天竺熱風録 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 83
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396336820

作品紹介・あらすじ

大唐の太宗皇帝の命を受け、下級文官・王玄策ら三十余名が天竺へ向かった。目的地のマカダ国は難路悪路の遙か彼方。しかも行く手には天空の頂・雪山がそそり立つ。苦難の旅の末辿り着いたマカダ国では、名君が逝去し簒奪者による悪政が行なわれていた。囚われの身となった王玄策は脱獄を決意し…。中国史上もっとも数奇な体験をした使節団を描く痛快冒険ロマン。

感想・レビュー・書評

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    この本の主人公は王玄策という実在の初唐の中堅役人。
    怪しげな老バラモンや、田中作品らしいお転婆娘とパワフル妃、報われない王さまと登場人物は多士済々。
    現代でも大変なヒマラヤを越えてインド行きを、もちろん飛行機もない時代に人生で3度も行い、あげくに行った先で大活躍して史実に埋もれた、王玄策という人物の物語。

  • 初唐の時代に実在した、王玄策の波乱万丈なインド旅行?を
    講談調(紙芝居風)の軽快なタッチで描いてます。

    田中先生の架空戦記モノは未読なので知りませんが、中国物に
    関しては、人物造形が全体的にアッサリ風味な印象ですが、この
    作品においてもその特徴が良く出ています。

    文官にして驚くべき戦功を立てたものの、割と注目されてこなかった
    ことを思えば、田中先生の軽やかな描写と良く合う気がします。

    たまには違った感じの小説を読みたい方にオススメします。

  • まるで講談が文字に起こされた文章のように流れるような筆致で,唐太宗皇帝の命を受けた実在の人物,王玄策達使節団の冒険活劇の一幕が描かれる.結末が早く知りたくて,ページを捲る手を止めるタイミングを逸する程度には,脂の乗った田中芳樹節が堪能できる.

  • 全1巻

  • 唐代、玄奘三蔵法師と同時期に、使節として唐と天竺を三往復した男がいた!と。王玄策、二度目の天竺行が題材。使節としてチベット、ネパールを通ってついてみれば、戒日王は亡くなり、簒奪者に投獄され。脱獄し、チベット、ネパールの軍を引き連れ舞い戻り、簒奪者を撃ち破り、唐へ連行。文官なのにめっぽう強くて、胆力も知力も十分すぎるほどあり。脇を固める副将や族弟、ネパール王やその援将、随行僧の彼岸たち、戒日王の妹やその有能な家司などなど、魅力的な人物目白押しで、ワクワクの止まらない一大冒険活劇でした。

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    まず驚いたのは中国からインドに向かう道として、チベット越えのルートが存在していたことに驚いた。
    さらに驚いたのはそのルートで3度もインドに行ったことがある人物が存在していたということだ。
    その王玄策はこのインドへの使節としての活躍しか記録が残っていないようだ。2度目の使節としてインドに行った際の物語がこの作品というわけだ。
    しかし、この人物が乱世に生まれていたら一廉の人物として大成していたのかも知れないが、唐時代でも特に平和な時代だったことが歴史に埋もれる結果となってしまったわけだ。
    インドでの戦いは敵対者の隙をうまく突き、二国の将兵をうまく纏め上げ鮮やかに勝利している。面白かった。

  • 一桁世紀に、支那の文官が、天竺へ行って、いろいろあって掴まったのでちょっと脱走してその辺で兵士借りてちょっとボコって帰る、といふ史実とやらに取材した話。
     しかもこの方、衒ひのないものながら、玄奘三蔵法師の関係で一回、これの後まう一回、普通に天竺往復したんですって奥様。
     支那人はウシについて、息の他に乳汁は基本摂取しないといふトリヴィアが面白かった。
     藤田和日郎先生の表紙はかっこいいのであった。

  • 王玄策と言う唐初に天竺まで使節として旅をし、天竺に起こった不当な王朝を正す話。
    史実(もちろん詳しいことは?)には一応のっているらしい
    チベットとネパールの軍隊を率い、インド側の軍を破るのだからたいしたもの。

  • 中国・唐代、王玄策という人とその一行が天竺(インド)へ旅します。
    その道中の冒険の話。
    知恵を働かせて、&勇気・観察力…etc.…で、ふりかかった災難に立ち向かっていく主人公。
    結構、史実を元にしているらしいです。

    台詞以外の部分が、漢文読み下し文のような文体で、かつナレーションのように書かれていて、読みやすく、どんどん読めます。
    面白かったです。

  • 歴史上にはあまり名前の出てこない人物が、実は凄い事をやってのけていたんだよ。ごく簡単にいうとそんな感じ。
    物語は紙芝居を観ているような口調で進行します。

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著者プロフィール

1952年熊本県生まれ。学習院大学大学院修了。1978年「緑の草原に……」で幻影城新人賞を受賞しデビュー。1988年『銀河英雄伝説』で第19回星雲賞(日本長編部門)を受賞。2006年『ラインの虜囚』で第22回うつのみやこども賞を受賞した。壮大なスケールと緻密な構成で、『薬師寺涼子の怪奇事件簿』『創竜伝』『アルスラーン戦記』など大人気シリーズを多数執筆している。本書ほか、『岳飛伝』『新・水滸後伝』『天竺熱風録』などの中国歴史小説も絶大な支持を得ている。

「2023年 『残照』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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