ベンジャミン・ブリテン

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制作 : 中村ひろ子 
  • 春秋社 (2013年12月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393935781

ベンジャミン・ブリテンの感想・レビュー・書評

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  • ブリテンといえば「ねじの回転」を数年前にDVDで見たのと、子どものころ「青少年のための管弦楽入門」を聞いた記憶がある程度で、重要な存在と知りつつちゃんと取り組むにいたっていない。それなのに、閉店まぎわの古本屋でこの伝記の新本が安く売られていて、表紙のブリテンの肖像写真がとても魅力的だったので、買って読んでみた。
    伝記というのはあまり失敗しないジャンルで、もちろんこの本も非常におもしろかった。著者は自身も作曲家であり、晩年のブリテンのそばで、スコアの改訂作業などを手伝っていたという。時系列に沿ってブリテンの生涯を淡々とたどりながら、それぞれの時代の作品の特徴がコンパクトに解説されているので、これからブリテンを聞こうという人間には非常に参考になる記述が多かった。
    ブリテンについては、テノール歌手のピーター・ピアーズと公私ともにパートナー関係にあったということ、したがってテノールが活躍するオペラをたくさん書いたということくらいしか知らなかったので、新たに知ることばかりだった。早熟の天才で10代の初めからちゃんとした曲を書いていたブリテン少年は、当時の英国における知識人、特に作家たちとかなり濃厚な交流をし、その中でポエトリーへの造詣を深め、その結果としてオペラ作曲家へと成長していったということがよくわかる。そしてこの知識人の中には、W.H.オーデンやクリストファー・イシャウッドなどの同性愛者がたくさんいて、彼らをメンターとし、知的、精神的に成長していくなかで、ブリテンも自分の性的嗜好に気付いていく。ただし、同性愛は違法であった時代で、真面目なブリテンは性的には少々オクテだったようだ。とはいえ、相当魅力的な人物だったのだろう、若いときから男性にも女性にもモテモテだったらしい。
    生涯ピアーズを伴侶として頼りながらも、「板のような胸をした少年」への抗いがたい執着もあったようだ。トラブルやスキャンダルになることはなかったようだが、この執着が、オペラ作品の素材選びに現れている。同性愛と同性愛者であることから生まれる社会的な葛藤、愛、海への思い、徹底した平和主義とは、彼の作品全体に大きく影響している。
    けして頑健な肉体の持ち主ではなかったのに、ほとんど休みなく創作活動を続けていたのがすごい。と同時に、ピアニストや指揮者としても活躍し、ピアーズとは「詩人の恋」などのクラシックなリートのリサイタルツアーなども行っていた。若いときからの精神的な抑鬱症状に加え、晩年は様々な病に悩まされていたようである。
    なお、「ねじの回転」の初演でマイルズ少年役を歌ったボーイソプラノの少年は、ミケランジェロ・アントニオーニの『欲望』に主演したデヴィッド・ヘミングズというではないの!これはびっくりなトリビアであった(IMDBのヘミングズの経歴にもちゃんと書いてある)。
    順序は逆になったが、これでブリテンの曲の魅力がどんなところにあるのか、それぞれの曲の聴きどころはどこかを知ることができた。この本を頼りに、少しずつ作品にも触れていきたい。

  • 細かな出来事が重ねられてゆくので、読み進めるのが辛くなる本

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