- Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396333201
感想・レビュー・書評
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解説にある通り、高橋先生の隠れた名作。明治期のロンドンを日本人視点で描くというのが非常に興味深く、内容も暗号を使った本格ミステリに近い。ちゃんと史実とも絡ませているあたりも流石であり(伊藤博文、井上馨、山縣有朋の3者の会談などは毎回ワクワクした)、最終盤で「陸奥史」が絡んでくるのはファンからすると非常に嬉しかった。写楽殺人事件の直後の作品ということで日の目を浴びなかったということだが、今発行されば話題になるのではないかと思う。
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明治期、イギリスに日本人村なるものがあったなんて。大盛況だったみたいだけど、だいぶ間違った日本感を植え付けるものだった、というかあの時代のイギリス人が日本人をたいして好意的に見てなかったとかなかなか辛い現実を教えてくれる(笑)そのロンドンで日本人が殺され、通訳として日本人村にいた村上剛は親しくなったイギリス人のエミーとホープと共に謎にせまっていく。戊辰戦争時代の話まで飛び出して極め付けは藤田五郎が出てきたこと!イギリスに藤田五郎!私の斎藤一=藤田五郎像はるろ剣で凝り固まってるからいくら仕事とは言え、どんな気持ちでイギリスに渡ったのだろうか…と考えると面白かったです。話時代、ちょっと蘊蓄のような部分も多かったけど、思ったよりさらさらと読めました。
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※図書館
けっこう面白かった暗号ぜんぜん解けなかったけどね!笑
当時の倫敦や時代背景も好みだったしドイル出てきたw(あとオルツィの名前だけも
真犯人が〇〇したのはちょっと(。-`ω´-)ンーだったけどあの内戦は未だに大きな傷を残してるから動機としては有り得る・・・ -
高橋氏のデビュー2作目。
確かに写楽殺人事件とは趣が違うものの、彼の著書の中で記録的に売れなかったというほどつまらない作品ではなかったです。
舞台となっている日本人村やミカド、タンナケル氏などが実在だったと知って驚き、鹿鳴館時代の明治政府が抱えるジレンマとそれに対する井上馨の策略は事実かどうかは知りませんが肯けるものだった、
通訳の村上氏を筆頭に魅力的な人物が登場し、謎解きも含めて充分に面白いと思いました。
外国人が持つ日本に対するヘンテコな固定概念がこの時に生まれたという説も本当なのかも。 -
明治初期を舞台にした歴史ミステリー。
正直なところミステリーとしての出来が取り立てて良いという訳ではないが、この時代が好きで詳しい人にとっては面白い、もしくは不愉快な作品なのではないだろうか。
と言っていることから分かる様に、私は門外漢でほぼ分からなかったが、舞台となった時代への興味は湧いた。 -
2014/05/03購入
2014/06/18読み始め
2014/06/24読了 -
明治18年(1885年)ロンドンに渡った日本人たちを巻き込んだ殺人事件に、明治政府の密偵が絡んで。
私の好きなものがまとめて詰まってます。
幕末明治の史実、当時の日英の風俗をうまく使ったミステリで、本筋に絡む政府の人間はもちろんですが、他にも当時の有名人がカメオ出演。
余談ですが、1885年あたりはホームズがロンドンで活躍していた時期。関連深いあの人も出てきました!にやり。 -
私の中で最高傑作だと思う。この小説で一気に高橋克彦ファンになったほど。この内容が事実なのか作者の考えたものなのか、いずれにせよ天才だねっ!と思うオチ。
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舞台は1885年、ロンドン。
オランダ人興行師が芸者や職人を見世物として披露した、風俗博覧会・日本人村。
ノンフィクションを基に考証で構築される作品世界、日本への好奇な偏見、名高き元勲達の人間臭い造形など、歴史好きをも惹き付けるミステリー。
近辺で起こる数々の事件の背景に、個人の怨嗟を超えた、近代日本の過渡期の混乱と悲劇がある。
幕末の動乱、自由民権運動の内実、士族の矜持の行方。
そして、日本人村を巡り、明治政府が世界に向けて仕掛けた、破天荒で卑屈な悲壮な作戦。
破れかぶれに装い、必死でもがきつつ、未来を信じるしかない辛さ、託される苦しみ。
人の手を離れて動く、国家という名の不可解で巨大な生き物。
“国とは暮らす土地ではなく、それぞれの胸の中に存在している”との言葉の重さ。
堂々と世界と伍せる日本への嘱望が、耳に痛い。
探偵役の村上剛の爽やかさ、英国人女性・エミーとの交流に僅かながらも心洗われ、二人の行く末を断定しない配慮も心憎い。 -
なぜ外国では日本といえば「ゲイシャ・ハラキリ」と思われているのか・・・ その理由として面白かったです。事件よりも、当時の日本の様子だとか、後半のなぜか登場する斎藤一とか、意外すぎる展開などがおもしろかったです