自然農法 わら一本の革命

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  • 春秋社
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感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393741412

作品紹介・あらすじ

耕さず、草もとらず、肥料もやらず、しかも多収穫!"現代の老子"が語る無の哲学と実践。

感想・レビュー・書評

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  • 自分も少し離れた場所に農地を借りて畑をしているので別の本の参考文献に記載されていたので気に掛かり読んでみました。
    自分のところの畑でもやり始めは化学肥料を使っていたが数年前から父の昔の人はこのような肥料は使わず無用なお金も使わず本来の野菜が持つ味を再現したいと言う思いからなるべく自然に近い
    育て方を実践してきたので、納得する場面もあったが少し理屈っぽく感じた場面も感じた。
    今の現代のあらゆるシステムさ自体が予め用意されていてその手順を踏むことであたかも発展してきた事に錯覚しているだけで、農業だけに関わらずあらゆる国の仕組みが、目先の利潤にこだわって長い目で見れば自然の破綻の道に進んでいる
    根本から方向がずれているが故に何も果たしていないというバッシングのインパクトが強いと
    感じました。
    この本でプラトンの無知の知を思い出しました。
    自分の哲学に関する見方も少し変わった本でした。

  • 農業だけでなく食や生活や社会や思想に関心のある人はぜひ読むべき一冊。答えの出ない問題に、実際に可能かどうかはともかく実践的な回答を示し、さらに本人が1人でも実行しているとこに痺れた。自然農法の野菜は化学農法の野菜より安くあるべきという主張の真っ当さは全人類必読。

  • 農が始まった時から、蓄えることを知り、貧富の差が生まれ、権力が生まれ、争いを繰り返してきた人類。
    しかし、本当は人は何もしなくてよかったのだ。何もせずとも、実りはやってくる。
    人はただ、何もせずに自然の摂理に従っておれば、幸せに暮らせたのだ。
    では、人は何のために生きるのか、そもそも、生きることに意味などなく、生かされていただけでなのかと思えた一冊。

    この本を読み進めていくと、人生において、悩むことなど、何もなかったのではないかと思えてしまった。

  • 自然農法のバイブル的な本として紹介されて読みました。

    農業の本ではなく、哲学の本。
    現代の科学は「改善」をするための「足し算」の発想。
    そのため、改善すればするほどやるべき事、管理すべきことが増えてくる。
    そしてお金も時間も益々必要になって来る。

    しかし本書の哲学は真逆であり、「人間は何も知り得ない」事から出発する。
    筆者の哲学には、仏教的な思想も織り込まれている。
    自然農法は「引き算」の発想であるため、やるべき事は極限まで減らす。
    大規模な自然破壊による環境被害を止めるために、発想の転換が必要。

    日本政府が残留農薬に関する規制を緩和する中で、
    無農薬・無肥料の作物に対するニーズは今後ますます高くなっていくと予感。
    五島市でも自然農法を実践するフィールドを開拓していきたい。

  • 耕さず、草もとらず、肥料も農薬も散布せず
    それでも豊かな収穫をもたらす驚きの農法哲学です。
    土の中にいる微生物にご機嫌で働いてもらうのが一番ですね。。。

  • これまで生きてきた三十年で指針となるような哲学書は「十二番目の天使」「星の王子さま」「アルケミスト」と時代ごとに変遷してきたが(そしてその変わっていくということが自分にとっては嬉しく頼もしいことなのだが)、ついに今現在の自分にとり最も重要な一冊をみつけた。それはまったく意外な書物で、農業についての本だった。ところがこの本はただの農業本ではなかった。「人生に目標も生きがいもない」「人はなにもしないのがこわいのだ」「アートは生活のなかにある」「教育は無用」「労働がすばらしいという病」「全部すてる」「なにもしない」「頭でめしを食うな」「”我思う故に我あり”の大否定」「人間生活に真に密着したものが文化である」「最小の世界に徹底すれば最大の世界が開ける」「”分かる”は”分ける”である」「ただ、”わからない”ということがわかるのみ」。湧水のごとくあふれるインスピレーションを得た。この本に巡り合えて心から感謝する。この本に書かれたことすべてにほとんどの人は納得はしないだろう。そうでなきゃ今の世の中がこうしてできあがっているはずがないから。だけど読んだ方がいい。読んで、ここに書かれたことを体のなかにいちど通した方がいい。ためておいてもいいし、すてても、忘れてもいい。とにかくいちど入れたほうがいい。これは今世紀を生きるすべての人間が死ぬまでに一度は読んだほうがいい最高の哲学書だ。

