ヒッグス粒子の謎(祥伝社新書290) (祥伝社新書 290)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396112905

作品紹介・あらすじ

ヒッグス粒子は、真空中に充満し、物質に質量を与え、この宇宙を誕生させたとされ、「神の素粒子」とも呼ばれる。ヒッグス粒子とは、そもそもどのようなものか、そしてこの発見が物理学にとってどのような意味を持つのか?素粒子物理学に馴染みのない読者にもわかるよう解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 物質に重さ(質量)を与える素粒子である。
    その概念がわかりやすく説明されており理解しやすい。
    CERNでの研究の内容も、意義も良く分かる。

    様々な理論は統一されて、発展しており、相対性理論と量子論の統一ができることを期待されている(らしい)。

    エネルギーと質量は等価である。E=mc^2
    自然界の4つの力:重力、電磁気力、強い力、弱い力
    素粒子には17種類 (だんだん分からなくなる)
    真空は「空っぽ」ではない (イメージがわかず理解不能)

    • nico314さん
      だいさん、こんばんは!

      >真空は「空っぽ」ではない (イメージがわかず理解不能)

      確かに私も想像できません。
      食わず嫌いで想像...
      だいさん、こんばんは!

      >真空は「空っぽ」ではない (イメージがわかず理解不能)

      確かに私も想像できません。
      食わず嫌いで想像しようと努力できないところもあります。

      2014/08/21
  • ・正確には、質量は何かというと、ふた通りの定義のしかたがあります。ひとつは、光のスピードからどのくらい遅くなるかを示す量のことです。「慣性質量」と呼ばれています。質量にはもうひとつ、「重力質量」というのがあって、こちらがいわゆる「重さ」です。このふたつが非常に高い精度で一致していることが実験から分かっています。この理由はまだ不明ですが、一般性相対理論を支持する「等価原理」のひとつです。

    ・宇宙誕生直後に温度が下がって、平均してゼロになった時に何かが起こった。何が起こったかというと、それまで何もなかった真空がヒッグス場に満たされ、エネルギーが低くなったのです。
    だから、平均したら何もないのではなく、ヒッグス場があった方が、エネルギーが低くなります。自然は、エネルギーが低い方を選ぶので、この状態が真空の環境になったわけです。
    するとこのような真空ではどのようなことが起こるでしょうか。
    力を伝える素粒子に、弱い力を伝えるW粒子とZ粒子、強い力を伝えるグルーオン、そして電磁気力を伝える光(光子)があることはすでにお話ししました。我々の住んでいる環境(=真空)は、弱い力に満たされている変な状態なので、W粒子・Z粒子が質量を持っている訳です。
    だから、素粒子は今でも性質として質量がゼロです。しかし、真空という環境が変わったために、その中を運動していると質量を持ったように見えているのです。
    では、それぞれの素粒子の質量の違いはどうして生まれるのでしょうか。
    真空がヒッグス場に満たされ、ヒッグス粒子みたいなのがいっぱいいるわけだから、運動していくとぶつかります。
    トップクォークは非常によくヒッグス粒子とくっつくので、何度もぶつかって進んでいかなくなります。電子はたまにぶつかるだけなので、そんなに減速されません。ニュートリノはほとんどぶつからないので、そのままスーッと通り抜けていきます。

    ・2011年頭から2012年6月までの1100兆回の衝突の中から、光が2個出ている現象を探し、計算して求めた質量分布を取ってみます。この時、二つの光は質量としてはまったくランダムに分布しています。ところが、もしヒッグス粒子から光がきたとすると、ヒッグス粒子はひとつの質量を持っているので、その質量のところに山が見えるわけです。
    …この質量のところの山が、バックグラウンド現象という他の現象で生じる光の発生と比較して標準偏差シグマの5倍以上になるのを「5シグマ」といい、私たちは発見と呼んでいます。5シグマだと、たまたまふらついてこの数になってしまう確率がだいたい100万分の1以下です。

  • 12.9.27 NOT FOUND

    本書「ヒッグス粒子の謎」は、CERNの中の人、厳密にはCERNに出向している日本の実験物理学者が著したタイトルどおりの一冊。

    ポイントは、著者が実験物理学者であるというところにある。

    404 Blog Not Found:何人たりとも斥けぬ力 - 書評 - 重力とは何か
    本書の主題「重力とは何か」に書かれた本は多い。世界一有名な物理学者アインシュタインの主業績ということもあり、レッドオーシャンどころか赤方偏移が進んで2.7Kになりそうなほど。その中であえて飾りっけゼロのタイトルを持って来たところに、著者と編集者の自信が伺える
    このとおり、理論物理学者の手による物理入門は少なくない。「重力とは何か」しかり、「宇宙は何でできているのか」しかり。佐藤勝彦のように出す本が片っ端から名著になりすぎてかえって単著を取り上げにくい人までいるし、南部陽一郎のようにすら著者リストに連なる。

    しかし数において圧倒的に多いはずの実験物理学者による一般入門書となると、ぐっと少なくなる。「ニュートリノ天体物理学入門」ぐらいではなかろうか。サイレント・マジョリティー。まるでニュートリノではないか。

    そのニュートリノは、重力と弱い力にのみ反応する。だからなかなか見えない。しかしこの弱い力ほど、近年の物理学者たちを魅了してきた相互作用もない。著者は言う。「本当は『重い相互作用』と言うべきです」と。

