いまこそロールズに学べ 「正義」とはなにか?

著者 :
  • 春秋社
3.38
  • (1)
  • (6)
  • (7)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 113
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393611128

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「無知のヴェール」による正義の追求。
    178ページの「合理的になる能力」と「道理(良識)的になる能力」は心に残る。

  • 【目次】
    目次 [003-009]

    序論 「正義」と〈Justice〉――似て非なるもの 013
    正義をめぐる勘違い/「正義」と〈Justice〉、その違い/「正義論」はなにをめざすのか/ロールズ『正義論』のインパクト/本書の構成

    第1章 なぜ「正義」を問題にしたのか 025
    1 メタ倫理学からはなれて 026
    メタ倫理学とはなにか/「善」から「正義」へ/正義の原理の探求へ
    2 功利主義の検討 032
    功利主義の歴史/功利主義へのスタンス/功利主義の二つのルール観
    3 「公正としての正義」とは 042
    正義の二つの原理/正義が受け入れられる根拠とは/功利主義との対決へ
    4 なにが「公正としての正義」を支えるのか 051
    人格に備わった「正義感覚」/カントを発展させて/「憲法的自由」による平等/「平等な自由」がもたらすもの
    5 分配的正義をめぐって 062
    ロールズの経済観/格差原理の導入/政府の役割/改良を重ねて
    6 市民的不服従をめぐって 073
    公民権運動の盛りあがりを受けて/「無知のヴェール」の導入/立憲民主制における「市民不服従」とは/「市民的不服従」の三条件

    第2章 自由と平等の両立をめざして――「正義論」の世界 083
    1 『正義論』はなにをめざしたのか 084
    思想史的な位置づけ/功利主義との決別
    2 はじまりとしての「原初状態」 088
    社会契約論を発展させて/原初状態という仮説/「無知のヴェール」の役割
    3 「正義論」の仮想敵 096
    「目的論」との対決――仮想敵(1)/「直観主義」との対決――仮想敵(2)
    4 あらためて正義の二原理とは 105
    「正義の原理」の定式化/正義の原理が採用される根拠/「マクシミン・ルール」の採用
    5 「反省的均衡」とはなにか 114
    修正を重ねることによって/暫定的な正義の条件として/「平均効用原理」との対決
    6 正義の制度化をめぐって 122
    四段階のプロセス/「政治的自由の価値」の重要性/市場を前提にした「分配的正義」/世代間の格差をめぐって/正義の原理の再定式化
    7 制度における個人の役割 134
    個人の「義務」と「責務」/制度を補正する手段としての「市民的不服従」
    8 「正義」と「善」の関係をめぐって 141
    二つの善理論/アリストテレス的原理と自尊/道徳的学習について

    第3章 ロールズの変容――『正義論』への批判をうけて 147
    1 マクシミン原理をめぐって 148
    功利主義からの批判/アローからの批判/ハーサニからの批判/ロールズの返答――マクシミン基準の擁護/「自由で平等な人格」をもった市民による選択
    2 リバタリアンの攻勢 160
    ノージックからの批判/分配的正義の“恣意性”をめぐって/ロールズの返答――「基礎構造」の問題
    3 「自由の優先」は自明か 170
    ハートからの批判/ロールズが想定する「人間像」への懐疑/ロールズの返答(1)――二つの道徳的な力/ロールズの返答(2)――正義に適った基礎構造
    4 ロールズのカント主義的転回 184
    「カント的」とは/「道理的なもの」による「合理的なもの」の制約/手段としての「基本財」
    5 「形而上学」から「政治」へ 194
    普遍主義との決別/キャラとしての「契約当事者」/「重なり合う合意」をめざして/“政治的転回”をなぜしたのか

    第4章 「正義」の射程はどこまでか――「政治的リベラリズム」の戦略 203
    1 『政治的リベラリズム』の狙い 204
    制度的実践をともなう思想として/非自由主義的思想といかに折り合うか
    2 偏りのない政治的構想をめざして 209
    あまねく受け入れられる理念として/立憲民主制における「市民」の条件とは/なにが「寛容さ」を可能にするのか/形而上学的前提からはなれて
    3 安定した合意をめざして 221
    「重なり合う合意」の戦略/善への対処/ガイドラインとしての「公共的理性」/制度的保証としての「最高裁判所」
    4 ハーバマスとの対話 234
    アメリカとドイツ、二つの戦後/二人の差異をめぐって
    5 グローバルな正義をめざして 243
    「政治的リベラリズム」から「万民の法」へ/原初状態の二段階化/共存できる非リベラルな民衆の条件とは/グローバルな意思決定のあり方/「無法国家」との対時

    終章 「正義」のゆくえ――ロールズが切り開いた地平から 259
    “第三の道”としてのリベラリズム/論争をつうじて/「リベラリズム」の未来

    注 [271-303]
    ロールズを中心とする思想地図 [304-305]
    関連年表 [306-313]
    あとがき(二〇一三年三月 金沢大学角間キャンパスにて 仲正昌樹) [314-318]

著者プロフィール

哲学者、金沢大学法学類教授。
1963年、広島県呉市に生まれる。東京大学大学院総合文化研究科地域文化専攻研究博士課程修了(学術博士)。専門は、法哲学、政治思想史、ドイツ文学。難解な哲学害を分かりやすく読み解くことに定評がある。
著書に、『危機の詩学─へルダリン、存在と言語』(作品社)、『歴史と正義』(御 茶の水書房)、『今こそア ーレントを読み直す』(講談社現代新書)、『集中講義! 日本の現代思想』(N‌H‌K出版)、『ヘーゲルを越えるヘーゲル』(講談社現代新書)など多数。
訳書に、ハンナ・アーレント『完訳 カント政治哲学講義録』(明月堂書店)など多数。

「2021年 『哲学JAM[白版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

仲正昌樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×