箱の産業: プレハブ住宅技術者たちの証言

制作 : 松村 秀一 
  • 彰国社
3.22
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784395320011

作品紹介・あらすじ

プレハブ住宅産業はこうして生まれた!その揺籃期、1960年前後から1970年代までの動きを、当時の若き技術者たちのオーラルヒストリーで生き生きと構成。技術者一人ひとりのものがたりをもとに歴史を紡ぐ技術社会史の労作、ここに成る。

感想・レビュー・書評

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  • 住宅金融公庫の認定を受けたことによってプレハブ産業が日本で特異な発展を受けたということがよくわかりました。そして2x4はオープンで来て勝利。規格とは難しいものです。

  • 顧みられることのないものが世の中に数多くある。「プレハブ住宅」もその中に入る。




    しかし、プレハブ住宅は日本の一時代を築いている。





    1960年前後から1970年代にかけて、プレハブ住宅開発にかかわった8社16人の聞き書きをベースにしたオーラルヒストリー。




    何もないところから始めているだけに、分厚い壁がそびえ立っているが、その壁を乗り越えて各社が今も存在する。




    プレハブ住宅販売促進のために、百貨店の屋上を住宅展示場にしたのには驚いた。





    パナホーム(設立当時はナショナル住宅建材)の会長と社長が「君な、路地裏で屋台出してもしょうがないじゃないか。目抜き通りのど真ん中に出せ」と言われて、当時の営業部長は困ったがひらめいた。





    「ミナミが大阪の真ん中だから、高島屋の屋上に建てよう」と。そこで交渉したら面白いということになり実現。




    評判になり行列ができていたが、売り出して半年くらい経って実際にプレハブ住宅が建ったそうだ。





    今と違って百貨店が街のにぎわいの中心地だったからできたことだな。





    初期のプレハブ住宅がどうなっているのか見に行った様子も取り上げている。



    近鉄奈良線の石切駅を降りて歩くと「石切ヴィレッジ」がある。




    ここは、築260年の母屋を中心に各年代の建物を残す古民家ギャラリーで、その中に初期プレハブ住宅(松下1号型、1961年発売)がある。




    プレハブ住宅に関するさまざまな話が載っていて興味深かった。

  • 箱の産業

    ■住いの範型を生み出そうとする若者たち
    ・1960年、日本の住宅を取り巻く環境は、それまでと全く違うスピードで変わり始めた。
    ・時代はそれまで日本にはなかったタイプの住宅を求めていた。
    ・何とか範型を生み出そうとする若者たちがいた。
    (時代の範型を生み出す建築家世界とも・在来木造とも無縁の世界に)

    ■文化としてのプレハブ住宅
    ・プレハブ住宅とは、住宅の各部分が従前の後方よりもプレハブ化された、すなわちより多くの部分が施工現場以外の場所であらかじめ制作されるようになった住宅の事。

    ■海外の歴史
    1830年 ロンドン:産業革命時に木製パネルによるプレハブ住宅を作る企業が存在していた。
    1840年 構造躯体に鉄を使ったプレハブ住宅が植民地におくりだされるようになった。
    1850年 ゴールドラッシュの折に「ポータブルハウス」というプレハブ住宅の生産供給が盛んになった
    20世紀 世界一の工業国となったアメリカで様々なプレハブ住宅が事業化された。
        「レヴィっとタウン」-ツーバイフォー構法:住宅価格を低減
        →多くは現存せず、あれば文化財として保護対象    

    ■日本のプレハブ住宅
    ・今でも生きた技術として日常的にそこにある
    ・半世紀以上の歴史を持つプレハブ住宅を住まいの文化として再認識すべき
    ・将来を見据えた場合、自らがそうした文化の上に立っていることを明確に意識すべきではないか

    ■日本の歴史
    1960年 誕生
    1970年 本格的な生産供給体制を確立「住宅産業」という日本経済をけん引する分野
        同時にシェアの伸び悩み
    1973年 オイルショックにより高度経済成長に幕。同時に住宅戸数が世帯数を上回り住宅不足の解消
        →数から質の時代に
    ★住宅の商品化・空間と部品の開発が中心になる
     構造開発の熱は冷め、基本的には1960年代の後方が各社の中で在来構法化していった


    ■価格の高さ
    ・量産規模を確保すれば価格は下がるはずだが、期待したほど下がらなかった。
    ・理由は注文住宅としての多様な注文内容にこたえなければならない事。
    ・販売量を増やそうとすると部品の種類を増やし、現場作業への依存度を上げざるを得ない。

    ■大和ハウス工業
    ・ミゼットハウス →大和ハウスA型

    ■積水ハウス
    ・セキスイハウスA型→B型

    ■パナホーム
    ・松下1号型

    ■オープンとクローズドシステム
    ・各社の躯体を構成する工法システムは各社各様、それを構成するモジュール(基本寸法)もまちまち
    ・企業間での互換性がない。→クローズドシステム
    ・オープンシステムを建築生産の工業化として目指すべきという考えはしばしば主張されてきたが、十分に大きな生産量を確保した場合、
    クローズドシステムゆえの効率性や差別性もあり、今まで一貫してクローズドシステムである

  • プレハブ産業技術者のオーラル・ヒストリー

  • 20190921 下京図書館
    「ハウスメーカ」というのは、もともとこういうところからなんだ、と改めて腑に落ちた。

  • 建築維持活用論[Approaches for Extending the Life of Built Environment]

  • 現在の主要なハウスメーカーの技術の根幹をヒヤリングという形で整理された内容。旭化成ホームズの鉄骨ALC造へのこだわりが良く分かった。また、トヨタホームが以外と古くから住宅のシステム化に検討していたことに驚いた。

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