侵略の世界史―この500年、白人は世界で何をしてきたか (祥伝社黄金文庫)

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  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396312800

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  • 歴史は勝者がつくる。

  • 勝者は歴史をねつ造できる権利を手にすることができる。こうした視点で世界史を眺めるとまた違った景色が見えてくる。
    まず序章で、日本の国防について。戦前の日本軍が暴走した(正確には、仕向けられた)という反省から、自国を守るという本来の「国防」からは逸脱した制限だらけの自衛隊は、武器輸出三原則、非核三原則、国防予算1%シーリング、専守防衛など手枷足枷で縛られている異常さを指摘。
    また、米国が自国の戦争を正当化する常套手段は、「報復」という形をとる。古くは、「リメンバー・アラモ峠」で、200名の義勇軍をあえて犠牲にして、宣戦布告、結果的にメキシコは国土の半分を失った。
    2つ目は、「リメンバー・メーン号事件」で、スペイン領キューバでの独立運動に乗じて戦艦をハバナ港に送り、何者かによって爆発させ、260名の犠牲者を出し、宣戦布告、その結果、スペインからキューバ、フィリピン、グアム、プエルトリコを奪う。
    そして、「リメンバー・パールハーバー」。米国は事前に暗号を解読し、日本からの先制攻撃について正確にわかっていながら、2400名の米兵犠牲者を平気で出し、対日参戦を正当化する。
    湾岸戦争もフセインが米国に「クウェート侵攻は見逃す」とだましたという説もあり、2001年の9.11も、ペンタゴンは事前に計画を知っていたという可能性は非常に高い。
    こうした自国民に非情なことができる理由は、戦争をするための大義名分が必要だから、さらには古い武器の在庫一掃という経済的側面もある。では、自国民の命を捨石にできるメンタリティは一体どこからくるのか、それはキリスト教のもつ不寛容性に立脚する植民地政策という名の「虐殺の歴史」に反映されているというのが、本書の骨子である。
    戦後日本のGHQ占領方針で、日本を窮地に陥れるために石油輸出をストップし、二度も民間人を大虐殺する原爆を落とした加害者である米国が悪いのではなく、あくまでも悪いのは、日本の指導者であり、日本精神や制度だと教育で洗脳する。
    第1章では、500年にわたる「白人の侵略史」について俯瞰する。白人以外は人間にあらず、16世紀のスペイン・ポルトガル、17世紀のオランダ、18世紀のフランス・イギリス、19世紀のイギリス・ロシア、米国などは自国の利益のために先住民や他国を平気で侵略し、虐殺、奴隷売買を繰り返し、アジアの眠れる獅子・清もアヘン戦争で英国の侵略を受け、いよいよ「黄金の国、ジパング」も狙われる。
    もしあの当時、日本の存在と決断と犠牲がなければ、欧米のアジアでの植民地支配は続き、「白人至上主義」という人種差別は未だ続いているかもしれない。
    第2章は「白人の侵略性」についてだが、十字軍や異端審問、宗教戦争など「ナチスのアウシュビッツ」も真っ青なことをずっと行っている。
    続く第5章までは欧米諸国の侵略の歴史を概観し、共産国による大粛清や強制収容所などマルクス主義による犠牲者は1億7千万人以上という数字も紹介。
    第6章以降は日本について。大国による他国侵略が当たり前だった時代、日露戦争での日本の勝利は、被侵略国に大いなる希望と勇気を与えた。白人によるアジア侵略を防ぐための日本の戦闘行為は、自国を守るための戦争であり、欧米の植民地拡大という侵略行為とは似て非なるものであった。
    本書を読めば、歴史は500年という長いスパンで眺めると日本だけが永遠に非難され続けている「行為」が実はもっと残虐な形で欧米人がずっとやっていたことに気づくでしょう。

  • 書き出しにある「歴史は虹である」という言葉。
    まさに歴史は、視点を変えてみると全く違う色が見えてくるのだということが、この本を読んでわかった。
    ・白人のいた欧州が地理・気候の環境で外(侵略)へ行かざるを得なかった。
    ・この数世紀の白人の植民地拡大の正当化は勝利した白人目線でしかなく、滅ぼされた現地民族から見ると野蛮としかいえない。
    ・日本の戦争は植民地の解放化という見方も出来ることを知った。実際にタイやマレーシアの声を聴いていると日本が解放したという側面もあったといえそう。

    アメリカのGHQの戦略によって太平洋戦争(大東亜戦争)の責任を日本に押し付けられ、すでに自虐史観で染まってしまった自分の目を覚ますことが出来る傑作の本でした。

  • 新書文庫

  • 歴史は、様々な立場から都合の良い事実を編纂し作られる。だから、こういう編集にしたいという都合ありきなのだ。この著書が反論するのは、白人の残虐性に触れない現代の歴史。しかし、飛躍した論理も多く、そもそも、日本は悪くないという立場から事実を拾い上げるせいで、相当な偏りを生じている。自虐史観の是正。その役割を果たすイデオロギーは、あの戦争は仕方なかったというものや、正しかったというものだ。果たしてそれは、ある意味ではその通りだが、全く自らを反省しないのは、やはり不気味なプロパガンダなのである。

  • 侵略、奴隷売買。過去をどう見て、現代をどう解釈するかで、現在の価値観は変わる。歴史は多面的なもので、負けた側、書き換えられる側の記述も後世に残すこと、そしてそれを学ぶこと。
    平和を築いた、優れた文明ほど、外敵に弱い、とするならば、それを乗り越えなければ精神的な進歩はない。
    この500年の上に、何を積む。

  • これまで、あまり歴史の本は読まないようにしてきた。

    大学受験の時に教科書で勉強した記憶があるが、同じような内容なら必要ないと思ったからある。

    でもこの本切り口が新鮮で、これまた一つの見方か?と思い他の著者による歴史本にも手を出して、その検証をしていきたいと思わせてくれただけでも読む価値があった。

  • 白人/植民地/奴隷/侵略/正当化

  • 白人が大航海時代以降、いかに「未開の地」の人々を支配・酷使し、天然資源を搾取し続け、好き勝手に扱ってきたかを詳述し、500年のスパンで西洋史を俯瞰した上で、これからの日本は、白人の陰の部分を見据えつつ毅然とした国家運営をすべきだ、と主張する著作。

    【配架場所】 図書館1F 209/SHI

  • 現在歴史を再勉強・検証中のため偶然手に取りました。
    歴史は一部だけを見て判断するものではないこと。そして日本の歴史を、当時ではなく現代の価値観と西欧視点から語っている現状の間違いと危険を鋭く浮き彫りにします。
    教科書が全て正しいなんて事はないと頭ではわかっていましたが、これは…。ヨーロッパの黒歴史。同時に日本にいまだ続く病。
    まだ私自身がいろいろな意見・情報を勉強している途中ですが、マスコミなどの情報操作と偏りは現実に存在してます(去年、完全に情報操作されたものを正論のごとく流すのを目の当たりにして唖然!)内容の割りに読み辛さは感じませんでした。
    ただし、東京裁判のときパール判事は、あくまで調査と国際法をもって判断したのであり、同情で無罪論を出したのではありません。

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