新釈 走れメロス 他四篇 (祥伝社文庫 も 10-1)

著者 :
  • 祥伝社
3.78
  • (732)
  • (1431)
  • (1043)
  • (167)
  • (30)
本棚登録 : 10617
感想 : 1069
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396335335

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 元の作品を知っていても知らなくても面白く読めた。桜の森の満開の下があたいは好き。
    ブリーフの話も面白かったけど。

  • 森見さんの本は、ぜんぶ面白いです。
    文章の表現方法や物語の切り取り方など、とても上手くて、本にグイグイ入っていけました。
    ぜひぜひ読んでみて下さい。

  • 元の話は走れメロスぐらいしか読んだことないので、
    新釈については語ることできないけど、

    相変わらず癖のあるキャラクターたちがいい味をだしていた。

    個人的には、「藪の中」が好き。
    最後の終り方にきゅーーーーんと来たっ!!

    そして、今回初めて気づいたけど森見さんの小説って作品どうしがリンクしてたりするんだね。

    思えばずっと京都の大学を舞台だったし、普通に考えれば気づくのかもしれないけど、、ちょっと感動した出来事でした。

  • 大好きな一冊。
    面白かった。
    森見登美彦氏の物書きのセンス、最高。

  • 森見登美彦初体験は『新釈 走れメロス 他四篇』。

    高校現代文で最も好きな教材である中島敦の『山月記』をカヴァーしてるっぽい、という一点のみで単行本を衝動買い。その手腕の巧みさに感激し、人に貸しまくっていたらそのまま戻ってこなくなった。で、文庫で買い直した。そんな経緯も含めて思い入れの強い作品です。

    「過去の名作を現代に置き換える」。そんな目論見の標的となったのは、『山月記』『藪の中』『走れメロス』『桜の森の満開の下』『百物語』の5作品。どれもこれも、森見ワールドに生息する腐れ大学生の物語にメタモルフォーゼしております。登場人物がそれぞれリンクしているので、長編の趣も(ああ、連作か)。

    逆説的な『走れメロス』に爆笑しましたが、漢文訓読体を再現しつつ茶化し倒した『山月記』が一押し。原文をそのまま引用するタイミングとかがまた憎いのですよね。それでいて主人公の悲嘆も決して外さないっていう。

    名作の力について述べた「文庫のためのあとがき」も素敵。

  • 森見登美彦さんの作品を畏れ多くも二種類に分けるならば、①京都を舞台としたこじらせ系、②異世界との行き来が鍵となる忘我系…とでもなるだろうか。①は名高い『夜は短し歩けよ乙女』や『有頂天家族』、そして②は『夜行』であり『熱帯』であるだろう。もちろんこうした定義はいつだって曖昧さをはらんでいるもので、『四畳半神話大系』なんかは中間に位置すると言っていい。

    『新釈 走れメロス』におさめられた一連の短編たちには、そのどれもが混交し折よく収められていた。連作の大団円としての「百物語」のシニカルな不気味さは、後の大傑作である『熱帯』への萌芽を思わせる。

    改めて森見登美彦作品の連なりを整理するのに良い作品であった。

  • あの名作の日本文学たちをモチーフに、森見登美彦が新たな物語を紡ぎ出す。
    表題になっている『走れメロス』はいつもの阿呆大学生のノリで突っ走る抱腹絶倒の物語。
    その他の四編は著者の和ホラーの方の才能も混じり合い、うすら怖い感じのお話になっている。

    個人的に特にお気に入りなのは『山月記』と『桜の森の満開の下』。特に山月記は……原作もそうだが、若者を終えかかっている者にとっては胸が痛くてしょうがない。この二作品には著者の小説家としての懊悩が見え隠れするような気がする。
    原作が名作すぎるので大まかな話の流れが面白いのは言うまでもない。が、よく名作を台無しにせず新しい物語を生み出したものだ。ちゃんと名作も自分の土俵に持ち込んで新たなものを創作する。なかなかできることではない。
    ……まあ、『走れメロス』は……太宰ファンはキレるかもしれない。私は大好きだけれども。

  • 「新釈 走れメロス 他四篇」
    日本一愉快な青春小説。こんな友情もあったのか。


    大枠の世界観は守りつつも、舞台やら登場人物やらが、森見登美彦氏によって多大にパロディ化されています。新釈という表現がぴったりな作品です。名作が此処まで姿を変えるとは。


    森見味が加わった過去の名作は、


    ◇太宰治「走れメロス」
    ◇中島敦「山月記」
    ◇芥川龍之介「藪の中」
    ◇坂口安吾「桜の森の満開の下」
    ◇森鴎外「百物語」
    順不同

    の5編です。何となく堅そうな作家ばかりなので、新釈版の自分の小説を読んだら怒ってしまうんじゃないんですかね。怒る彼らを森見さんが宥める、いやいや、どれだけ敬意がこもっているいるのかを熱弁する姿を想像してしまう。


    一番面白かったのは、「走れメロス」。一番印象深いのは「山月記」です。「走れメロス」は、馬鹿馬鹿しさが凄まじいことこの上ないです。自分を如何に正当なのか、自己弁護且つその様を自画自賛するこ奴は、ちょっとぶっ飛んでいるけど潔い。特に「自分が戻ってこないことを知った上で人質を受け入れた親友の気持ちに応える為には、自分は戻るべきではないのだ!」を胸を張る姿は、なるほど!と思っちゃう。こじつけだけど一理あるぞとw


    一方、「山月記」は、メロスと違い、重い仕上げになっています。人の内省の揺れが、びりびりと伝わって怖さを感じさせます。「自分には才能がある。他人とは違うのだ」と本気で信じて生きてきた人間が、壁にぶつかり、そこで真に向き合うべき心から目を避けてしまって天狗へと昇華する。最後に、一冊ぽとりと落ちる書き溜めた小説が、とても哀しい。


    名作とは、とっつき憎いと感じる人が多いと思います。そんな人にはまず森見版から入ってみませんか?とお勧めしたいですね。

  • 面白すぎる…。どうしよう。

    名作を森見さん流に書き換えてしまった小説。いつもどおりのアホさ加減満載で、ワクワクする小説なのですが、「京都はどんだけ変態が多いんだ」とか「京都大学は変人だらけか」と思ってしまいますよ。いいんですか。

    いや、いいよねぇ、大学。戻りたいよ大学時代。

    「藪の中」と「桜の森の満開の下」、「百物語」は純粋に素敵な小説でした。
    見所はやはり、森見さん全開・詭弁論部満開の「走れメロス」と「山月記」。
    特に走れメロスが最高に面白かった。

    友人は信じる「あいつは絶対に来ない!」と。
    芽野は走る。「あいつが来るはずないと、奴は信じているに違いない」と。
    なぜ桃色ブリーフとか、最終的にそういうことはどうでも良くなります。
    コンナ大学時代、素敵ですね。傍観したいですね。あくまで、傍観するだけでいいところがポイントです。

  • 表紙を開いて1ページ読んだだけで、笑いそうになってしまった。

    もう馬鹿馬鹿しいくらいの妄想と、憶測と、高慢と偏見に満ちた「藪の中」、おなじみのモリミアイテムが次々と出てきて、ファンにはたまらなく嬉しい「走れメロス」、どれも森見さんらしい凝った演出が堪能できて、とてもおもしろかったです。

    「山月記」で主役を演じた”斎藤秀太郎”が、あちらこちらで脇役として登場するたびに、変な興奮をおぼえました。

著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森見登美彦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×