影踏み (祥伝社文庫 よ 5-1)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396333294

作品紹介・あらすじ

深夜の稲村家。女は夫に火を放とうとしている。忍び込みのプロ・真壁修一は侵入した夫婦の寝室で殺意を感じた-。直後に逮捕された真壁は、二年後、刑務所を出所してすぐ、稲村家の秘密を調べ始めた。だが、夫婦は離婚、事件は何も起こっていなかった。思い過ごしだったのか?母に焼き殺された弟の無念を重ね、真壁は女の行方を執拗に追った…。(「消息」より)

感想・レビュー・書評

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  • 15年以上前の作品。
    なんだか変な感じになるが現代の詐欺事件や闇バイトとかの時事を見るよりもこの主人公の様な泥棒の方が親近感を覚える。
    一つの動機に対して自分自身(個人)で完結するからなのかと思う。勿論泥棒を稼業とする事は断固否定するが。

    作品自体はとても面白く、知らない言葉や聞いた事はある、今までは意味をそこまで理解しようともしない言葉が多く出てきて勉強になった。
    単に泥棒にも色んな種類があり、その種類の数だけのやり方があるのも知った。
    頭をひねって「防犯」に重きを置き換えて読めば防犯の啓発本にもなりそう。

    作品は「愛」がテーマ。
    真壁は泥棒を稼業としてはいるが、それは過去の一家心中の過去からの流れで、それが「影」となり本人の意志ではないのだろうと推測。
    死んでしまった双子の弟が影であり、分身の様な影が夜の世界では自分も影のような存在になれるからなのかと。

    久子とのラブストーリーも秀逸で言葉にはないがしっかりとした深い愛情を見ることができる。
    不器用といえば不器用だが一昔前の男らしいハードボイドな格好良さが素敵だった。

    真壁と久子の今後が気になる所ではあるが、そこは完結せず読者に投げ掛けるように終わるところも秀逸だと自分は感じた。

  • 警察側やなく、犯罪者側からの視点で描くミステリーになるんかな?
    ちょっとオカルト風味のハードボイルド。

    7つの短編集で、主人公のドロボウさんが、解決する。耳の中にいる弟と…
    なんせ、ドロボウさんなんで、法律関係なく夜中に家入って、色々調べる。まぁ、探偵さんも同じ事するから、ミステリーとして違和感があまりなく面白い。
    唯一、双子の弟の立ち位置が微妙やけど、それぞれ人格持ってて、記憶力は弟が担当。

    クールな主人公真壁にも、唯一熱くなる事件で物語は終わるけど、その後、どうするんやろ?
    このまま、
     天眼孤独になる?
     結ばれる?
    出来れば、後者であって欲しいけど、それはそれで、一悶着(続編)ありそう!

    それ(一悶着)を期待しよ!

  • 結構面白かったがです(´・∀・`)
    泥棒主人公の短編集

    中古屋で なんとなく この本にひかれ購入
    本て不思議な物で、店内歩いてて なんか【視線を感じる】のと同じ感覚で その方向見て視界に入った本て
    結構 当たりな本が多い気がする

    本屋の景気の為に、本屋で新品も買ったりしますが

    今回中古屋で本を探してたりして嫌になるのが
    個人的に セドリをしてる【セドラー】が店内にいる時なんですよね ネットオークションで売りさばいてる人達…良く見かけるのが100円~200円くらいの実用書を狙ってて、セドリアプリと小型バーコードリーダーを使い、棚の端から端をバタバタと本を掻き出しバーコードを読み取りオークションで需要、利益高い本をゴッソリとカゴに入れて購入していく…

    なんかウザいし荒らされた気持ちになって嫌なんですよね…いつも宝探しの邪魔された感じになる…

  • 「影踏み」横山秀夫著

    主人公は、盗みをつづける独身男性。
    物語は、刑務所のなかで始まります。

    この男性が
    1.なぜ盗みをつづけるのか?
    2.彼の出自と盗みの関係は?

