陽気なギャングの日常と襲撃 (祥伝社文庫 い 14-2)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396335212

作品紹介・あらすじ

嘘を見抜く名人は刃物男騒動に、演説の達人は「幻の女」探し、精確な体内時計を持つ女は謎の招待券の真意を追う。そして天才スリは殴打される中年男に遭遇-天才強盗四人組が巻き込まれた四つの奇妙な事件。しかも、華麗な銀行襲撃の裏に「社長令嬢誘拐」がなぜか連鎖する。知的で小粋で贅沢な軽快サスペンス!文庫化記念ボーナス短編付き。

感想・レビュー・書評

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  • 伊坂幸太郎さん、ギャングシリーズの第2作目の作品。

    前作同様、主人公の4人のギャングが躍動しユーモアたっぷりの知的なやり取りを楽しませてもらえる作品だった。

    物語は前作以上に枠を外れた突拍子のない展開で、進めば進むほどストーリーが熱を帯びて融合していく様にまとまりのある話になっていく。そして読後凄い満足感に包まれる。

    前作もそうだったが、4人の会話が非常に多い物語。飛び交う会話で物語を進行させていく場面がとても多いと感じる。
    そのテンポ、ユーモア、センス、キャラクターの人物像の個性が飛び抜けている。素晴らしすぎる。
    誰の台詞か書かなくてもわかる。それぐらい最初からしっかりと練り込んだキャラクターの個性の設定だろうと感じる。

    今回は第一章で4人の各々の単独なストーリーを仕立て、そこを繋げて絡めて進んでいくような物語だった。
    見事な伏線になって最終的に心地良いと感じる所もあれば、結局なんだったのだろう?と読後に考え直す所もあった。
    「幻の女?」「和田倉は?」「良子はどうなったのか?」分からない。
    最後の最後でも読者に向けて「手品の種を知ってショウを楽しめるか?」ショウはまだ読者の中で続いている、その先の物語は読者が楽しんで考えてくれ、という事なのか?
    もしそうならばそこまでもが伏線なのか?
    凄い作家さんだ。

    3作目も期待。すでに4人の大暴れに胸が騒いでいる。

  • 人気シリーズ2作目
    んんやっぱり面白い
    陽気で、嘘を見抜く男、演説能力に長けた男、スリが得意な青年、究極の体内時計をもった女性による
    4人組のギャング
    みんな良いキャラ

    「ギャングやるには4人が良い」と毎回書いてありますが実際そうなんですよね
    仕事や呑みでも4人がベストです
    飲み屋だいたいテーブル4人掛けだし、長机でも気づけば4人単位でかたまり、違う話をしだすし…大事な話とかする時は、4人までがベストな気がしますね

    • アールグレイさん
      こんばんは、初めまして、ゆうママと申します!フォロー頂きありがとうございます。
      ベルゴさんというお名前は、タイムラインでよく拝見していました...
      こんばんは、初めまして、ゆうママと申します!フォロー頂きありがとうございます。
      ベルゴさんというお名前は、タイムラインでよく拝見していましたが、まさかフォロワーさんになって下さるとは・・・・これからどうぞよろしく(^-^)私は、ブクログ歴2ヶ月程ですが、今まで読んだ本は記録してあります。でも、感想等は記していないのです。早くブクログを知りたかった!その一言です。・・・伊坂幸太郎さんは、今までの記録を調べたのですが、なんと「アイネクライネ・・・」しか読んでいないのです。でも、最近気になっている本は、「陽気なギャング・・・」2冊です。フォロワーさんから「死神の精度」も薦められました。ベルゴさん、どうですか?是非アドバイスを。(^_^)/
      2021/04/15
  • 再読です。
    この本も、実は先に新書版を買ったのですが、例によって弟に貸したら返ってこなくなったので、文庫版を買いなおし、いつか読もうと置きっぱなしだったのを先日、見つけました。

    文庫版には、新書版にはないA Bnnus Trackと解説がついていたので、お得感がありました。

    CONTENTSを読んでいるだけで、何だか軽快な音楽とともに車で走り去っていく4人の銀行強盗たちが見えるような、スタイリッシュなカッコよさです。
    相変わらずのユーモアとエスプリが効いたとぼけたセリフ回しにクスリと笑えます。

    作者あとがきによりますと、第一章は四つの短編(四人の)だったものを、長編の第一章として組み込み、第二章以降は銀行を襲ってからのお話として書き下ろされたそうです。
    四つの短編は本格推理の様式で四人がそれぞれ探偵役を務めています。

    銀行強盗の話は銀行強盗対、警察ではなく、銀行強盗対、誘拐犯というありきたりでない構図が面白いです。

    好きだったセリフをいくつか挙げます。
    ・「あの人たち本当に、駄目な感じだったから」
    久遠の言い方には好感がこもっている。
    ・「恐怖新聞の勧誘員と言えば、分かってもらえるかもしれません」
    ・「あの人たちはみんな、日頃、悪いことばっかりしてるから、時々ああやってどうでもいい人助けをしたくなるんだよね」

  • 前作とは違い、まずギャング一人一人の人助けが描かれます。随分と今回は世話焼きだなと思ったら…あれもこれもつながっていきました。

    ギャングのいるところにはいつも事件が起きて、なんだかコナンのようだなぁと思いました。正義って何だろう、と考えさせられます。

    前作を読んだ経験を活かして、これは伏線かな?と予想しながら読めました。今作もおもしろかったですが、スピード感は前作の方があったかもしれません。もう1作続編が出ているので、今度読んでみようと思います。

