環境ノイズを読み、風景をつくる。 (建築文化シナジー)

  • 86人登録
  • 3.55評価
    • (5)
    • (8)
    • (17)
    • (1)
    • (0)
  • 8レビュー
著者 : 宮本佳明
  • 彰国社 (2007年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784395240050

環境ノイズを読み、風景をつくる。 (建築文化シナジー)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • コンペで宮本さんに興味を持ったので読みました。
    都市の隠された秘密さがしみたいな、楽しい本。
    おもしろかったです、たくさんの都市のほころび。”結局、機能が形態に宿ってる”というお話には、なんだかすごく納得。
    首都高と阪神高速はそのルートの多くを近世の土木遺産、水路のトレースすることで、高密度な都市部において”線形”というエントロピーの低い状態の土地を確保している話がほお!と、すごくおもしろかったです。そういういくつもの”ほころび”が街にきっとなにかしら良い影響を与えているということは、すごくわくわくしました。

  • 風景の中にある「ほころび」に興味を持ち、
    建築、都市的な観点より解明していく。

    「ほころび」から引きずり出される都市のでき方が面白い。

    都市を歩いて言葉にならない興味心を考え続け、仕事にした感じ。
    自分の都市に対する感覚と少し近いかも。

  •  ノイズというのは通常は雑音と訳され、処理対象となる情報以外の不要な情報のことをいう。翻って環境ノイズというのは、現在のある「計画」を純音としたときにその場に元々ある物理的要素が場合によっては雑音になることもあるというように捉えられる。ただしそれは異物感を生むものの、必ずしも負の要素であるとは限らない。むしろその雑音こそが都市の固有性や土地で起こった出来事の痕跡を生むこともある。

     本書では東京・大阪近郊と中心に国内にある環境エレメントの事例が200か所紹介されており、その中で代表的な16の事例に詳しい解説がなされている。例えば寸法や形態の似ている遺跡を駐車場に転用した例など、価値ある遺構をありのままの状態で残そうという歴史的建造物保存とは真逆のことを行っている。筆者の言うとおり、まさしく「機能が形態に従う」例である。ノイズという名のつく通り異物感を醸し出す一方で、両者の本来の持ち味だけでは発生しない出来事が起こるという点に環境ノイズの特徴がある。

    計画的にきっちりつくられたものがエラそうに見える一方で、多少ツッコミどころのあるものの方が愛らしさを醸し出すこともある。そういう目で見れば都市生活がより楽しくなると期待できる一冊だった。

  • 古くは考現学やトマソン、メイドイントーキョーなどの流れ(流行り?)。最近では、デイリーポータルZなどのサイトで行われている様な趣味のような「発見」の寄せ集め。これらのノイズを発見できるかできないかは観察者のリテラシーにかかっている。こういうリテラシーを持っていると、街歩きが楽しくなる。

    著者が「環境ノイズエレメント」と呼ぶものを分類すると下記のようになる。
    1.素材性による分類:「自然地形」「土木構造物」「文化財」
    2.加工性による分類:「トレース」「切断」

  • 2009/失念 図書館で借りる
    2009/失念 返却

    カラーページが多すぎて、読むのに疲れました。

  • 地図を眺めること、街を歩くことが少し楽しくなりました。
    地理的背景、社会的背景などを要因とする風景の成り立ちの様々なケースが紹介されてます。「風景」に対して感じるキャパを広げてくれる本です。

  • 神保町の散策時に目撃!