    このした読者側の疑問が、ひとつひとつの物語を通じて、理解できる構成となっています。

    ロクヨン、半落ちが警察側からの物語に対して、こちらの影踏みは、犯罪を犯す側からの視点で展開します。

    そうした意味で、改めて横山秀夫さんの世界は、広いなあ、、、と感嘆したのでした。

    影踏みの影の所有者は自身です。
    踏んでも、痛くも、かゆくもない影の存在。
    昼は見えるが、夜には見えづらい影の存在。

    主人公のもつ影とは何なのか?

    最後の一ページまで読み進めて、読者は初めて全てを理解できます。


  • 計り知れぬ愛。羨ましくもあり、疎ましくもある。
    兄妹愛ならぬ慈愛。

  • かなり前に読み終えた本。
    プロの泥棒が主人公。数年前に侵入した家で感じた殺意を忘れられず、住人の安否と事件の真実を追いかけていく。一本の大きな話の柱を軸に異なる物語が集められた短編集。
    ことあるごとに頭の中にいる弟と会話をしながら自分の感じた殺意の行方を追い求めていく。
    短編集なので、読みやすい。でもなんといっても泥棒という日の当たらない職業の主人公なので、全体的に話が暗い。
    主人公にも感情移入しにくい。

  • 泥棒が主人公の連作短編7作収録
    どの作品も内容が濃いです
    主人公の中に死んだ双子の弟がいて
    物語をまた面白くしている
    主人公の家族の焼死の謎や彼女との関係も
    各所で語られ物語の幅を広げいてる感じがしました

  • こういう設定もあるのですね、横山秀夫さん。不思議で泥棒でハードボイルド。

  • 泥棒のハードボイルドな感じの本。
    連作短編集なので、1つ1つの物語は完結していくので長さを感じない(短編好きではないので短いコメントです)。
    色んな要素が入っている。警察、反社会的組織、泥棒、特にこの作家には珍しいファンタジー?奇怪的な要素が他の小説と異なるけどスマートに物語に違和感無く溶け込んでいて上手いと思った。
    泥棒の専門用語も面白く思えた。
    主人公はカッコイし、悲しさを覚えてしまう…けど、泥棒でしょ。と現実に考えてしまうと覚めてしまったかな笑

  • オーディオブックで読み放題のオススメになかったらきっと手にしないはずのジャンルでした。
    著者や本作になんの予備知識もないまま聴き始めましたが、かえってそれが良かったです。
    双子の設定も面白いし、それぞれ独立した短編が双子の二人?を軸にしっかり繋がっていてクライマックスまで飽きませんでした。
    泥棒の専門用語が多くて初めて聞く単語が多かった。
    "夜と男に捏ねくり回された"という表現はじめ、女の人の描き方がなんとなく少し不快だった。
    登場人物の誰にも共感出来ないしなんとなく気持ち悪かったのに、同時にずっとすごくせつない気持ちがあって、それは最後まで続きました。
    これ、シリーズものではないのかな?
    そうであるなら読みたいです。

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著者プロフィール

1957年東京生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞し、デビュー。2000年、第2作「動機」で、日本推理作家協会賞を受賞。2002年、『半落ち』が各ベストテンの1位を獲得、ベストセラーとなる。その後、『顔』、『クライマーズ・ハイ』、『看守眼』『臨場』『深追い』など、立て続けに話題作を刊行。7年の空白を経て、2012年『64』を刊行し、「このミステリーがすごい!」「週刊文春」などミステリーベストテンの1位に。そして、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞(翻訳部門)の最終候補5作に選出される。また、ドイツ・ミステリー大賞海外部門第1位にも選ばれ、国際的な評価も高い。他の著書に、『真相』『影踏み』『震度ゼロ』『ルパンの消息』『ノースライト』など多数。

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