殺意は砂糖の右側に―痛快本格推理 祥伝社文庫―天才・龍之介がゆく!

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396331443

感想・レビュー・書評

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  • 天地龍之介シリーズの一作目の短編集。どの話も柄刀一ワールド満載。どれも長くないからさっくりと読めるんだけどちょっと物足りなさはあった。個人的には「銀河はコップの内側に」と「ダイヤモンドは永遠に」が好みかな。

  • 「ミダスの河」を読んで、龍之介シリーズを知りました。
    面白そうなので読んでみました。

    まだ一冊目なので他のも読んでみようと思います。

  • ◆ お風呂でミステリ ◆ 第二十三回

    ・・・ 第二十三 「天才龍之介がゆく 殺意は砂糖の右側に」 ・・・

    孤島でじいちゃんに育てられ、世間知らずで底抜けにお人好しだけど超博学理系の天才、龍之介と、ハラハラしながら彼の保護者をやってる(ワトソンとは言いがたいと思うな、彼は……)いとこのコンビのミステリーシリーズ。
    短編集も長編もあるよ。
    理系のミステリーシリーズは、探偵ガリレオ、のほうが有名だし、見栄えもするんだけど(福山だからね。龍之介はさて、誰がやれるか……。誰がやってもカッコいいとはいいがたいからなぁ)理系の謎に関しては龍之介のほうが私は好きですな。
    すっきりしていて後味がいい。
    とりあえず何日か楽しめますよ。

    2017年11月14日

  • 出てくるキャラクターが、みんな若くて、なんだか面映ゆい。書かれたのが結構前だからかも。
    このシリーズに興味を持った短編アンソロジーの頃の話になれば、もうちょっとスマートな感じがして、スルスル読めるかも。

  •  小笠原諸島から初めて都会にやって来たIQ190の天才,天地龍之介が活躍する短編集。ワトソン役の光章や,光章の会社の同僚で,一美などが登場する。個々の作品の所感は以下のとおり

    エデンは月の裏側に
     龍之介が世話になる予定の中畑さんを見つけるために訪れた未来企画総合研究所で殺人事件が起きる。屋上で能戸という男性と前島という男性が小競り合いをしていたが,能戸という男性が落下する。その背中には矢が刺さっていた。真相は,屋上から落下している最中に,遠隔装置で矢を放った前島が犯人だったというもの。トリックは何それという感じのチープなものだが,容疑圏内から逃れようとした前島の心理的な工作はやや見るべきものあり

    殺意は砂糖の右側に
     毒殺もの。ラストイン・ファーストアウト現象とミラクルフルーツがトリック。ミラクルフルーツは,酸っぱいものを甘く感じるというフルーツであり,これを皆に飲ませ,酢入りのコーヒーを飲ませることで,アリバイを得ていた。標題作だがトリックは平凡。

    狂気は死角の奥底に
     ナイトクラブで起こった殺人。凶器の隠し場所がメイントリック。すりガラスを食用ガラスに入れて隠していた。凶器を隠した理由は,凶器に血がついていたため。
    50円玉が4グラム,1円玉が1グラム,10円玉が4.5グラムであることを利用して麻薬を図っていたが,重さをごまかしていたのがばれたのが動機。

    銀河はコップの内側に
     龍之介を預かる予定だった中畑さんという研究者を捜すためにフィリピンを訪れることになった龍之介と光章。一美の知り合いの子どもも連れていくことになった。フィリピンに向かう飛行機の中で殺人事件が起きる。トイレでマーカーのインクをまき散らして殺害されていた女性。血を隠すためではなく,ネックレスの飾り玉の代わりにガラス玉を使うためにマーカーを分解していたいうオチ

    夕日はマラッカの海原に
     フィリピンについた龍之介と光章がガイドのラモスとともに事件に巻き込まれ,ラモスが殺害される。真相は,ラモスの殺害こそが目的であり,義眼だったラモスの義眼に火薬が仕込まれていたというもの。いやいや,いくらなんでもこれは…。ミステリとは言えないような作品

    ダイヤモンドは永遠に
     フィリピンから一美に電話を掛け,一美と兄が事件に巻き込まれたことを知る。密輸されたダイヤが見つからないという。ダイヤの隠し場所は,ドアの掘込錠の中だった。

    あかずの扉は潮風の中に
     光章達が捜していた中畑が,密輸に関係しているのではないかと疑いを掛けられる。中畑が密輸に関係する情報を聞いていたのは,密輸犯が利用していたパイプのモールス信号を聞いていたからだったというオチ

     全体を通じて,ミステリとしては弱く,キャラクターの雰囲気を楽しむべき作品といえる。非常に軽い作品なので,寝る前や通勤電車で気楽に読むべき作品。期待せずによめば,そこそこは楽しめるかも。★3で。

  • いちばん印象的なのは、「味の素」事件(笑)

  • コミカル系・ミステリのための本格ミステリ

    読了日:2006.12.02
    分 類:連作短編
    ページ:320P
    値 段:571円
    発行日:2001年2月祥伝社、2004年1月発行
    出版社:祥伝社文庫
    評 定:★★★+


