「自分だまし」の心理学

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著者 : 菊池聡
  • 祥伝社 (2008年8月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396111212

「自分だまし」の心理学の感想・レビュー・書評

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  • 「だます事」=「悪い事」という考え方を捨て、だます/だまされる事による、プラスの心理的効果から始まる。さらに押し進めると、自分で自分をだます事により、心理的にポジティブ感覚を覚えられるという話。だまされないために、「だまし」のメカニズムを知るだけでは当たり前であるが、ポジティブに、かつ、コントロールされた範囲で「だまされる」ことも有益。つまりは「だまし」リテラシーが必要という主旨のほんだった。これ以外にも、色々と示唆的な話題が満載で、良い読書だった。

  • <概要>
    本書でいう「だまし」というのは詐欺や悪徳商法のことではなく、
    人間本来がもっている「思い込み」や「認知バイアス」のこと

    人間だれしもがもっているこれらの認知バイアスについて
    解説した本。

    「だまし」とは?
    人間本来がもっている「思い込み」や「認知バイアス」
    のことであり情報の取捨選択時に行うフィルタリングのこと。
    例:健康な人間は自分自身に対してポジティブな幻想を
    抱きやすいが、うつ病患者は極めて冷静に自分自身を判断する。
    (プラスに見ることがない。)

    なぜだましは起こるか?
    情報を効率的に処理するという人間の情報処理能力
    ・自分自身が生存上有利になるように
    ・リソース(労力)を節約できるように
    これらのシステムが働く。直観などはこれが働いている。

    ポジティブイリュージョン
    人間は自分のことを平均以上と考える
    自分の失敗は運が悪い、他人の失敗はその人の原因と考える
    人間は自分のバイアスを正当化するような勝手な「原因」を考える。

    <感想>
    投資の本などでよく出てくる認知バイアスについて書かれた本。

    人間は「物事を視たいように見る」ものだが、それを心理学的見地
    から書いた本。上記のような種々のバイアスがあるため、
    ものごとを歪みなくとらえるというのは極めて難しいし、不自然である。

    メンタルヘルス的なことを考えると失敗したときにものごとの原因を
    1つととらえたり、するのは認知バイアスが悪い方向に働いている。

    様々な認知スキーマをもち、多様なあり方を考えることが
    メンタルヘルス上はもっとも健康。

    ただし、健康時にはある程度認知バイアスに「だまされて」、
    自分自身をポジティブに考えられたほうがよいかもしれない。

  • 自己バイアスについての本。
    誰もが(どんだけ立派な人間ですら)、自分を「だます」ことで社会に適応しているというのを、心理学的に体系立ててまとめられている一冊。

    誰も自分を「だまし」て生きています。

  • ○この本を一言で表すと?
     「自分だまし」の仕組みとその影響と活用法について書かれた本


    ○この本を読んでよかった点
    ・「自分だまし」がなぜ起きるのか、なぜ必要なのかなどが平易な文章で説明されていてわかりやすかったです。

    ・現実を直視することが健全なのではなく楽観的な考えにだまされることが健全という見方、抑うつ傾向の人はリアリストということは、自分の印象と違っていていろいろ考えさせられるなと思いました。(一章 なぜ人は「だまされる」のか)

    ・「だます」ということの定義を「①だます人、②だまされる人、③何らかの意図、④真実でない、または歪曲された情報を伝える、⑤意図通りの行動へ誘導、⑥利益を得る」ととらえるというのはわかりやすい定義だと思いました。(二章 人は無意識のうちに、自分で自分をだましている)

    ・「自分だまし」の対象はなんとなく言葉によるものだけだと思っていましたが、盲点を認識しない視覚の話や、話している人の声だけを聴き分けるカクテルパーティー効果の聴覚の話などもあって、適用される範囲が広いなと思いました。(二章 人は無意識のうちに、自分で自分をだましている)

    ・無意識の情報処理システムの諸原則第一の「生存に有利になること」はわかりやすいなと思いました。(二章 人は無意識のうちに、自分で自分をだましている)

    ・第二の「リソースを節約すること」はヒューリスティクスなど結構広い範囲で適用され、しかも自分でも気づかなかったりしそうだと思いました。占いに対する「当たったケースは後に残るが、はずれは残らない」という「直感」が血液型判断にも適用されているというのは納得できます。(二章 人は無意識のうちに、自分で自分をだましている)

    ・無意識の情報処理システムの諸原則第三の「自分を気分よくするように情報を選択・解釈・評価する」とその適用事例がいろいろ書かれていて面白かったです。「ポジティブ・イリュージョン」を「自分自身を現実以上にポジティブにとらえること」「自分が外界に及ぼすコントロール力を、現実以上に大きいと考えること」「自分の将来に対する非現実的な楽観主義を持つこと」の三種類に分類するシェリー・テイラーの定義は分かりやすいなと思いました。(三章 誰もが、自分に都合のよい「思い込み」をする)

    ・P.105,106の男の外見スキーマという「外見のいい男」と「外見の悪い男」に対する同じ性質の捉え方の違い(「決断力がある」と「軽率」、「頭がいい」と「頭でっかち」、「おおらかな」と「無神経な」など)は思い当たることが多くあり、なるほどと思いました。(三章 誰もが、自分に都合のよい「思い込み」をする)

    ・よく見聞きする「全米ナンバーワン」の仕組み(こっそり「火曜日公開映画としては」などの限定条件がついている)がわかってよかったです。(三章 誰もが、自分に都合のよい「思い込み」をする)

