言葉にして伝える技術――ソムリエの表現力(祥伝社新書214)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396112141

作品紹介・あらすじ

私たちが日頃なんとなく「おいしい」を伝えたつもりで使っている表現は、およそ不完全なものばかりだという。それは、深く意味を考えずに常套句を使っていたり、先入観にとらわれて、本当はどうなのかを正しく言い表わせていなかったりするためだ。そこで、正しい感覚を取り戻し、言葉の数を増やし、表現力を豊かにするためのプロセスについて解説したのが本書である。

感想・レビュー・書評

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  • ・表現上手になるには、常にポジティブになろうとする。
    ・相手を褒める

  • 以前、ワインの味見をした人が「馬小屋の藁」の「味」と言ったのか「香り」と言ったのかは忘れましたが、とにかく驚いたのが「馬小屋の藁」!これってあり?全然理解できないって思ったものです。一方でテレビのコメンテーターが「肉汁がしゅわっと」って言う味の表現もどうかと思っていたので、一体、美味しさをどう表現するのか少しでも知りたく読んでみました。
     
    ソムリエじゃないから(みそソムリエだけど)この本によると「美味しい」でいいそうです(そう単純じゃないけど)
     
    昔は賞味期限とかなくて、臭覚を敏感にして食べられるものを選ばないといけなかったです。「三丁目の夕日」って映画では、シュークリームを臭いで腐っていると判断した薬師丸ひろ子が捨てるように言ったのだけど、それでも食べたい堀北真希がそれを食べておなかを壊すシーンがありました。
    でも、賞味期限に頼るようになって、自分で判断できなくなっていますね(ワープロで漢字が書けなくなったり、スマホで電話番号を覚えられなくなったりって言うのと似ているような)。
     
    「思ったよりも癖がなくて食べやすいですね」「飲みやすい日本酒ですね」って言う言葉はよく聞きますが、じゃ、食べたり飲む前は「癖がある料理」「飲みにくいのが日本酒」って思っていたのか。そもそも、「飲みやすい」は誉め言葉なのか?個性があって、ある人には「飲みにくい」って感じることこそ日本酒の良さかもしれない。一方で、いろんなコンクールなどあるけど金賞とかもあるけど、そういう権威も大事だろうけど、「美味しい」って単純な言葉でいいから、喜んでもらえるファンを作ることは食にかかわるものとして大切かな。

    田崎さんはその食品やワインが商品が本来持っている美味しさを言葉にして記憶する必要があるのでしょう。でも、一般人の私は、美味しさは、本来そのためのが持つおいしさの他に、「ギンギンに冷えている」ビールをめちゃくちゃ熱い日に飲むとか、すごく楽しい友達と飲むとか、いろいろ周りの影響を受けたりして「美味しさ」が生成されます。それも重要な要素になるような気もします。

  • 五感を鍛えようと思った。

  • ソムリエ田崎真也さんが書いた本、堅苦しい内容かなという先入観があったが、意外と読みやすい文書ですっと読めました。
    特に印象に残ったのは、嗅覚を鍛える、味覚を言語化し、整理する、
    ワインを表現する香りにねこのおしっこの匂いが使われていること。

  • 世界のトップソムリエである筆者が、ソムリエとして飽くなき努力の積み重ねによって身に付けてきた表現力を培うノウハウやアプローチ法、心構え等を惜しげもなく披露してくれる。その言葉にして伝える技術をTPOにて応じて使い分けることができるようになると、ビジネスシーンや日常での円滑なコミュニケーションの助けになるのではないかと思う。

  • 普段、我々が何気なく遣う食事に関する言葉も実は思い遣りに欠けていたことが分かる。言葉にして伝える仕事はいくらでもある。五感を鍛えることの重要性が強調される。

  • 最初はなんか癪に障る感じがしたが、それは自分が出来ていないからそう感じるのだと思う。
    食品会社に務めているので、何かヒントにならないかと読んでみた。普段自分が使ってしまっていた表現では味が伝わらないことがわかった。すぐに習得できる技術ではないが、商品を作るときや普段の生活での食事のときに香りを意識して感じていきたいと思った。

  • 「美味しい」と言うのは簡単だけど、結構それで終わってしまう。味を伝えるには香りを含めて言うべきで、例えば「肉汁がじゅわっと」だけではどんな肉汁なのかわからない。また先入観で思い込まないこと。
    表現するにはそれぞれの個性を伝える必要があり、マイナスの表現ではなく「リンゴのような」みたいに果物・植物・スパイス等共通の単語に置き換える必要がある。特に日本語は嗅覚からくる表現が少ないという。「生ハムメロン」の組み合わせの理由も納得。
    まずは食べログのレビューから使ってみたい。

  •  あらためて、用いる言葉や伝え方について考えさせられる一冊。

     表現力もさることながら、「香りを嗅いだ瞬間から、右脳を経由せずに、直接左脳で、すでに言語化している香りや味わいの表現を使って分析している」というソムリエの技術に関心させられた。

     個人的に”わが意を得たり”と読んだのが、純米酒原理主義者や、ビオワインの信仰者に関する記述。自分の場合は、「嗜好品だし、おいしければいいじゃん」くらいのレベルの低い話なのだが、本醸造も酸化防止剤入りも全然アリ。

  • 私の最近の読書ブームの火付け役となった本。香料会社にお勤めの方が、数百種類もある香料をどうやって覚えているのか?参考にされていた本だということで読んでみた。グルメリポーターがきちんと味を伝えられていないというのに納得。食感や産地などでは食品の美味しさは伝わらない。美味しさを詳細に表現するためには、感性を磨いて意識的に語彙を増やすことが大切だということがわかった。

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著者プロフィール

1958年、東京都生まれ。1995年、第8回世界最優秀ソムリエコンクールで日本人として初めて優勝、世界一の座につく。以降、ソムリエとしてのみならず、ワインを含む酒類と食全般にフィールドを広げて活躍。99年、フランス農事功労章シュヴァリエ受章。2011年、黄綬褒章受章。現在、国際ソムリエ協会会長を務める。ワインだけではなく、日本酒や焼酎にも造詣が深く、『ワイン生活』(新潮社)、『本格焼酎を愉しむ』(光文社)などの著書がある。

「2016年 『No.1ソムリエが語る、新しい日本酒の味わい方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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