- Amazon.co.jp ・本 (489ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396208981
作品紹介・あらすじ
「戦え。戦い続けろ」将棋プロ棋士の卵・塚田は、赤い異形の戦士と化した十七人の仲間と共に、闇の中で目覚めた。謎の廃墟を舞台に開始された青い軍団との闘い。敵として生き返る「駒」、戦果に応じた強力化など、奇妙なルールのもと、現実世界との繋がりが見えぬまま続く七番勝負。それは、まるで異次元の将棋だった。頭脳戦、心理戦、そして奇襲戦。コンクリートの要塞"軍艦島"で繰り広げられる地獄のバトル。これは神の仕掛けか、悪魔の所業か。エンターテインメント界の鬼才が、圧巻の世界観で贈る最強長編。
感想・レビュー・書評
-
主である人間将棋の部分は
少年漫画を読んでいる感覚に近く、
キャラクターや能力も豊富で手に汗握る展開。
○番勝負という形式なのに、目次に第○局と書いてしまっているので、なんとなく先に展開がネタバレされてしまっているような気がしたが、ここにも秘密があった。ぜひ最後まで読んでいただきたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
冒頭の数ページでは『クリムゾンの迷宮』と設定が同じに見え、ネタ切れかと失礼な感想を持った。読了すると、実際は根本的に違うことも、主に据えてあるのは盤上の駆け引きと人間のどうしようもなく暗い部分なのだと分かる。特に平易な言葉ばかり使うわけでもないのに、将棋や囲碁に詳しくなくとも分かるよう描写されているのがすごい。最後まで一気に楽しめる。
主人公の塚田に共感できない(または共感してはいけない)部分が残念。誰だって内側の暗黒面は見たくないのに塚田を通して見てしまうので。後書きを見るにその暗黒面こそテーマというから言ってもしょうがないことだけれど……
ただ露悪的ではない。勝負師の世界でギリギリを生きた男の遣る瀬無さや、人の心が耐えられない程の喪失感を、本筋の傍ら断章として丁寧に綴ってある。散りばめられた謎や塚田の引っ掛かりが、本筋と断章を読み進めるにつれて解けていくのはある種の快感。
ノン・ノベルの扉挿画も良かった。多くのヒントを元に創作された特徴的なキャラクターを生き生きと、想像の余地を残しつつ描いてある。ギリシャ神話やらヨーロッパの民間信仰やら様々なところから拝借された名称も個人的にはグッときた。塚田は「ネーミングのセンスには付いていけなかった」と言うが。 -
貴志さんの作品好きなんだけど、これはそんなに
似た感じの『クリムゾンの迷宮』の方が百倍面白かったかな -
これぞ!貴志祐介‼︎ クリムゾンの迷宮に似てるかな?
その名の通り、ダークな戦闘シーンが続きます。合間に現実の話が出てきますが、これがつらくて。
なので、これは貴志祐介好きな方にはオススメですが、そうでない方はどうかなーと悩むところです。
もちろん私は好きです。 -
自分には合わんかった。
-
以前から行きたいと思っていた軍艦島が舞台で、しかも貴志祐介の作品!ということで、即買いした。
貴志祐介の作品は設定が細かく、まずその土台を掴んでいくことに苦労するのだが、今回もゲームで用いる駒の名前や特性、ルールを覚えるのに少々苦労した。しかし、それも最初だけで、とにかく読み進めていくと止まらなくなり、途中で挟む断章とも相まって、とにかく結末が気になって仕方がない。読者からするとバッドエンド?もしくは勝者となったのにあまりスッキリしない感じがあるのだが、主人公からすると最後の終わり方はハッピーエンドとして迎えられたのかもしれない。 -
突如異世界で人間将棋のようなことをすることになったプロ棋士候補とその友人知人。
設定は良し。
ゲームの合間の現実編?との行き来が最初は馴染めなかったが,塚田の過去が徐々に明かされていくに従ってのめり込んでいった。
で,結局なんだったのか・・・ -
貴志祐介の安定のおもしろさ。異次元の世界の章と現実世界の章が交互に進むから、異次元での緊張マックスの戦いもそこまで疲れずに読めた。戦いの隙間に伏線がちらちら出てくるので異次元と現実がどうリンクしてくるのか気になり読むスピードが加速する。終わり方も私は好きです。
将棋については、駒の動かし方と将棋漫画を読んでの知識しかなかったけど、さほど困らなかった。