- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784395010219
作品紹介・あらすじ
路地はクルマの通れない、「劣った道路」ではない。歴史の中で、巧みにデザインされてきた生活空間である。ところが、道路の論理で一刀両断され、4m以上の幅をもつ道路にすることが求められてきた。本書は、路地というシステムが、歴史的に形づくられてきた生活空間づくりの仕組みであることを明らかにし、さらに、豊富な実例を通して、路地を起点とするこれからの都市・まちづくりを示す。
感想・レビュー・書評
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図書館で、「路地」という言葉に惹かれて借りてきた。
これは、土地区画整理事業とか開発許可で、原則4m以上の道路を整形にいれるという発想への挑戦だと思う。
ちなみに、いきなり腰砕けだが、自分は、むしろ路地を残すような都市計画論を考えるべきだと思う。
銀座でも路地はいい雰囲気をもっていることは確か。歴史的環境の街並みとか、さらに難しい密集市街地での、いわゆる4m未満の路地が不整形に入り込んでいる。これが、自動車の通行をむずかしくし、かえって立ち話など、コミュニティの維持に役立っていると思う。
ただし、3項道路とか、連坦設計では十分に環境を守りきれないし、現場の建築部局も簡単に指定や認定をだせないと思う。もう少し、都市計画論と一体となった路地保全型の地区計画を考えたらどうだろう。
(1)まず、密集市街地に広幅員の都市計画街路をぶち抜くような事業は、財源もないし、いつできるかわからないので、ガワにあたる部分に現地し、アンコの部分は、今の道路形状のそのままにして、地域の防災性をさせる仕組みを考える。
(2)2.7m,場合によってはそれより狭い幅員の路地に接している建築物であっても、法善寺横町で実践したように、隣接建物との間の窓などの開口部を禁止する、一定の高さ制限をする、屋根、壁の耐火性能を上げることを内容とする地区計画を策定した場合には、建て替えを認める。
(3)さらに、首都直下のように同時に何カ所も火災が発生する場合には、そもそも震災時には消防車はこないので、路地の一定の場所に防火水槽を整備することを地区施設で定め、その整備に一定の補助をする。地区のみんなで、小規模な火災であれば消火活動をする。
(4)路地の清掃、防火水槽の管理、年一回の防災訓練などを地区計画に定める、あるいは、地区協定で定めて、新入りであっても必ずまもらせるようにする。また、路地に穴があいた場合など、補修のルールも地区計画又協定で定めておく。
人口が減少し、都市がシュリンクする時代には、むしろ、お金をかけてむりやり再開発をするより、現状の雰囲気を維持しつつ、建て替えを進めるとともに、自分たちのコミュニティ、地域共同体で防災性を維持していることを推進すべきだと思う。
連坦設計とか3項道路とか、建築基準法単体の規制で対応するのではなく、周辺の建築物の防火性能、あるいは、維持管理と一体となった都市計画制度で対応すべきことがらだと思う。
ちなみに、これは、うまく仕組むと、歴史的風致のある街並みの保全にも役立つと考える。
付箋をつけたページ。p28,35,47,61,117,135,141,145,151,152。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
研究用。
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請求記号: 518.84||U
資料ID: 91113665
配架場所: 工大選書フェア -
サステナブルなコミュニティ形成として路地が貢献できる事が述べられている。
クルマ中心の道路設計(インフラ)の弊害が述べられている。
狭隘部に緑地スペースがあれば必然的にヒューマンスケールが生まれるのではないかと思った。