遠来の客たち (ノン・ポシェット)

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著者 : 曽野綾子
  • 祥伝社 (1988年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396320928

遠来の客たち (ノン・ポシェット)の感想・レビュー・書評

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  • 昭和26年から33年までの、最初期に発表されたものばかり集めている
    曽野綾子は、戦後文学史において「第三の新人」に位置づけられているが
    ここではそれ以上に、太宰治の影響下にあるムーブメント
    「斜陽族」との同時代性が無視できない

    「鰊漁場の図」
    たぶんまだ40代前後のお婆ちゃんが主人公
    むかし好きだった男の幻影を長年追い求めてきたけれど
    自分の過去に目を奪われすぎて
    ふと、子供たちに向ける愛情がおろそかになっていたのではないか?
    という後悔にとらわれてしまうのだった
    それで、孫に熱意を注ごうと決心するわけだ
    …理想と期待が、幼い孫の重荷にならなければよいが

    「鸚哥とクリスマス」
    婚約者は面白味のない男で
    それと結ばれることにどうしても疑問をぬぐえない娘が
    クリスマスの夜、婚約解消を切り出すという話
    戦後日本でまじめに生きていくことはそれほど不安なのだろうか
    とても生真面目で誠実なその男を
    どうしても裏切らずにいられないというのは

    「遠来の客たち」
    アメリカ進駐軍の駐留所になっているホテルを舞台として
    そこに働く娘の見聞が書かれている
    戦勝国の中にも、立場の強いものと弱いものがいて
    気弱な軍医の見せるやさしさに、娘は一瞬惹かれるのだけど…

    「バビロンの処女市」
    戦争で死にぞこなった叔父さんの
    影のあるたたずまいに惹かれてしまう娘は
    お見合いをすることにどうしても納得できないのだった
    バビロンの処女市にまつわるエピソードが
    本筋とうまくかみ合っておらず
    全体に上滑りの印象

    「硝子の悪戯」
    幼くして腹芸を覚えた娘が小説を書いた、という体のメタフィクション
    とはいえ、話の焦点が娘から母へと切り替わる唐突さは
    ちょっと手抜きに見えてしまう

    「海の御墓」
    戦前、日本に肩入れして自国の政策を批判したがために
    国籍剥奪の憂き目にあい
    日米開戦後は、日本政府からも敵国人あつかいを受けてきた
    そんなイギリス人の
    言うなれば曽野綾子版「火垂るの墓」である
    彼のその信念はしかし、女性の、生活者としての視点から批判される

    「牛骨」
    イギリスから来た修道女は神を信じている、がゆえに
    緒戦の大勝で沸きかえる日本にあっても、けして卑屈ではなかった
    という話

    「火と夕日」
    戦争末期、疎開で故郷に戻ったお婆ちゃんが
    若い頃いい仲だったと思しき老人に、熱心な介護を受けるという話
    その一途さは、戦後失われた?日本男児の純情さか
    谷崎潤一郎の「春琴抄」をあっさりめにまとめた感じ、とも言えるけど

    「べったら漬」
    同窓会で屈辱を感じ、卑屈になったおじさんが
    帰り道の出来心で痴漢行為を働くというお話
    これもまあ、戦争で死にぞこなった男の悲哀、というか
    惨めさであるけれども
    べったら漬の生活感がさらに追い討ちをかけるという

  • 接収ホテルの従業員であるナミコという数え年19の少女を主人公とし、米兵、いやアメリカ人と対等に人間として交際し、或る時は渡り合い、その目を通して新卒にアメリカそのものの本質を見つめている。

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