋社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393361160

作品紹介・あらすじ

あなたの「リアル」、大丈夫ですか?不安と焦燥はびこる日本に、心を操作し、精神を破壊しようとたくらむ者の影。最先端の認知科学、機能脳科学に博通した若き鴻学が現代のリアリティ・クライシスに真っ向から挑戦。

感想・レビュー・書評

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  • 著者はビジネスマン向けの自己啓発本を多く書いている印象だが、そうした軽い本とは一線を画する本。題材がオウム真理教と古いが、現在でも統一協会のような問題が繰り返されていることを考えれば有益な情報源になりうる。
    何より苫米地英人に洗脳されないために読んでおくべきだろう。

  • 著者の「スピリチュアリズム」からこの本を知った。カルトの勧誘には気を付けたい。哲学書をたくさん読んで日々の不安や心配を取り除けるようになりたいと思った。

  • 洗脳原論 単行本 – 2000/2/15

    アンカー取りできないと脱洗脳はできない
    2016年2月10日記述

    苫米地英人氏のよる著作。

    知識として、オウム真理教の信者、幹部の洗脳をといた著者の体験談は極めて貴重である。
    ただ本書で知ったからと言って誰でも洗脳できるようになるわけではないし洗脳の解除も難しいだろう。
    抽象的な会話のやり取りも多そうだし。
    普段そんな会話なんてしないし。
    アンカーの埋め込み、アンカーとりもそういうもんかを思ってもどれがどれだけ判断できる人間は限られるように思われる。
    またオウムのようなカルトから信者を奪回してもアンカーとりが行わないと恐怖体験が蘇り元のカルトに戻る危険性があるという指摘には驚いた。
    カルトに関する情報は与えてはいけないのだ。
    また苫米地氏自身も成功率は60%前後と述べているように難しい点も多い。
    信者に逃げられてしまう場合も多々あった。
    解決に時間もかかる当時の苫米地氏も1人で半年、年に2人が限界とのこと。

    他のレビュワーの方がまとめられているように本書の重要項目は以下の通りである。

    【読んだ覚えておくべきこと・後にするべきこと】
    洗脳にはレベルがある。
    第1段階は 墓は何か嫌な気がすると同じ状況(日本以外ではそうではない場合がある)
    第2段階は 映画館で作品に集中して自分が椅子に座って映画鑑賞をしているのを忘れているのと同じ感じ
    第3段階は どんな状況でも第2段階の状態を引き出せるように、精神的にトラップを仕掛けられる。
    第4段階は 常に第2状態が続き抜け出すことができない。
    洗脳された人にはアンカーと呼ばれる心理的なトラップが仕掛けられていることが多く、脱洗脳の際にアンカーを踏んでしまうとまたもとに戻ってしまう。
    アンカーとは例えば、ろうそくの火を見ると天国が見えるなど。
    ディベートは常識的に見てばかばかしい内容でも筋が通ればいい。(危険)
    アメリカに留学する人は注意。
    大学にも洗脳・ドラッグを利用したカルト的なリーダーが結構いる。
    低い洗脳段階ではあるが、日本のメディアは超常現象を現実のものと錯覚させている。
    これに対して真実を説かない日本のジャーナリスト、医師、学者、宗教関係者は怠慢。
    話題を変えて、ロジックをそらす相手には、オープンクエスチョンをしない。
    話題をそらしたら、そんなことは聞いていないと言い、YesかNoかで答えさせる。
    ⇒オウムの上祐幹部と江川紹子氏とのTV討論で実践された。

  • ディベートを勉強してみたい

    編成意識ってどう生み出すの?最初が大事、成瀬悟策
    ディベート、催眠療法、徳島大学の研究室
    *相手が理解できる限界よりも少し早く喋り30-1時間;情報処理の容量がオーバーして変性意識状態に入る
    *否定的に考えていた概念や命題を徹底的に考え抜いて、皇帝に転じた瞬間に入りやすい;相手の思考パターンを掴んだ(全て記憶して論理構築を頭の中でビジュアル化)のち、もう一度持論を相手に説明させる(こちらの知識を教えるというスタンスは決して取らない、向こうの考えを教えてもらい、それについてどんどん質問をするーについて聞かせて)と、最終的に持論自信が打ち砕かれる仕掛けにする
    *概念空間;話の内容を全てビジュアル化、論理や言葉を色と形で相手に示して空間に置いておく、後で並べ替える
    *感覚遮断、期間を教えない、知識のない状態
    *ブリーフセラピー;短期間で起こさせれる、ベトナム戦争以降のアメリカ

