越境する天使パウル・クレー

著者 :
  • 春秋社
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393955062

作品紹介・あらすじ

力なき者がそれでも生きつづけるための「悪意と戦略」。迂回、先回り、横道の探索-画家のぎりぎりの闘いの痕跡を追いかけた「批評家」が、私たちに宛てた/仕掛けた最期の「手紙」。

感想・レビュー・書評

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  •  クレーをめぐる精神史を押さえることによって、著者の言葉を借りれば外堀を埋め、その上で中間領域を揺れ動くクレーの芸術の本質に迫ろうとする意欲作であるが、著者の遺著となった。クレーの芸術とベンヤミンの思考の内的な親縁性を浮き彫りにしている点も興味深い。叙述がこなれていない箇所や原稿が未整理のままに残されていたと思われる部分は、これからの展開を期待させ、いっそう著者の早世が惜しまれる。死という限界を直視しながら、生と死、男と女、生物と無生物のあわいを生きたクレーの芸術を、従来のクレー像を覆す仕方で提示する労作。

  • この文章を読んで、この本がとても読みたくなった。


     そうなのだ。クレーは、これまで一般に考えられてきたような、天使のようなイノセントな画家でもナイーヴな画家でも金輪際、ない。
     むしろ、クレーは、小心者でありながら、いや、そうだからこそ猜疑心に塗れ、狡猾で、陰険、策略家であり、詐欺師でさえある。

  • 「おまえたちの考え方はすべて間違っている。俺が正しい答えを教えてやるからありがたく聞け」的なスタンスがまず鼻につく。5%の本筋と95パーセントの側筋で構成。側筋の内容は、難解な単語・偉い人の言葉・優れた作家の書いた文章からの引用など…本書に権威をもたせる意図で使われているとしか思われない。或いは、新しい発見・主張するようなことが見つからなかったから、知っている限りのことを書き連ねたか。個人的にクレーの作品が好きなので、筆者の論文はほとんど目を通しているけれど、毎度のことながら最後となる本書もきわめて残念なものとなっている。

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