世界史の中の石見銀山(祥伝社新書202) (祥伝社新書 202)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396112028

作品紹介・あらすじ

小さな銀山が世界に果たした驚くべき役割とは?石見銀山がなかったら、世界史はどう変わったか!なぜ、当時の全世界産出量の3割の銀が取れたのか。

感想・レビュー・書評

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  • もうですね、とにもかくにも。
    すっごく面白かった!!

    学校の歴史の授業はあまり好きではなかったのだけど
    こういう風に複雑に絡み合った国の歴史、文化、宗教を総体的に知ることができていたら
    その認識も変わっていたかもしれないと思う。

    筆者も書いていたけれど、歴史を推考していくことは
    上質なミステリーを紐解いていくことに似ている。

  • 石見銀山そのものというより周辺史。
    前半は同時代史を追うだけかと思ったら、特にポルトガル滅亡の影響に目を向け、銀増産のためのアマルガム法の大久保長安への伝承と、技術者の国内への伝播、大久保家改易の原因、博多の神谷家についてなど仮説とはいえなかなか面白い。

  • 【目次】(「BOOK」データベースより)
    序章 石見銀山は、今ー自動販売機の見当たらない古い町並み/第1章 金銀王国ジパングー黄金の国「ジパング」は、誇張ではない。日本は、金も銀も有数の産出国だった。/第2章 日本と世界の大航海時代ー勘合船、御朱印船による日本人の海外雄飛/第3章 なぜ日本の外来語にはポルトガル語に由来する単語が多いのか?/第4章 石見銀山を支配した謎の豪商神屋家ー日本の大航海時代の目的は、呂宋壼と井戸茶碗/終章 石見銀山とポルトガル

  • 興味深いが仮説臭が強いか。石見の銀の流れ等はこっちのほうが具体的.

  • 高校で世界史取ったのに、知らないことが多々あり。石見銀山もそうですが、世界史にも興味の沸く一冊だった。世界史のとっかかりは、この本を再読してから・・・とも思った。

  • 島根の世界遺産「石見銀山」に訪れる前には読んでおこう。

    石見銀山が開発されていた当時の日本や世界の情勢が書かれている。
    銀山での生活等にはあまり触れていない。タイトル通り、世界と日本の横のひろがりがわかるように書こうとしています。

    ただ、銀山視点ではなく世界視点が強い。大航海時代の説明とか詳しすぎた感じがしなくもない。この本を手に取るくらいだから、歴史にはある程度の基礎がある人が読むはず。ちょっとくどいかも。
    __

    山本兼一『銀の島』を読んだんだけど、この本の内容とリンクしていたのでより面白く読むことができました。

    日本で銀がたくさんとれたのによくヨーロッパに攻め込まれなかったなと思っていたので、その点だけは納得。
    ポルトガルもスペインも大航海時代の終わりの頃はピンチだったんだね。盛者必衰ってことだ。太陽の沈まない国なんてないんだね。

    あと、ポルトガル文化が日本に根付いたことに関する指摘が説得力があってよかった。自分も文化の定着についてはこの考えを使おうと思った。
    「しばしば、文化の伝播ということが言われる。しかし、文化だけが羽をはやして飛んでくるわけがない。その文化の担い手の人々と、接触を繰り返さなければ、その文化は決して根付かない。」
    そうだよね。教科書は海外から持ち込まれたものが即採用されてものすごい効果を上げたというような錯覚を引き起こす文面を載せていたりする。

    でも、その文化が残るということは淘汰され洗練されて残ったということを理解していないといけないのだと思う。

    この部分は、心に染みました。



    ただ、石見銀山のことを深く知れたかというと微妙なので★×2で。

    石見銀山の鉱夫を扱った時代小説とかでないかなぁ・・・

  • 世界自然遺産にも登録されている石見銀山に関する本で、戦国時代には大量の銀を産出していて、その量は当時の世界産出量の3割を占めていたとのことです。日本はその銀を用いて貿易をしていたので、日本の銀が世界中を駆け巡ったようです。

    日本は銀を差し出す代わりに、何を得たのだろうか、それによって日本は発展してきたのだろうか等、思いを巡らせながらこの本を読みました。

    後に産出するようになった金もそうですが、早めに貴金属を掘りつくしてしまった日本は、加工して付加価値を高めて世界と貿易するようになり、それが今の日本の強みに繋がっていると思います。