  • 銀行強盗に憧れたのは初めてだ。
    この四人組の会話をずっと聞いていたい。
    この本は辞書だ。


    お人好しなのか、ありがた迷惑なのか。
    思わず笑ってしまう。
    カジノ、借金、誘拐、裏社会。恐ろしい単語が並ぶ、が、恐ろしいか?
    まさに題名どうり。


    あとがきにあった。
    「嘘もずいぶん混ざっておりますので、その旨、ご了承いただければと思います。」

    面白い。なんで人だ。何者なんだ。
    今更ながら、私は伊坂幸太郎を知った。
    素敵な嘘をつけるようになりたい。


    「カジノのことを教えてほしいんだ。火事じゃないよ、カジノだよ。」

    • みどりのハイソックスさん
      はい!本当に素敵な4人組です。
      なぜ四人組なのか、という理由も面白いし。
      もし自分が久遠だったら〜とか考えちゃいます。
      いつも、この四つの能...
      はい!本当に素敵な4人組です。
      なぜ四人組なのか、という理由も面白いし。
      もし自分が久遠だったら〜とか考えちゃいます。
      いつも、この四つの能力が一つだけもらえるならどれがいいかな…?と考えています笑
      私は、響野さんか雪子さんがいいなぁ…
      2022/11/13
  • 面白くて読み終わりたくなかった。
    けれど意外と最後あっけなく、潔く、収束して、他にも回収しきれてない伏線が無かったか?思案するも、とにかく爽やかな気分で読了したのでオールオッケー。笑

    個性強めで非凡なキャラクターたちが今回もフル稼働していて、けれどうまくバランスの取れた4人組だなぁと。
    毎回辞書引用のようなものがついているのだけれど、そこも捻りがあって面白い。

    ひとりひとり人間離れしたような超越した能力を持ち合わせているけれど、中身はすごく人間味のある人たち。
    というのがまた愛らしい。

    伊坂さんがこのキャラクター達を愛しているのがひしひし伝わってくるのもまた良き。

  • 前作『陽気なギャングが地球を回す』が余りに爽快で面白かったため、中毒のごとく続編を手に取ってしまった。

    『陽気なギャングの日常と襲撃』
    今回は随分と異色な設定から始まり、第1章は短編が続き、第2章目から本業始動モードのようだ。章を追う毎にこれら第1章での個別の短編も少しずつ結び付いていくような構成。

    伊坂幸太郎さんのあとがきで腑に落ちた。
    元々は、短編だった作品にアレンジを加えたものらしい。それにしても上手く組込んで関連性を付けたものだなぁと思った。この辺のテクニックは伊坂さんお手のものだろう。

    本作も前作と同様に、成瀬と響野、遠野と雪子が活躍する。やっぱり悪党なんだけど憎めない。
    好きだなぁ〜このキャラクター達!
    日頃悪いことをしているから、時々良いことをやって帳尻を合わす。
    今回は、特に全体を通して良い人感が際立っていた笑
    更に、お人好しに近い良い人が次々に出現するので、フィクション感たっぷりで面白かった。

    この点では、エンターテイメント性が前作よりも増している様に感じた。細かい設定の漏れが所々気になったものの、深読みしなければとても楽しめるし、気分転換になった。
    ただ、前作程には、疾走感やいい意味でのハラハラドキドキや、騙された感がもう一つ味わえなかった。尻すぼみではないが、あまりに潔く終わった場面や、あの後どうなった?あれで終わり?と置いてけぼりになる箇所があった。

    スカッと非日常的な爽快感を味わいたい時にオススメ!
    登場人物や前作との繋がりがある為、未読の方は、是非、前作『陽気なギャングが地球を回す』から読まれることをお勧めしたい。

  • ロマンはどこだ!? カジノに乗り込みドラッグ企業社長令嬢を救出するというメインのお話しには、ワクワク・ドキドキ感がたまりませんでした。短編4話が多々つながっていき、伏線回収で納得。銀行強盗には悪い奴ばかりではない!というとろこに4人のロマンを感じました。全員のキャラが相当際立っていてとても心地よく、久遠のキャラが(いい意味で)濃いですね。でも一番は雪子さん。峰不二子を彷彿とさせ、とても色っぽい。雪子さんの話し方は私の大脳の中で不二子のセクシーボイスが響いています。キャー!超クール。まずは緑色終了。

  • 前回に引き続き、今作もかなりおもしろかった!! 『海には逃がしたのと同じだけのよい魚がいる。』のショートストーリーもすごく良かった!!
    話しのテンポもいいし、広辞苑の内容もクスッと笑わせてくれますね(^^)
    確か続きが出てたから次も読んでみたい!!

  • 2023.6.1 読了 ☆8.2/10.0

    5年以上前に読んだことがある本作を改めて読みたくなり、久しぶりに開いた。

    前作に続き、今作もお馴染みの4人が登場するのだが、序盤は四人それぞれの日常を描いていて、それがなんともユーモラスで皮肉と機知に富んでいて、色褪せない面白さがある。

    ミステリーなのだが警察対銀行強盗(この4人たち)という構図ではなく、銀行強盗が誰も傷つけずに様々な事件に巻き込まれたり、逆に首を突っ込んだりして、その展開に引き込まれる。

    3作目もまた読もう。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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