    「「環境ノイズエレメント」とは、空間的に現象した「計画」の「ほころび」のこと。前半は、環境ノイズエレメントというコンセプトに基づいた、風景の読み方を指南。後半は、具体的な風景や建築のつくり方を解説する。」だそうな。

    実際に読んでみると、「ほころび」への着目の価値がよく分かる。「環境ノイズエレメントは、風景にアデンティティを付与し、場所のイメージアビリティを高めることに貢献している」と宮本氏はいうが、確かに「計画」の試行するがままに均質化に向かうならば、それは「私」の存在感の希薄化を意味することになる。


    ■01 風景は都市の履歴書である (乱杭歯のようなデザインの異なる橋脚群は、国鉄の線路跡地を私鉄が払下げ、線路を引き直し、橋脚を継ぎ足したことによる)
    ■02 風景は見えない下部構造を持つ (埋め立てによって「海を失った」防波堤は、そのまま歩道を隔てるコンクリート製ガードレールとなっている)
    ■03 曲者(くせもの)には理由(わけ)がある (明大前のクランクが、不合理な迂回を強いられているのは、先行して計画され中止となった帝都の外部環状線と平行接続しようとして生じたもの)
    ■04 建築とは分節であり、土木とは連続である (線路は急には曲がれない、鉄道ジャンクション周辺には三角のヘタ地を生みやすい。その結果、三方を線路に囲まれて取り残された一軒家がある。建築は無現に広がる空間を適切に分節するが、土木の連続しよとする力の前に、建築の集合体の一部がこぼれおちている)
    ■07 形態は、ただ形態として残り続ける (列車が連結したかのように連続する一連の建物群を「トレインハウス」と呼んでいる。西梅田再開発エリアに細長くつづく商業施設も、何世代にもわたり連絡運河、鉄道、道路、建築という土地利用が過去四度にわたってダイナミックに入れ替わった歴史を物語っている)
    ■08 歴史とは実用的なものである (首都高速と阪神高速は、近世の土木遺産である水路をトレースしている。しかし、同じ線形であったも、首都高速は「ウェーデルン」のような曲線を描くのに対し、阪神高速は緒kす悦を基本としながら突然直角に屈曲する。これは大阪の河川が東西南北を基本として直交していることに起因する)
    ■09 風景は、物理(=地形)と人情(=直行グリッド)でできている (サンフランシスコでは地形を際立されることを目的としたのか、ときには道路は蛇行したり、階段に置き換わってまで、全体主義的な直行グリッドを遵守している)
    ■10 風景は、物理(=地形)と人情(=直行グリッド)でできている (一方、豊島区千川周辺では、直行グリッドのなかで特定部分だけが交差点に向かって収束しているように見える。新しい直行グリッドは、地形を積極的に無視するが、耕地整理以前から存在していた水路だけはそうもいかず、そのまま谷状の微地形のそこに沿って流れるしかなかった)

    ◆解説 by 塚本由晴
    いきいきとした空間を実現する方法には、かたち、構成、イメージ、物語、計画、企画、運営、主体、身体、感覚、自然などがある。それらが、それぞれ少しずつ違う立場から、いきいきとした空間の実践に欠かせない貢献をする。これら列挙したものどうしの関係づけが「空間の実践」であり、その関係づけによって生まれる内的なエネルギーによって「いきいきとした空間」が出現する。
    20世紀、21世紀の建築は、経済原理による空間実践様式の再編成を受けて、平準化、システム化されてしまった。一部分が壊れると全体が成り立たないもろさを備えている。重要なのは、冗長性、一部分が壊れても全体はそれなりに機能するネットワークモデルである。冗長性が高い空間というのは、余剰性、可変性、多様性を備えた空間である。環境ノイズエレメントとは、まさに空間の余剰性、可変性、多様性についての事例である。
    ※これらが生き生きとしたものというよりは、廃墟に映るとすれば、それは歴史的な空間感覚のない、現代の無時間的な空間感覚に慣れてしまった「目」のせいかもしれない。

全8件中 1 - 8件を表示

宮本佳明の作品

環境ノイズを読み、風景をつくる。 (建築文化シナジー)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

環境ノイズを読み、風景をつくる。 (建築文化シナジー)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

環境ノイズを読み、風景をつくる。 (建築文化シナジー)はこんな本です

ツイートする