    また、この本を読んで、江戸時代において金銀交換比率が日本と欧州とで差が大きかった理由(p47)もわかり、昔からの疑問が解決して良かったです。

    以下は気になったポイントです。

    ・戦国時代においてポルトガル人が大勢いたのは、本国が滅亡したため(1580~1640年までスペインに併呑)日本へ亡命したから(p16)

    ・徳川期に入ってからの最初の銀山奉行である大久保長安は、甲州武田家の金山開発を担当した、石見銀山には慶長6年(1601)から関わった(p38)

    ・ペルシア仁の宰相アーマッドは、人類史上初めて本格的に紙幣を発行した、銀本位制で兌換制度があったが、国家財政の赤字補填のために発行しすぎてインフレ発生となった(p44)

    ・石見で得られたノウハウは、佐渡金銀山、伊豆金銀山、生野銀山に応用された、佐渡には石見を姓とする人が多い(p45)

    ・日本では、石見銀山の銀が輸出に回った関係で銀の量が多くなく、銀相場が相対的に高かった(金1:銀5)、欧米では中南米で大量の銀が採掘されていたので、金1:銀15であった(p47)

    ・600年も前に、海上自衛隊の護衛艦と同じ総トン数(3000トン)が実在した、鄭和はこれら巨船を含めた62隻の大艦隊であった(p53)

    ・朝貢貿易とは、周辺民族が形ばかりの貢物を持参すると、それを何十倍も上回る下賜品が授けられ、一種の経済援助である、周辺国は中国の年号を用いる必要がある、日本も5世紀辺りまでは中国王朝の冊封体制にあった(p58)

    ・世界一周をしたマゼラン本人は死んだが、5隻あった船団は、1522年9月にビクトリア号1隻(19人)でスペインへ帰港した、1隻分の香料を売り払っただけで遠征の総費用を賄ってあまりある財産が残された(p92)

    ・マゼランが地球が丸いことを証明してから、トルデシリャス条約による分界線のみで十分でなくなった、太平洋上の分界線としてサラゴサ条約が締結(1529年)された、それによると札幌はポルトガル領、根室はスペイン領となる(p93)

    ・1580年までに30万とも言われる数のキリスト教徒がいた、17世紀には150万人以上、人口比(10分の1)で考えてキリスト教徒の信者は史上最高(p103、161)

    ・スペインによるポルトガル併合を知った、マラッカやマカオ在住のポルトガル人は、かなりの人数が日本を目指した(p106)

    ・アルゼンチンは、銀という意味、銀の元素記号(Ag)はここから取ったもの、スペイン語では銀はプラタ、銀と似ているのでプラチナと名付けられた(p139)

    ・足利義満は、中国の半属国をという形をとる冊封貿易(日本国王源道義)をして、聖徳太子以来の対等外交を朝貢貿易に変えた(p169)

    ・秀吉が公布した陣中御触れ書きは、壱岐、対馬、朝鮮に対するものは、ほぼ同文である、四国征伐、九州征伐の延長線上に朝鮮征伐を考えていた(p189)

    2010/08/31作成

  • [ 内容 ]
    小さな銀山が世界に果たした驚くべき役割とは?
    石見銀山がなかったら、世界史はどう変わったか!
    なぜ、当時の全世界産出量の3割の銀が取れたのか。

    [ 目次 ]
    序章 石見銀山は、今―自動販売機の見当たらない古い町並み
    第1章 金銀王国ジパング―黄金の国「ジパング」は、誇張ではない。日本は、金も銀も有数の産出国だった。
    第2章 日本と世界の大航海時代―勘合船、御朱印船による日本人の海外雄飛
    第3章 なぜ日本の外来語にはポルトガル語に由来する単語が多いのか?
    第4章 石見銀山を支配した謎の豪商神屋家―日本の大航海時代の目的は、呂宋壼と井戸茶碗
    終章 石見銀山とポルトガル

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  • 著者が何を言いたいのかってのが正直よく分からなかった。

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著者プロフィール

1938年、群馬県生まれ。島根県立大学名誉教授。若くしてSF小説界にデビュー。歴史小説や社会評論など幅広い分野で執筆活動を続ける一方、古代日本史を東アジアの流れのなかに位置づける言説を展開して活躍。著作には数多くの小説作品の他、ノンフィクション作品として『たのしく老後もはたらく生き方』(ビジネス社)、『ヤマトタケルの謎-英雄神話に隠された真実』『「宇宙戦艦ヤマト」の真実 いかに誕生し、進化したか』(いずれも祥伝社新書)などがある。

「2023年 『不思議の国 ニッポン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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