    洗脳;思考行動感情をコントロール
    変性意識状態が必ず介在する;意識が変形して夢を見たり、酩酊したような感覚。無意識レベルの心的内部表現が外在かするから外からアプローチしやすい;仮想の情報に対してフィードバック反応を起こす
    α波、呼吸、瞑想、ドラッグ、バイオフィードバック
    神秘体験に至る;圧倒的な体感と感激。イメージングで空間を創出する
    トリガーというメカニズムを利用して引き起こせる;神秘性や宗教性と何ら関係なく、単なる技術だとはっきり説明すれば、神秘体験は無力化する
    トリガー;音樂、マントラ、祈り、声の調子やリズム

    可能性世界;空想の世界
    1;可能性世界の命題が現実世界の心と体に影響を与えるメカニズムをつくる(縁起が悪いと寒気がする)
    2;可能性世界の臨場感が現実世界の臨場感より強くなるようにする、没頭
    3;暗示をかけて再現性を持たす、アンカーの植え込み(独特な用語;臨場感状態を固定化、現実世界を希薄化)
    4;アンカーをありとあらゆるものと結びつけることで洗脳がとけかけてもすぐに戻る状態になる


    意識の暗闇;ダークネスバウンダリー。これを超えた教祖とその周囲の勘違いがカルトの発端

    脱洗脳
    1;アンカーの発見 会話中に発見(じっくり聞く体勢)、何度も口に出させて本人にその言葉の作用(どんな感じがするか)を自覚させる
    2;アンカーの向こうか編成意識に陥った状態で
    入信前の記憶は右側、あとの記憶は左側に分けましょうと指で円を描く
    その境界線上にーという黄色のトリガーが浮かんでいますね、それを撮りましょうと風船を割るような真似をする;無意識レベルで効果を滅する
    そして、現実世界の記憶である右側の赤い世界とオウムにいた可能性世界の記憶である左側の青い世界をくっつけましょうとぐっと引き寄せる動作
    2つの世界が結びつくことで自分を消滅させたり否定せず忘れないで本来の自分に戻れる

    空間の支配;オーラ、心をつかむ相手に合う瞬間が大事
    無意識の共有;相手が思うがままに話させる;無意識下の情報を認識できる、アンカーを浮かび上がらせるために関わりそうな会話は何度も繰り返す、相手の心の内部表現をビジュアル化し、アンカーを捕える
    アンカーの確認;相手の脳内の情報を私の周囲に仮想現実的にビジュアル化、相手にみせて体感させた状態で皿に臨場感溢れるイメージ操作を言葉や仕草をつかって行う

    アンカー:自然に編成意識を引き出す短縮(私が右肩を触ったら同じ状態になりますよ、話し方)、生態的なレベルに影響を与えるホメオスタシス機能を作動させる

    イニシエーション(メンバー加入)を再確認させる(あれはLSDが混入されていたのだ)

    洗脳の手法
    フレームの再構築;抱える問題の意味付けを変えてやる(発疹がでるのはカルマなので修行を続けると治る、);こっちのフレームの方が優れていると示す必要がある
    ゲシュタルト破壊;いま、この時のみに関心を持たせて本人の過去や未来から切り離す、慣れ親しんだものを攻撃して自我の崩壊を狙う、現実世界で時間の流れに乗っている感覚がない(自分本来の問題に気づけないのは気の流れが悪いから→教団の論理の正当化、イニシエーションとか通じてゲシュタルト破壊する)(トラウマを執拗に思い出させて強烈な変性意識と意識の現実世界からの解離を引き起こす)

    ディベート;勝てる方法をより良く説明した方が選ばれる、論理の構築方法は哲学的思考の基本手法である
    相手の知識を全部引き出し、その中の本の僅かなほころびを追求して言うことで論理全体を崩壊させる(12時間!)

