賛美せよ、と成功は言った (ノン・ノベル)

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著者 : 石持浅海
  • 祥伝社 (2017年10月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396210366

賛美せよ、と成功は言った (ノン・ノベル)の感想・レビュー・書評

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  • +++
    武田小春は、十五年ぶりに再会したかつての親友・碓氷優佳とともに、予備校時代の仲良しグループが催した祝賀会に参加した。
    仲間の一人・湯村勝治が、ロボット開発事業で名誉ある賞を受賞したことを祝うためだった。
    出席者は恩師の真鍋宏典を筆頭に、主賓の湯村、湯村の妻の桜子を始め教え子が九名、総勢十名で宴は和やかに進行する。
    そんな中、出席者の一人・神山裕樹が突如ワインボトルで真鍋を殴り殺してしまう。
    旧友の蛮行に皆が動揺する中、優佳は神山の行動に〝ある人物〟の意志を感じ取る。
    小春が見守る中、優佳とその人物との息詰まる心理戦が始まった……。
    白熱の対局を観戦しているような読み応え! 倒叙ミステリの新たな傑作、誕生。
    +++

    碓氷優佳物語の最新作である。相変わらず冷製で、理詰めで周囲を固め、攻め上っていく印象である。予備校時代の仲間たちのなかで、最初に成功を手にした湯村を祝う会の席上で、隣の席にいて、いちばん慕っていたはずの恩師の真鍋をワインボトルで殴って死なせた神山を巡り、いち早くそのからくりに気づいた優佳が、きっかけを作った人物をさりげなく追い詰める姿とほかのメンバーの反応を、本作の語り手役の武田小春の目を通して描いていく。他者にはただの雑談と映る場面でも、事情を察している小春に語らせることで、二人の応酬のギリギリ感が伝わってきてハラハラドキドキを愉しめる。犯人(と言っていいのかは疑問だが)の真意には途中でうっすら気づいたが、それでも興味は削がれることなく、二人の伯仲したやり取りと、他のメンバーの裡に抱えた心情が暴露され始める緊張感で、ページを繰る手を止められなくなる。タイトルが、「成功者」ではなく「成功」であることにちょっぴり違和感があったのだが、読後は納得である。優佳のことをもっともっと知りたいと思わされる一冊である。

  • スピンオフはあったものの6年ぶりの碓氷優佳シリーズ。
    前作のスピンオフの終わりで、優佳の不気味さに気付いた高校時代の友人・小春の目線で描かれる。
    予備校の同窓会で起こった恩師の殺害事件。
    同級生の一人が一見衝動的に恩師を殴ってしまっただけの事件に思われたが、そこには見えざる殺意があり、その真相に優佳が迫っていく…
    事件までの流れはさらっとしていて、話の大部分が心理戦。そこにはマウンティングの要素も含まれ、読んでいて、相変わらず不快になる。それでも、少し言葉を選んだりしているところは、優佳が30代になったことを意識しているからだろう。
    次作では、ぜひ優佳の結婚相手も登場させてもらいたい。

  • 『わたしたちが少女と呼ばれていた頃』の少女たちが大人になり登場。
    少女たちとその少女たちが予備校で親しくしていたメンバーと予備校講師が登場人物となります。
    動機やセオリーは手放しに賛同できるものでは無いとしても、あのときのメンバーと思うと軽く興奮し楽しむことが出来ました。
    そして、当然の流れとして『わたしたちが少女と呼ばれていた頃』を読み返したくなり。。。すぐ読みたいっていうことで電子版を買って読了すぐから読み始めてしまいました。
    するとシリーズを出版順ではなく時系列に読みたくなり。。。次々と再読。一気読みは楽しい。

  • 6年ぶり碓氷優佳シリーズ。本人が謎解きをするでもなく別の視点で話が進む。前の感じがほうが良いな。
    2017.11.14

  •  碓氷優佳が初登場した『扉は閉ざされたまま』は、石持浅海さんがブレイクするきっかけになった作品だった。そして、碓氷優佳シリーズも本作で第5作ということになる。

     第4作である前作『わたしたちが少女と呼ばれていた頃』は、優佳という特異なキャラクターの高校時代を描いており、シリーズ中ではイレギュラーな作品だった。本作の事件の発端は、実は優佳の高校時代にあるのだが、前作を読んでいなくても支障はないだろう。

     高校時代、難関大を目指して横浜市内の予備校に通っていた面々。そこに優佳も含まれていた。彼ら、彼女らはある数学講師の教えを受け、現在でも恩師として慕っていた。予備校の「同窓生」が繋がりを保つというのは、自分の感覚では珍しく感じられる。

     この面々というのが、高校時代から明確な目標と夢を持った者ばかり。「意識高い系」ではなく、本当に意識が高い。高校時代、進学後の明確な目標などなく、何となく現在に至っている自分から見れば、実に立派としか言いようがない。自分にはお呼びでない世界である。

     そして現在。選ばれしメンバーたちも、全員が夢を叶えたわけではない。当然である。ある者はまだ夢の途上。ある者は安定を選んだ。別に責められるべきことではない。しかし、意識が高すぎるメンバーが一同に会するとき、そこにどんな感情が渦巻くのか。

     とばっちりもいいところだが、石持作品であるから、この程度の事件は想定内である。こんな惨事の場でも、クールに分析するのが優佳。好奇心なのか趣味なのか。謎を解いたところで、もはや覆しようがない。誰のためでもない。優佳はきっと、自分のために解くのだ。

     大学でも会社でも、以前は自分も同期とつい比較してしまったものだが、今では自分は自分と割り切っている。割り切れなかった故の事件。相変わらず納得できない幕引きだが、何事もなかったように生きていくつもりなのだろうか? 優佳の知ったことではないが。

     誰とも競合しない目標を定めた優佳は、賢明ではある。

  • 碓氷優佳シリーズ。
    面白い。区分するならホワイダニットかな。何故恩師を殺してしまったのか?何故そうなるように仕向けたのか?雑談に紛れ心理戦の応酬はゾクゾクする。
    この碓氷シリーズの「扉は閉ざされたまま」から一貫して心理サスペンスが面白い。

  • 2017/10/29読了

  • 碓氷優佳シリーズ最新作。碓氷さんも30代。予備校時代に教わった講師のもとに集まる同級生たちの宴で事件は起こる。
    誰がやったでも、どうやったでもなく、なぜ反犯行を仕向けたかを暴いていく。
    従来通り、第三者が語り部となることで優佳のすごさを表現する。緊迫した会話劇だ。実際、そう考えるのか?と思うところもあるが、流れで一気に読ませるので違和感は少ない。読み終わるとそんなこと?と思えなくもないが、そこが気になるような本ではない。今回も楽しく読ませてもらった。
    高校時代の友達も出てきたり、優佳が結婚してたりで、シリーズを読んできた人間には感慨深いものがある。

  • 切れ者同士のひりつくような心理戦の応酬。観測者視点もしっかりハマってたけど、実際こんな場にいたら、逃げ出したくなるほどの緊張感。不思議なタイトルも最後まで読めば、これしかない、と思えるくらいしっくりきてました。

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