18歳から考える経済と社会の見方

著者 :
  • 春秋社
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393611142

作品紹介・あらすじ

世界の経済はめまぐるしく動いている。日本はいま、どういう方向に行こうとしているのか、私たちの暮らしはどうなっていくのか、そうした素朴かつ重大な課題に対し無関心ではいられない人々に贈る、絶好の指南書。

18歳選挙権への引き下げは、否応なく十代有権者としての問題意識も問われるところ。しかし、昨今の政策や効果についてはなかなかに理解しがたいこともたくさんある。そこで、本書では、経済における政府のあり方や役割、社会の見方、思考の枠組みをていねいに解説しながら、自分で考える習慣を身につけるためのヒントを提供。従来の経済学の考え方をきちんと踏まえたうえで、AIやアベノミクス、仮想通貨などアップトゥーデイトな話題もふんだんに取り入れ、まさに現在進行形の社会現象を読者と一緒に考えていこうとするものである。経済のしくみについて自力で考えることこそ、これまでの教科書的・概説的な勉強にはない知的な冒険となることだろう。

感想・レビュー・書評

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  • 大学生に向けた講義を、書籍化した経済学の本。
    講義向けとあった、分かりやすく、社会人でも小難しい経済理論なんて知らん、という人こそ読んで欲しい。一読の価値はあります。

    自由貿易は、片方の国の生産性が圧倒的であるとした極端な場合でも、必ず双方の当事者の利益になること、つまり鎖国は、衰退していくということが分かりやすく説明されています。よく言われる食糧自給率が”問題”とされていることも、まず報道レベルでは「主要な大国の中で」という枕詞がついて、イギリス70%、フランス130%、ドイツ90%と問題とされているわけですが、シンガポールや香港は自給率が0%であり、平地がほんとんどない台湾も34%でということは論じられません。
    自給率を高めるのは仮想敵国がいて、国家存立を第一に考えていることとほぼ同義と捉えてよいそうですが、結局、農業をするにしても、燃料、その他の資源が必要になり、戦争に備えることになるのですから、防衛費も必要になります。ということで、食料自給率を声高に叫んでも意味がなく、国益という言葉に惑わされて、政治的な駆け引きになっていること自体が有害とのこと。
    意外だったのは、食料輸出額の1位はアメリカで16兆円で、一般的に納得のいく数字ですが、2位は九州と同じ面積のオランダで10兆円で、花、食肉、乳製品が主だそうです。戦後、農地が集約されて、日本の農家の平均15倍、25haの耕地で、加えて、温室・水生栽培でトマトなどは工場生産であり、技術的には日本でも十分実施可能と思われました。
    それができないのは、農業保護といった規制であり、政府が既得権益者の保護に”偏っていて”新しい産業を起こすことの邪魔しかしていない、というか積極的に邪魔している点が、最大の問題であるとのこと。
    最後のエピローグに、日本の成長率が低い理由は二つあり、一つは先進国になり成長の余地が少ない、すなわちアイデアを生む出す源泉の若年労働者の数が減っていることと、上述の例のように、農業の企業参入を認めない政府の規制が原因であるそうです。
    政治と経済に関して、長期的な歴史と理論を照らし合わせて考えて欲しいとの締めの言葉に、ニュースやSNSを見て安易に流されるのでなく、しっかり考えることが重要と改めて感じました。

  • 信用恐慌の謎と並んで、経済学を最初に勉強するための教材として優れていると思う。

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著者プロフィール

蔵研也(くらけんや) 自由自由主義研究所所長、主任研究員。

「2023年 『国際政治と進化政治学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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