ピアニストの脳を科学する: 超絶技巧のメカニズム

著者 :
  • 春秋社
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393935637

感想・レビュー・書評

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  • 2016.1.24市立図書館
    ピアニストというのはイメージと違って、ある意味体育会系なのだと感じた。それも短距離走ではなく長距離走。筋力やエネルギーを効率的に使って長時間疲れずに安定したパフォーマンスができるようになればいいが、闇雲な反復練習や長時間の練習がときには仇になり故障につながる危険もあるのだから、科学的な検証を経たトレーニング方法を知ることは必須だと感じた。この本はピアノにフォーカスしているけれど、手先を酷使するほかの楽器やタイピング、調理やゲームなどでもおなじことは言えるのだろう。ピアノはこどものときに習ったきりだけれど、ここで覚えたことを意識しながらもう一度練習してみようかな、という気持ちになった。
    また、演奏と感動の関係についても、機会的に正確に演奏したときと感情を込めて演奏をしたときの、演奏者自身の心拍数の差や聞き手の受け止めかたの差など、興味深いと思った。これは舞踊やフィギュアスケートなどほかの分野の芸術にも応用できそう。
    手先だけ鍛えるよりも重力やしなりなどの物理的な力をうまくとりいれられるように肩から肘など腕全体をうまく使ったほうがいいとか、正確なパフォーマンスを維持するには平均して毎日4時間弱の練習が必要、など、ピアノ以外にも応用の効きそうな知識がいろいろ得られた。

  • 科学が苦手な私は、題名を見てちょっとダメかもなぁと思いつつ、前から興味があったので、手にとってみました。読み始めると、科学が苦手な初心者でもわかりやすく説明されていて、そんな不安はどこかへ飛んでいきました。
    ピアノを演奏する演奏者として、今まで知らなかったこと、そして知りたかったこと、考えてもみなかったこと…色々な発見がありました。

    ピアニストの指の動きと脳の関係を実験結果とともにまとめてあり、今までわからなかったことがスッキリわかりました。
    著者自身がピアノで手を故障しており、「ピアノと身体」の関係にも深く触れていて、勉強になりました。
    ピアノと医学という視点もあり、良かったです。

    ピアノと科学…
    あまり関係性がなさそうに思えますが、こんなに密接に関わっていたのかと驚きました。
    ピアノ演奏者やピアノが大好きな方には、ぜひ読んで頂きたい一冊です。私も、もっと深くこの本を読んでいきたいと思います。

  • とっても面白かった。最近読んだ本のなかではかなりのヒットです。私はピアノは全く弾けないし音楽のことはわからないけど身体のこと、特に手の使い方などに興味がある方は読んでおいて損はありません。タイトルにまどわされてピアノに興味がある人しか読まないとしたら非常にもったいないです。手の使い方の大事なポイントがぎっしり詰まった極意書です。

  • 上腕二頭筋の弛緩とともに腕を鍵盤に落として打鍵する。
    スナップを活用。
    肘の回転。ふわりとモノを包み込むような手の形。肩の動き。何より脱力。
    本書を読みながら、アルゲリッチ、ブレンデル、バレンボイムなどの映像を見たらとても面白かった。それぞれユニークな弾き方をしているけれど、みんな脱力できている。指から動くのではなくて、肩から指へ力が伝わっている感じ。脱力できているからこそ、いろんなフォームで自在に弾けるんだろうな。

  • 前半はピアニストのスキルと脳の働きを丁寧に紐解くものの、結果は「まあそうだよね」という話で、やや冗長に感じる。
    半ばあたりから、ピアニストに必要な練習法などが具体的になってくるに従って興味深い内容が増える。outlierにも書いてあったが10,000時間の練習が一流への分かれ道とのこと。1日3時間x10年。

  • 4〜5

  • ずいぶん評価が高いみたいだけれど、敢えて言っちゃえば、フツーに考えればわかることじゃん?みたいな内容の方が多いと思う。ただ、ピアノプレイにおける様々な動作が、脳のこんなところで制御されてるんだ、へーぇ!ということを学べたのは良かったかな。

  • これは良くできた内容です。ピアニストをここまで科学的に分析することができるとは。

  • ピアニストの脳と身体が、いったいどのような働きをしているのか、実験と調査で探求。

  • 20121109読みたい
    20140120読了
    ピアニストの省エネ術を科学的に解明した本。「音楽演奏科学者」という肩書を初めて見た。著者はハノーファー音楽大学の研究員で、自身もピアノを演奏する人。●指を独立に動かしたり両手の動きを協調させたりする脳の部位が、練習によって発達促進されるのは、11歳まで。12歳以降は練習量に脳の発達が比例するわけではない。●ピアニストの職業病についての解説。過剰な練習ではなく「不適切な身体の使い方や弾き方が、演奏によって身体を傷める引き金となる」という考え方が主流になりつつある。●耳鳴りについての記述。これまで原因は耳の中(有毛細胞)と考えられてきたが、近年は脳の聴覚野の問題と指摘されている。耳鳴りとして聞こえる音の高さに対応した聴覚野の細胞が過敏になっているため。お気に入りの曲からこの高さの音を除いて聴くのがリハビリ。
    20170508蔵書

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