    本書は、読者にその「重い相互作用」の重さを実感させるためにある。実際四つの相互作用のうちゲージ粒子に重さがあるのは「重い相互作用」だけだし、粒子の世界において「重い」は「なかなかお目にかかれない」を意味し、そしてヒッグス粒子は「重さ」という概念そのものの根幹を成す粒子である。

    そのなかなかお目にかかれない重い粒子を覗くための装置、LHCは世界で最も重い科学装置でもある。なぜそれほど大きく重い必要があるのか。その大きく重い装置を成立させるのに一体どれほどの人々が関わっているのか。本書は、彼らの血と汗と涙の臭いがする。物理(physics)とはこれほど肉体的(physical)なものだったのか…

    しかし悲しいかな、多くの人々の血と汗と涙が関わっているということは、個々の人物に焦点を当てにくいということでもある。それを最も端的に示しているのが、ノーベル賞の受賞パターン。もう圧倒的に「理高実下」。アインシュタインが受賞してエディントンが受賞せず(まあ受賞対象は一般相対論ではなかったけど)、李政道と楊振寧が受賞して呉健雄が受賞せず…小柴やルビアのような例もあるけれど、これも関わっている人数が多すぎるにも関わらず、平和賞を除いて団体受賞が用意されていないため「代表」に渡したという意味合いが強い。こんなぼやきが出るのも当然だ。

    私の友人にも、「もし、このヒッグスに関連して受賞することになっても約8000万円、それらをヒッグス等、理論の人と実験側で分け、さらにCERNでこの研究に携わった科学者は数千人単位だから、ひとりあたりいくら…と一晩の飲み代にもならないな…」などと気の早いことを言っている人がいます。
    ノーベルが悪い。

    とはいえ、別に彼らはノーベル賞が欲しくてこの稼業に取り組んでいるわけではない。いや稼業というにはあまりに儲からない。LHCの建造費用は3800億円。ノーベル賞など棟上式のおひねりにもならない。余談であるが、LHCの前にはSSCという計画があって、その見積もりは7000億円(とあるけど、それは今が円高だからで、当時は「一兆円」だった)。結局お取り潰しにあって物理学者たちはクビになり、クビなった物理学者たちの就職先が金融工学で、彼らの編み出したクォンツがその後のITバブルとリーマンショックの遠因になったのだとか…

    本書にはそんなこぼれ話がいくつも出てきて、それだけでも別の本が一冊書けそうなのだけど、本筋に戻って、一体何が彼らを突き動かすのか?そしてなぜ彼ら実験物理学者を、それ以外の市井の我々は後押しすべきなのか。

    そう。実験物理学者にもなれない、市井の我々。税金を通して彼らを支えている以上、我々もまた無関係ではない。本書はその意味で説明責任の書でもある。いや、説明責任といったけれども、こんなわかりやすくて面白い報告書はない。「ブラウン管も加速器」「素粒子はウソつき」「陽子一個がショウジョウバエ一匹」…これほど物理本で抱腹絶倒したことはありませんでした。責任を持つ=be responsibleというのは、重いけど実は楽しいことでもあるんだよね。

    弱き実験物理学者たちの本当の重さと楽しさをを、ぜひその手で。

    Dan the Weak Force of the Cyberspace

  • ヒッグス場は質量の起源であり、多様な宇宙の源であるという魅力的な触れ込みに惹かれる。難しすぎる世界をかつてないほどわかりやすく書いてくれていて、”加速器は巨大な顕微鏡のようなもの””ヒッグス場(群衆)の中に現れた人気者(素粒子)は歩くスピードが遅くなるから質量が生じたように見える”など、おおっ!なるほど!!と思った。が、やっぱり難しくてわからない・・・笑

  • 量子力学というわけのわからない世界、そのわけのわからなさを理解してみたいというニーズに応えるうちの一冊。
    「慣れれば良い」との考えのもと、色々と手当たり次第に読んでいますが、この本はヒッグス粒子に的を絞ってあり、物理学との違いについても解説してあって少し受け入れることができました。
    なぜぐるりと見渡すと360°なのか、との問いに、光のスピンがそうだから、と簡潔に回答する姿勢が素晴らしい。

  • ヒッグス粒子について、それがどういうものなのか、そして最先端ではどんな研究が行われているのかを、わかりやすく解説してくれる本です。
    本の執筆時点で、まだわからないことはわからないと、きっちり書かれているのも好印象でした。

  • 纏まりなく繰り返すだけなので解り難く結局謎だ

  • 素粒子理論の最先端にあるヒッグス粒子とは何か、素粒子の標準モデル、LHCの話、ビッグバンの話とか、てんこ盛り。残念ながら、僕の理解は中途半端に終わり、モヤモヤ感が残った。何回も読めばわかるとも思えないんですけど、著者のせいなのか、元々僕には難し過ぎるのか...。

  • ヒッグス粒子については、この本をよんでも理解できなかった。
    そもそも量子力学ってどうしてあんなにわけがわからないのか。
    素粒子がとんでもなく小さいものということはわかった。
    「ヒッグス場とヒッグス粒子」とか、「自発的対称性の破れ」なんかになると、頭が理解することを放棄してしまう。
    でも、とにかくすごい発見らしいぞ。

  • 新書らしく、専門的な内容を極力抑え、興味をもってもらうことに力点がおかれている。その意味で中高生をメインターゲットにしていると思われる。

    ノーベル賞受賞者の功績を振り返りながら、素粒子物理の世界を紹介し、LHCでその発見に躍起になっているヒッグス粒子とは何なのかを解説する。

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