  • かなり、重要なことが書いてあるようだけど、勉強不足で理解不足。
    もう少し勉強したらまた読んでみる。

    心理学の基本をよく勉強した人には、とても良い本だと思います。

  • 著者である苫米地さんの語る、洗脳に関する言論。
    すごく面白かったしタメになった。

    苫米地さんが経験した、オウム真理教の元信者への脱洗脳のかなり詳しい過程と、そもそもの洗脳のメカニズム、それがわかりやすい文章で書かれていて理解しやすかった。ディベートやアメリカの洗脳事情なんかも興味深かった。

    とりあえず、この本を読んだことで、今まで「教育は一種の洗脳」という言い方を自分はしていたのだけど、それは今後止めようと思う。全く異なるし、教育者にも失礼だ。

    無意識的にも洗脳に陥らないように、「変性意識状態」と「アンカー/トリガー」、このキーワードは忘れないようにしよう。

  • 苫米地さんの最初の本
    洗脳、脱洗脳について、実際に脱洗脳をやったからこその知識が詰まっている

  • 今週刊誌を賑わせている教団の信者や教祖の精神構造がスルスルと見えてきた。
    脱洗脳は大変

  • オウム真理教の信者の洗脳を解く任に当たった著者の本。洗脳のステップが明らかになっていて非常に為になる。

  • 著者の胡散臭さから敬遠していたが、面白かった。
    心理学の専門家が書いたというよりは、心理学オタクが書いた感があり、実地に則っている分、他の本より面白かった。
    この人の経験のエッセンスであり、他の著書は読まなくてよいかなと。
    それより、引用文献がオウム真理教が活動していた当時の空気を反映しており、また、心理学を学ぶ上でも興味深いため、順に当たっていきたいと思った。

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著者プロフィール

認知科学者(計算言語学・認知心理学・機能脳科学・離散数理科学・分析哲学)。
カーネギーメロン大学博士( Ph.D)、同 CyLab フェロー、ジョージメイソン大学C4I&サイバー研究所研究教授、公益社団法人日本ジャーナリスト協会代表理事、日本外交政策学会会長、コグニティブリサーチラボ株式会社CEO 兼基礎研究所長。マサチューセッツ大学を経て上智大学外国語学部英語学科卒業後、三菱地所へ入社、財務担当者としてロックフェラーセンター買収等を経験、三菱地所在籍のままフルブライト全額給付特待生としてイェール大学大学院計算機科学博士課程に留学、人工知能の父と呼ばれるロジャー・シャンクに学ぶ。同認知科学研究所、同人工知能研究所を経て、コンピュータ科学と人工知能の世界最高峰カーネギーメロン大学大学院博士課程に転入。計算機科学部機械翻訳研究所(現 Language Technologies Institute)等に在籍し、人工知能、自然言語処理、ニューラルネットワーク等を研究、全米で4人目、日本人として初の計算言語学の博士号を取得。帰国後、徳島大学助教授、ジャストシステム基礎研究所所長、同ピッツバーグ研究所取締役、通商産業省情報処理振興審議会専門委員、早稲田大学研究院客員教授などを歴任。また、晩年のルー・タイスの右腕として活動、ルー・タイスの指示により米国認知科学の研究成果を盛り込んだ最新の能力開発プログラム「 TPIE」、「 PX2」、「 TICE」コーチングなどの開発を担当。その後、全世界での普及にルー・タイスと共に活動。現在もルー・タイスの遺言によりコーチング普及及び後継者として全世界で活動中。一般財団法人サヴォイア王家諸騎士団日本代表、聖マウリツィオ・ラザロ騎士団大十字騎士。近年では、サヴォイア王家によるジュニアナイト養成コーチングプログラムも開発。日本でも完全無償のボランティアプログラムとして「PX2」と並行して普及活動中。

「2023年 『新・夢が勝手にかなう手帳 2023年度版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

苫米地英人の作品

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