- Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396328962
感想・レビュー・書評
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【書店の「どんでん返しフェア」的なポップにつられて買った直後に夏風邪で倒れ、寝込んでいる間に読んで若干後悔した3冊の本その③】
実はこの小説には後悔させられていない。他の人のレビューを読むと、後悔させられた人は少なからぬようだが。
パンデミック系の小説の何が好きって、個々の罹患から発病そして大流行に至る科学的な機序についての詳細でマニアックな描写ほど面白いものはない! 私はそういう読み方をする読者なので、この小説がパンデミック系にしては淡々としすぎているとか、結末が簡単に予測できてしまうとか、涙なんか全然出てこないという点は全く気にならない。むしろ大げさなパニック展開よりも、淡々とした描写のほうがひしひしとリアルで怖い感じがして悪くない。
コバルト時代の『おかみき』以来、この人の作品はほとんど読んでいないが、バリバリ少女小説の『おかみき』でもけっこうこってりとウンチク描写をしていたっけ。あの小説に出てくる「ねこり」こと「稲子さま」こと「菅原稲子」ってのが筆者の本名だと知った時は、その歪んだ自己愛に大爆笑したもんだなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「いつか海に行ったね」読み終えて始めてわかるこのタイトルの本当の意味に、あなたは必ず涙する!!!!
帯にそう書いてたから気になって読んだけど…一切ウルッとこなかった。最初から最後まで(笑)新種のカビが人類滅亡させる?!っていう物語。でも結局、どうなったのかいまいちわからない結末だった。読みやすいけどなんかモヤっとした。 -
終末的? 美しい余韻のバッドエンド。
小説として、キレイに終わってはいます。
でも個人的には、これは序章で、ここからヒトの殻を脱ぎ捨てでも生き延びようとする人類のえげつない戦いが始まっていくとこじゃね? と思いました。
出版順と逆ですけど、上田早夕里「華竜の宮」読んじゃうと。 -
この話はなんと言っていいか難しいが SFホラーかな。
本のタイトルと帯の煽りからは切ない系の話だと思ったが、まあたしかにそうとも言える部分はあるけど…
電子書籍版の最初の頁には「ホラー小説」といきなり書いてあり混乱したが、今この時期に書店で平積みになっているのは、世相的流行に乗れるという判断があったのだろうか -
読みながら『なんで1997年とかなんやろ』と思ったら、平成13年に初版のちょっと前の本やった。
内容も怖いけど、この本が約10年経った今の書店に平積みポップ付きで置かれている事が怖い。 -
帯にひかれて買って一気に読んだ。
おそろしいわ。ほんと、ぞくぞくする。
帯のことばにはだまされたけど(感動とか涙とかの話じゃないよこれ)
内容はよかった。どういうことになるか気になってどんどん読めて。
私には、とにかくこわいという感想しか出てこない。
これ、最近発行の作品じゃないんだね。
なぜまたこの時期に平積みされてるのかと思ったら、それ考えたら、
それがまたおそろしいわ。 -
久美沙織さんといえば「丘の家のミッキー」しか知らなかったので、こういう作品があったことにびっくりした。
日本のいくつかの場所で起きる、いくつかのちょっとおかしなこと。徐々にそれらの意味が繋がっていく。
身近に起こり得る恐怖。コロナ禍を経験している今だからこそ、余計によくわかる。何かよくわからない恐ろしいことが、ひたひたと近付いてくるこの感じ。こわい!
真紀子の話がつらかったな。こういう境遇になったらこんな心情になるよねと、すんなり納得できてしまった。かわいそうすぎる。
ひとつひとつのエピソードは長くなく、深追いせずに次へ行く。それでもエピソード同士の繋がりから、登場人物たちの辿った経過が想像できたり末路がわかったりする。そして大体、向かう先は絶望。
全部で159ページと短い作品だけれど、余韻が濃く残った。
□私が読んだのは帯なしの本だったけれど、ブクログの画像で見ると帯がついている。「必ず涙する」って書いてあってびっくり。涙腺はまったく刺激されなかったけどなあ。
帯に節操ない口説き文句つけて手に取らせようとするの、ホントやめて欲しい……