  • 食物の栽培という視点から宇宙の真理を説明した確信的な本です。
    この本は後にりんごで有名な木村秋則さんなど自然農法の先駆者を生みだす賢者の石の様な役割を果たしました。
    著者の考えは農業に関わらない人にも食べ物って何だろうと考えさせられる哲学です。
    オーガニックは身体に良い♪とか言っている次元ではありません!
    普段食べている野菜は一体何なのだろうとさえ思う一冊です。

  • 自然農法について書かれた本ですが、ただの無農薬有機栽培の話ではなく、哲学的な内容を含んでいます。
    自然農法を始めた頃、自然だと信じてミカンの木を放置していたら枝が混乱して病害虫にやられてすっかり無茶苦茶になってしまった、放任と自然とは違うのだ、というエピソードには学ぶところがありました。
    食についても、同様の考え方が披露されていて、書かれていることがいちいち老荘の無為自然の概念を彷彿とさせます。個人的には、老荘思想実践編という印象を受けました。
    面白いのは、日本の農地は一人あたり一反ほどあるから国民全員に一反ずつ農地を与えるといい、五人家族だと五反の農地で一家がそこそこ食べられるから、仕事の合間のレジャーとして自然農法をやれば生活の基盤ができるのであとは好きなことをしていればいい、という提言です。ベーシックインカムの議論を思い起こさせられる話で、土地の分配ができるのか、というそもそものところをおいておくにしても、国民皆が著者のような自然農法の達人になれるなら確かに「最も楽に生き、国を楽土にする、一番手近な方法」ではあると思います。

  • 農業に関しての正誤は分からない。今まで科学で対症療法的に行っていたことを、省いて省いてたどり着いた無の農業。日本で科学と言われているものは全部場当たり的だという認識から、従来の農業を否定する。
    そこまでは良いのだけど、科学全体を否定する論調がバランスを欠く。政治として人に指示する(減反とか)のであれば、対症療法でがんじがらめにするのではなくて、どのように生きるべきかの哲学が必要だと言うのだが、理由は科学には求められない。だから、理由が存在しないから科学は間違っていると主張しても探す所を間違えている。宗教も科学も現実を認識しようとする思考から生まれた。それを否定して、自分の自然への認識から哲学を得ようとする。歴史観が欠如している。
    わら一本の革命も科学。だから、哲学の無い科学を批判するのではなくて、哲学のない政治、経済を批判して覆すんだと言えば良かったのに。

  •  ある方のブログを読んで、読んだ本。

     出会ってみたかったなぁと思わせる著者です。多くの言葉が自分の心にとてつもなくぴったりくるなぁ、と感じます。もう、生きていらっしゃらないのかぁ、残念。

     生き方そのものも、力の抜け方が心地よかったです。でも、著者と私は、決定的に違います。だって、私には、この現代社会の生活を投げ捨てることができないのですから。

     何をやらなくてよいかを考え、全体として自然の力に任せる、こんな農業ができたらうれしいです。全体としてみることができないというのは、農業に限らず、私のしている仕事でも同じ現象が起きています。何人もの人が、専門家と称しながらバラバラに動いて、いつまでたっても全体最適化できないのが、自分の会社でも当たり前になっています。全体像が見えない統率者が、仕事が増えたと言って、人を増やし、益々やらなくてもいいことを積み重ねていきます。本当は、とってもシンプルなことなのに。

     また、この言葉が心地よいと感じました。「身体のまま意のままに従って、美味なれば食をとり、不味なれば食を断つこと融通自在で、無為、無策で、自由奔放、しかもそれで最高の妙味を味わう自然食になる。」。なんで心地よいかわからないけど、もっと自分自身の身体が欲するものを、必要なだけ、自然に摂取するということができれば....という感じでしょうか。そうはいっても、私は、甘いものばかり食べてますけど。

     最後の章に、スリーマイル島という言葉が含まれていて、何とも言えない読後感が広がりました。一方で、彼が、生きてきた、戦後、高度成長期と公害、そして自然農法が認められるという流れが、何か自分を勇気づけてくれるような気もしました。

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著者プロフィール

1913年、愛媛県伊予市生まれ。岐阜高等農学部卒。34年、横浜税関植物検査課勤務。47年、帰農。以来、自然農法一筋に生きる。86年、「マグサイサイ賞」受賞。『わら一本の革命』をはじめとする数々の著作はロングセラーとして、いまなお、あらゆる分野の人びとに圧倒的支持を受けている。

「2021年 『福岡正信の〈自然〉を生きる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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