    ●作品データ●
    ----------------------------
    主人公:天地 光章
    語り口:1人称
    ジャンル:ミステリ
    対 象:一般向け
    雰囲気:コミカル、本格
    カバーデザイン:中原 達治
    カバーイラスト:緒方 剛志
    ----------------------------

    ---【100字紹介】---------------
    「10円玉を持っていないか?」
    と聞いた数分後に殺された男は、
    1円と50円の硬貨を握り締めていた…。
    不思議な事件の数々を、
    小笠原諸島から都会に渡ってきた純朴な、
    IQ190の天才・天地龍之介が解く第1作。
    ----------------------------------


    天地龍之介のシリーズ最初…らしいですが。実は菜の花自身は、順番を間違えたらしく、龍之介は3作目。うち1つは明らかにこれの続きでしたね。「幽霊船が消えるまで」です。皆さんはお間違えのなきよう…。というか、これって「殺意は幽霊館から」よりも前?色々と謎が多いシリーズです。(それ、内容と関係ない…)


    語り手はタイトルになっている龍之介の従兄弟の光章。光章はごく一般的な人物ですが、これを主人公というのか、それともあくまで主人公は龍之介かは謎。この龍之介、あおり文句にもあるとおり、「IQ190」という凄い肩書き(?)をかついで登場するキャラ。どれだけ怜悧な天才が出てくるかと思いきや、おっとりやで、変人の祖父に育てられてきていて、しかも離島から出てきたばかりの、常識もあやしげな少年的青年。そんな彼が活躍するミステリ連作短編ですが、事件に遭遇するや否や別人のように豹変して怜悧な推理を…という期待を抱いてはいけません。事件に無関係に、ふわふわと変な方向を見ている変人です、このキャラは。事件が起こると怖がって隠れちゃうタイプですし。

    つくづく歯がゆいキャラを、コミカルですらある1人称で描くコミカル・ミステリかと思いきや、中身はかなりの本格系。設定などはキャラを見るだけで分かる通りの、リアリティ追求型では決してないもの。しかし、これがミステリを魅せるための演出でもあると。つまり本作は、ミステリを形成するために世界が構築されているタイプ。ミステリのためのミステリ。パズルを作るために世界も作られた、そしてその世界は、偶然にも比較的通常の世界に似ていた、というだけだった、と、そんなイメージです。

    著者はロマンティストだとか、そういう話がありますが(菜の花も激しく同意)、その所以はここかもしれません。つまり、世界があって、そこで事件が起こるのではなく、ミステリの舞台のために世界の方が構築されていくのです。これが幻想小説と呼ばれるのは当然かもしれません。著者はただ、美しいミステリの世界を矛盾なく打ち立てたかった。そういう人だからこそ、ロマンティストなのです。きっと。


    ●菜の花の独断と偏見による評定●
    ---------------------------------
    文章・描写 :★★★
    展開・結末 :★★★
    キャラクタ :★★★+
    独 自 性 :★★★
    読 後 感 :★★★+
    ---------------------------------


    菜の花の一押しキャラ…ユミ

    「龍之介、お前さん、スポーツなんかは得意なのか?え?運動神経はいいほうか?」
    「学校時代得意だったのは、立位体前屈ですね」(天地光章&天地龍之介)

    それはスポーツなのでありましょうか?

  • IQ190の天才、天地龍之介が解き明かす不思議な事件の数々。

    天才なのに常識は皆無、というキャラクターの作りこみと、ワトソン役(というか、完全にお守?)にさせられたいとこの組み合わせ。

    氏の緻密な計算がビシビシ伝わってきますなぁ(←そんな見方するんじゃありません!!)


    かくいう私もその計算に乗せられてるんですが(笑)


    気負わずに本格ミステリを読める秀作です。

  • /?day=20061004

  • ある日一緒に暮らし始めるはめになってしまった従兄弟。
    彼を本来引き取るための人物に渡すため、東奔西走する主人公と
    普通の常識はほぼないのに、妙な事だけ良く知っている従兄弟。

    目次を開くと、結構な話があるので、長い殺人もの? と思いきや
    1話完結でさっさと終了してしまいます。
    そういう点では読みやすいかと思われますが
    化学が嫌いな人にはちょっとお薦めできないかも?
    それの仲間のような説明が、がしがしとでてきてくれますw
    飛ばして読むか、適度に受け流していけば
    それほど苦にはなりませんが。

    どうでもいい知識と、へぇ…という知識が
    ちょっと手に入る内容、です。

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著者プロフィール

1959年、北海道生まれ。1994年に「密室の矢」が読者投稿アンソロジー『本格推理3』(光文社文庫、鮎川哲也・編)に採用され、以降も「逆密室の夕べ」と「ケンタウロスの殺人」の投稿作品が採用された。98年、長編「3000年の密室」で作家デビュー。代表作は「時を巡る肖像」「密室キングダム」。日本推理作家協会、本格ミステリ作家クラブの各会員。

「2022年 『【完全版】悪霊の館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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