- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396112134
感想・レビュー・書評
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川喜田二郎と言えばKJ法。KJ法といえば川喜田二郎という発想が出てきてもおかしくはないだろう(KJ =KawakitaJiro)。
そのKJ氏が書く「創造性とは何か?」は創造性を生み出すためとか、KJ法のやり方、アイデアについて、の本かと思いきやもうすこし土俵の大きなお話であった。
創造性とはどのような性質のもので、それが人間という存在とどんな関係があるのか、あるいは社会と創造性はどのような関係であるべきか、というようなお話。
プロジェクトや組織についてのお話(移動大学)もあり、そのあたりも興味深かったが、発想法を求めている人に得るところは少ないだろう一冊。
この本の内容に、現代のソーシャルというものを加えて再構築してみるのも面白そうな試みである¥、と思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
言葉を大事にするひとだね。
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主体性の見解が自分の考えていたものと違った
創造性と保守性は対立しつつ循環する
一筋縄でいかないところに苛立ちを覚えるがそれがないとないでそれはまたつまらなくなるのかなあ -
創造的であることは常識から離れていること。
既存の仕事や考えを効率化していくシステム化していくのは保守。保守の中にあたらしいアイディアが生まれ,壊していく。それがまた保守化していく。繰り返し。長いスパンで物事を見れば,対立矛盾する物や概念も調和していることに気づく。
「絶対的な受け身から真の主体性が生まれる」
「辛いことは嫌なこと,楽なことは好きで楽しいことというくだらない常識」
ひと仕事をする=創造的な仕事
自発的に問題解決をする,既存の手本がない,それをする切実さ+継続的な実践における繰り返し -
KJ法は知っていたけど、それを生み出した川喜田二郎氏がどんなことをやって来たか知らなかったので、そこが一番興味深かった。
創造性と保守性(伝統)は対立しつつ循環する。創造性とは問題解決能力のことである。 -
創造とはどのようなことか、創造のプロセスはどのようなものか、創造の秘訣などについて、文献から学んでください。特に、物語をつくるときに、先が見えないなかで時間展開を追いながら書いて/描いていくという「つくり方」について意識的に読んでみてください。
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人は城人は石垣人は堀情けは味方仇【あだ】は敵なり
武田信玄
「創造性とは問題解決の能力である」と説いたのは、「KJ法」創始者の川喜田二郎。自身のイニシャルでもあるKJ法とは、カードを使ってデータをまとめる問題解決技法である。先入観を排して状況を構造化できる、体系化された方法という。
1920年、三重県に生まれた川喜田は、みずからを「戦中派」と称していた。京大卒業後に陸軍歩兵となり、軍隊経験のなかでチームワークの基本を体得した。それは、私心を離れた「パブリック・マインド」こそ、他人を動かす力になるということだった。
他方、登山を通して、危険防止はチームより個人の問題であることを痛感。そして、問題解決には、チームワークで処理できるものと、個人で処理するものの二つがあるという認識のもと、KJ法を考案したのだった。
その後、69年から20年近く、KJ法とフィールドワークを通して問題解決法を学ぶ「移動大学」を開催。2週間限定で開催された移動大学では、創造的行為に燃えあがる強力なチームが生まれたという。それを例えたのが、掲出歌。江戸初期の軍学書「甲陽軍鑑」に、武田信玄の言葉として紹介されたものである。
勝敗を決めるのは、堅固な城ではなく、「人」の力。人々の個性や才能を把握し、それを十分に発揮させるようなチーム作りこそ、問題解決の糸口となるのだろう。「戦中派」の発想に学ぶところは多い。
川喜田は2009年没。享年89。
(2012年2月5日掲載)