二の悲劇 (ノン・ポシェット)

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著者 : 法月綸太郎
  • 祥伝社 (1997年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396325794

二の悲劇 (ノン・ポシェット)の感想・レビュー・書評

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  • 法月綸太郎シリーズ7作目。
    各章の冒頭に荒井由実(現松任谷由実)の「卒業写真」の歌詞の一部が掲載されている。
    物語にどんな関わりがあるのか、この歌にどんな意味があるのか。
    読み終わってから初めてその理由がわかってくる。
    物語は「君」と高校時代の同級生・葛見百合子が偶然に京都で再会したことから始まる。
    高校時代にあまり目立たなかった存在の彼女を、「君」は迷いなく「葛見さん」と呼ぶ。
    実は彼女は葛見百合子ではなく、その友人の清原奈津美なのだけれどなかなか「君」の誤解を解くことができない。
    奈津美は揺れ動く心情を、ずっと日記に書き続けていた。
    この日記こそが、事件を解く鍵となるのだけれど、その解明までに捜査は二転三転していく。
    勘違いというには悲しすぎる結末だった。
    そして、最後に明かされた真実もまた、辛く悲しいものだった。
    「君」にとっても、百合子や奈津美にとっても、ほんの少し本当のことを話す努力をしていたら事件は起きていなかったように思う。
    「君」が最後の最後までこだわったことは、それほどまでに重要なことだったのか。
    すべては「君」の中にある身勝手なこだわりが引き起こしたことではなかったのか。
    虚構のうえに積み上げられた感情だったとしても、現実を受け入れる勇気さえ持てば違った結末になっただろうに。
    推理の過程で、事件の様相は二転三転していく。
    そのたびに「えっそうだったの?」と驚き、著者の思惑通りに翻弄される。
    そこが心地よくもあり、悔しくもあった。

  • 再会した同級生が自分の名前を親友のそれと勘違いして記憶していたことから始まる悲劇。

    つまらなかった訳じゃないんだけど。
    Amazonのレビューは軒並み高評価だったけど、私的にはちょっと厳しかった。
    素材はいいけど調理法がマズイというか。
    なにより、「精神病んでました」と「双子でした」はミステリではご法度だと思ってるので、「病んでました」からのどんでん返しが「双子でした」なんてあんまりだ…と思ってしまったのが一番大きい。
    あと、探偵役の法月綸太郎の推理が外れまくってるのも残念でならない。
    文体も、変に気取ってるというか、気負ってるというか…読み辛かったかも。法月綸太郎シリーズ読んだのはこれで二作目だけど、正直次を読む気が失せてしまった。

    でも、双子オチが愚なのは作者も承知してるだろうから、もしかしたら本作は「肯定される双子オチ」に挑んだ作品なのではないだろうか。
    …邪推かな。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    都内のマンションでOL殺される。死者の胃から現われたメッセージ。小さな鍵が秘めた謎とは!?探偵法月綸太郎が出馬した矢先、容疑者は京都で死体となって発見、そして鍵の正体が明らかになるにつれ、名探偵を翻弄する迷宮の扉が開いた…。

  • 顔を焼かれた女性の遺体と容疑者とその周囲の人間関係をめぐる謎を追う展開は冗長に感じた。情報がめまぐるしく更新されるクライマックスの盛り上がりと、反復される構図で尖らせたやるせなさが良かったです。

  • 短編で読んでしまっていたので特に驚きはなかった。ただあらすじを知っていても最後までさくさく読めた、こちらを先に読みたかった。もったいない。

  • いやー、青いね、青い果実って感じだよね。本格推理小説って言うと、日本のだけかもしれんけど、微妙に哲学っぽい話が紛れ込んできたりして、いや、このくだりわしなんかめっさ読み飛ばすわー、的な流れがあったりするけど、そういう青臭さに更に青春な青臭さが加わって、もう身震いしてしまうほどに。それに加えて作者が後書きに引用したのはnirvanaの歌詞ですよ。しかもご丁寧にKurt Cobainって言ってるわけで。いや、これが大作家先生じゃなくて普通のおっさんだったら厨二病レベルかもしれんけども。いやわしも昔聞いたけども。sound gardenの方が好きだったけども。これはどうでも良いな。まあそういうの全部ひっくるめた青臭さが、歯がゆさが、なんとも言えず悪くないのに、なんか高みから見下す感じの探偵役がちょっといらっとくるので、やや不満。

  • 原型の短編を先に読んでいたが構成の妙で飽きずに読めた。最後の捨てロジック(?)はミステリ批評的にも読めるし、この構図を実現できたら面白いなあと思う。しかし作中の綸太郎は相変わらず詭弁家でそれでも名探偵として遇されているのは凄いなあと思ったなど。

  • どうも、法月親子が邪魔な気がしてなりません。

  • 誰のものかわからない視点は、表現が詩的で非常に読みにくかった。
    探偵が推理する場面は好き。
    事件の本当の原因は何だったのか。
    結末は少し切なく感じました。

  • 『今この瞬間、この場所で、たえまなく街路を行き交う群衆の中に投げ込まれた、名前を持たないがらんどうの肉体の内側で、きみの存在は紡ぎ出されつつある物語への微かな予感として、ひっそりと眠るように息づいている。それは、かつて失われた別の物語のおぼろな記憶として、あらかじめ息づいている。そして、物語が、きみの物語が始まる時、きみは忘れられていた自分の過去と名前を取り戻す。きみは昏い忘却の河底からよみがえり、いきいきと呼吸し始めて、血が通った肉体にきみ自身の肌の温もりを、きみ自身の心臓の鼓動をはっきりと感じる。その時、きみはもう名前のないがらんどうの〈通行人A〉じゃない。きみはきみになる。まもなくきみは、ほかの誰でもないきみ自身として、きみの名前を冠した物語を生き始める。』

    法月綸太郎の作品ってこんな面白かったんだ‼︎
    ちょいちょい挟む探偵論がたまらんなぁ。素晴らしい叙述物。作中作の使い方も最高。

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