オーガニックラベルの裏側: 21世紀食品産業の真実

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制作 : 長谷川 圭 
  • 春秋社 (2014年11月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393741559

オーガニックラベルの裏側: 21世紀食品産業の真実の感想・レビュー・書評

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  • ここ最近、普通の大手ス―パーでも「オーガニック」「有機」を謳った商品をみるようになりました。食品に対する消費者の意識が高くなり、一昔前は特別扱いだったオーガニック商品が当たり前のように販売されることは、悪いことではない・・・と最初は思っていましたが、よくよく考えると、全国展開の大手スーパーに納入するにはそれなりの数を切らすことなく作ることが必要です。大手は欠品や不良品にものすごく厳しいからです。

    そういう視点で見ると、オーガニックと謳っているものがあやしいかもしれないと思うようになりました。納入するには量産体制が整っていないと厳しいはずだが、それはオーガニックと呼べるのか?

    というわけでこの本の登場です。ちなみにオーガニックというのは「おいしい」とか「安心」という意味ではなく(その育て方の性質上、結果的においしいと言われることは多々あります)、工業的な生産方法よりもエネルギーが少なく、環境にも負担が少なく、他の生物との複雑な関係を破壊することなく、有機的なつながりを大切にしながら育てられたものという意味がいが強く、決して品質のことを言っているわけではありません。

    この本は主にヨーロッパの食品業界についての暴露本です。日本は出てきませんが、日本でも問題になっている産地偽装や期限切れ食品の提供、大量廃棄などがヨーロッパでも問題になっているようで、食品企業に対する不信感は場所を変えても同じだと分かります。

    さて、大手スーパーに納入しているオーガニック食品のメーカーを訪ねる旅に著者は出るのですが、そこでみたものはとてもオーガニックと呼べるものではないことが分かります。

    例えば鶏。宣伝では広い草原で平飼いされている映像が流れているが・・・・実際には狭い鶏舎に何千羽と詰め込まれて飼われいる。いや、そもそもその鶏自体が遺伝子操作された雛で、F1種と呼ばれるもの。卵を産ませるためだけに孵化させたものだが、雄は生まれたその日にシュレッダーで殺処分される。雄は卵を産めないから。餌が有機飼料であるだけで、普通の鶏となんら変わらない。それでもオーガニックという認証を受けている。規定の飼育面積はクリアしているからです。面積はクリアしていても育てられているのは鶏舎という現実。そして規定ではF1種を認めている。
    どうしてこのようなことが起こるのか?認定するのは民間企業だからだと著者は指摘します。基準が厳しいと顧客が離れていくからです。

    この一例だけを見ても怪しいニオイがしてきます。本書にはそういった企業がたくさん登場します。しかし一方で、持続可能な農業を実践している農園にも足を運び、これから農業はどうあるべきか、を問うています。

    そして最後はやはり、企業のイメージ戦略に騙されないよう、消費者がしっかりと見極めないといけないと述べています。

    ヨーロッパの現状より日本はマシであって欲しいと願いますが、持続可能なエネルギー、農業への関心は世界中に広がっているようで、まだ希望が持てそうです。

  • 私は動物を飼った経験がないせいか、
    家畜を倫理的に扱うべしという主張が感覚的に理解できない。捕食者に養育されるということは、それがどのような環境であれ、本質的に残酷なことではないのか?だから著者の主張には共感できるところが少なかった。
    あとハイブリット種に関して誤解を招くような表現をおそらく意図的に入れているのはいただけない。
    農業技術は根本的に自然に反した行いであり、それがオーガニックがどうか倫理的かどうかを問うよりも、それを持続的に行いうるかが一番の考えるべき問題だと思う。

  • オーガニックして売られる商品、その言葉のイメージとはかけ離れたやり方で飼育される鶏や牛たちの現実や、スーパーで購入する形のいい野菜の裏側で、どれだけ形が悪いだけの野菜が捨てられているか、業者や生産者へのインタビューを交えて紹介している本。ユーロ圏での話だが、他人事ではない内容だった。消費者が価格だけを追求する限り、こういった安全ではないかもしれない商品の流通は止まらないのかもしれない。現代社会の食糧事情に警鐘を鳴らす一冊。

  •  オーガニックというと健康によく環境に優しいものだと多くの人が思っている。モクモク羊もその中の1人だ。ところが、ラベルの裏側を覗いてみると、清く正しい世界ではなった。

     サブタイトルが「21世紀食品産業の真実」とあるように、なかなか厳しい現実が広がっている。著者はオーストリアを代表する農業ジャーナリストとして有名で、大学で「エコロジカル農業」を教えるなど、持続可能な農業と食品に関する研究、執筆活動を行っている。
     
     EUの法律には違反していないが、飼育されている鶏たちにとっては「もうけっこー」と言いたくなるような劣悪な環境で育てられていてとても鶏にとってそしてそれを食べる人間にとっていいとは思えない。「オーガニックロンダリング」で、「ホワイトニング」されて大量生産されて店に並べられる「オーガニック」と称する食品が多いと指摘している。しかもそれが認証団体とやらのお墨付きだけに始末が悪い。

     その一方で、まともなオーガニックに取り組んでいる人たちも紹介されている。小規模農家が鶏や豚の飼育を詰め込み型ではなく、できるだけ自由に歩き回れる広さで飼っている。「オーガニック・ボックス」と呼ばれるサービスで農家は、一般家庭やレストランに直接販売する形の販売をしている。

     消費者としてできることは何かということで著者は「食品企業の権力を打ち破り、食生活を改善する方法」としていくつか例を挙げている。必要なものを買う、情報を集め、広める。この2つは実行可能だな。その一方で、自分の庭や共同農園などで作物を作るは時間の制約もあり厳しいかな。

     オーガニックの世界もドロドロしているなあ。

    こちらのサイトである鶏舎を撮影したビデオと写真(食事時に見るのはお勧めしません)を見ることができます。

    www.frissoderstirb.info

  • ”オーガニック”がいかにマユツバかを書いた本
    ヨーロッパの話なんだけど、日本も大差ないかもね

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オーガニックラベルの裏側: 21世紀食品産業の真実の作品紹介

気鋭の生物学者・ジャーナリストが、「環境と体に優しい」を謳いつつ、過剰生産・大量廃棄されるオーガニック食品の実態を体当たりルポ。共食いする鶏。産まれたその日にシュレッダーで切刻まれる雛。形が悪いだけでゴミ箱行きの野菜…。知られざる世界がここにある。

オーガニックラベルの裏側: 21世紀食品産業の真実はこんな本です

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