    ・「自分は平均以上にマナーがいいと思っている」という認識は他人がマナーを乱していることには気付いてもマナーを乱していないことには気付けないが、自分がマナーを乱していることには気付けない(気付いていたらそうそう乱さない)が、乱していないことは認識しているというギャップからというのはとてもわかりやすい例だなと思いました。こういった他人への認識と自分への認識のギャップはいろいろなことに当てはまりそうだと思いました。(三章 誰もが、自分に都合のよい「思い込み」をする)

    ・継続して無力感を味わうことでネガティブになっていく「学習性無力感」もいろいろな人に当てはまりそうです。日本人がこの「学習性無力感」に陥りやすい原因として、自分の将来を楽観的に思う傾向が弱いことというのもなるほどと思いました。(三章 誰もが、自分に都合のよい「思い込み」をする)

    ・「ポジティブ・イリュージョン」と「ポジティブ・シンキング」の違い、前者は無意識のプロセス、後者は意識的なプロセスという違いがあり、ポジティブ・シンキングにはかえって全体として不適合状態を引き起こす可能性があるという話は納得できるなと思いました。(四章 無意識のだましと、上手につきあう心構え)

    ・ポジティブ・イリュージョンの二つの方略で、自分の行動の中から価値を拾い上げていく方略と、他人を不当にバカにすることで自分の価値を相対的に高める方略があり、後者は「仮想的有能感」とも呼ばれ、自尊感情との関連が薄いという話は身近にそういった事例もあり、わかりやすいなと思いました。(四章 無意識のだましと、上手につきあう心構え)

    ・世界の見え方の転換を進め、宗教や自己啓発セミナーにはまる過剰適応の話もありそうな話だなと思いました。(四章 無意識のだましと、上手につきあう心構え)

    ・「自分で悪徳商法にだまされに行く」という人のスキーマで、「世の中はやり方次第で大儲けが可能だ」という誰もが多かれ少なかれ考えている枠組みに親和的な情報、自分に快い情報が入っていきやすく、信じたいことを信じるという流れでだまされるというプロセスは、なるほどと納得できます。(四章 無意識のだましと、上手につきあう心構え)

    ・「あるある大事典」やUFO発見番組などの「ウソは言っていないが全てを言っているわけではない」ということで「ウソ」と「だまし」は違うというのは確かにそうだと思いました。UFOや超能力者の話で真実でないと発表されていても、UFOが発見されたという「報告があった」という事実はウソではなく、その事実のみを番組で流すというのはうまい言い訳だなと思いました(倫理的にどうかはともかくとして)。(五章 「自分のだまし方」を身につければ、物事はうまくいく)

    ・「疑り深い人ほどだまされやすい」ということはよく聞きますが、「だまし―だまされる」というシステムは常に存在するのに、情報をシャットダウンすることでそのリテラシーが弱くなるからだというのは納得できる説明だなと思いました。(六章 おたくこそ、だましのリテラシーの達人だ)

    ・おたくがホットハート・クールマインドの持ち主だとかなりの文章量を割いて説明しているのは面白いなと思いました。「おたくは虚構と現実を区別できない」という偏見と実態、ゲームやアニメが青少年の犯罪を引き起こすというよく言われることと、少子化のペースをはるかに上回る中学生未満の強姦被害率の減少ということのギャップなど、おたくでない人がおたくに原因を求めるということ自体も、自分は違うと思いたい「だまし」の現れかなとも思いました。(六章 おたくこそ、だましのリテラシーの達人だ)

  • 2012/06/27 最初は浅いかと思ったが、意外と深かった

  • [ 内容 ]
    本書は「だまし」をテーマにした本ですが、詐欺に合わない方法を教えるとか、他人の心を読んで誰かをだます技術を伝授する本ではありません。
    人は無意識のうちに自分に都合よく情報を歪めて認識しているのです。
    例えば、騒々しいパーティ会場で誰かに声をかけられたときに、知人の声だけは耳に飛び込んでくるとか、自分の失敗はさまざまな要因が加わって、仕方がなかったと思ってしまうことはないでしょうか?
    これこそ、自分に都合よく情報を歪めて認識する「自分だまし」なのです。
    この「自分だまし」を正しく理解し、上手にコントロールできれば、公私にわたり物事がうまく運べるようになるのです。

    [ 目次 ]
    1章 なぜ人は「だまされる」のか
    2章 人は無意識のうちに、自分で自分をだましている
    3章 誰もが、自分に都合のよい「思い込み」をする
    4章 無意識のだましと、上手につきあう心構え
    5章 「自分のだまし方」を身につければ、物事はうまくいく
    6章 おたくこそ、だましのリテラシーの達人だ

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 抑うつ傾向の人の方が、現実を客観的、中立的に正しく捉えている傾向がある。逆に健康な人は、ポジティブな意味で現実を歪めて(=「自分を見るとだまして」)解釈している、と。
    正しさに拘っても必ずしも幸せに繋がるわけではなく、人間の本能的な認知の歪みを含めて、上手く自分をだますことが楽しく生きるコツとのこと。それを体現してるのがオタクたちであると。2年前に出た本なのにAKB48に言及してたり、著者のオタ臭もなかなか。

  • 信大人文学部の教授が書いた本。

    「だまし」のメカニズムを知って、うまく利用しようというお話。
    学術的というより実用性を重視した内容に感じた。

    その分、興ざめした部分は否めない。

  • 人間は、気づかないうちに自らをだましているんです。
    べつにそれは悪い事じゃないんです。

    むしろ、
    自分で自分をだますことによって、公私にわたり物事がうまく運べるようになるんです!

    さあ、だましのテクニックを詐欺師から、カルト集団から、ヲタクから、学ぼうじゃないか!!

  • 「アクティブなおたくは、自分自身をわかっている」

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