苻堅と王猛: 不世出の名君と臥竜の軍師 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396337551

作品紹介・あらすじ

四世紀半ば、諸民族が覇を競う五胡十六国時代の中国で、〓(てい)族の青年・苻堅は全民族が平等に暮らせる統一国家建設を志していた。〓(てい)族の秦と鮮卑族の燕が中原を二分、江南には中華の正統を継ぐ漢族の東晋が盤踞する中、臥竜の軍師・王猛を得た苻堅は秦の皇帝となり燕を併呑、ついに東晋に挑むが…。史上初、民族融和の壮図を目指した不世出の名君を描く歴史巨編。

感想・レビュー・書評

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  • 全1巻

  • 今から1600年も前の四世紀に、多民族融和の理想を掲げた西秦の苻堅と、その補佐役の王猛の物語。この二人の二人三脚で中国統一の一歩手前まで行くのですが、その夢が最後の最後、淝水の戦いで瓦解してしまいます。まさに、正義が必ず勝つとは限らない見本のような結末ですが、それでも、これだけ清廉な理想を追い求めた苻堅に拍手を贈りたくなります。中国の歴史を見ていると、異民族の方が清廉潔白であることが多いですね。今の中国では、苻堅のような人は生きにくいのでしょうが…

  • 単純にいうと、全ての人が差別なく暮らせる世界を作ろう、という理想を求めた皇帝・符堅です。

    理想ですよね。この追い求めた理想が悲しいのは、未だに達成されていないこと。
    普通というか、大抵は時代が早すぎた、という結論になるのですが。後付けなんですけども。
    この符堅の追い求めた理想は、現在も達成されていませんね。
    そこが悲しいな、と。

    そんな世界がいつ来るんでしょうかね。ねぇ。

  • 五胡十六国時代の前秦の皇帝とその宰相を中心に、淝水の大敗に向けて話が突き進んでいく。
    理想を掲げ突き進む君主と、その理想を現実に落としこむため時に非情な進言をする王佐。王猛が死ぬ前から内包していた国内の齟齬は、「百万の大軍を揃えたとしても、淝水の戦いは負けるべくして負けた」としか思えない。

  • 三国志後の時代、日本史では、宋あたりからまた絡んでくるけれど、その間の空白を埋めてくれる1冊。
    予備知識が少ないところだったので、新鮮だった。
    ドラマと違うのは、ハッピーエンドにならなかったってこと。
    高すぎる理想、先に進みすぎた思想は万民に受け入れられないということ。
    人間の営みなんて、たかだか数千年で変わらないもんですね。

  • 小前さんの作品は読みやすい且つ面白い!読みやすいことは歴史小説にとってとても大事だと思う。
    この作品について言うならば、王猛亡き後の部分がそれまでと比べ話の濃さが薄くなってしまっている(と感じた)ことが残念だった。

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著者プロフィール

小前亮/1976年、島根県生まれ。東京大学大学院修了。専攻は中央アジア・イスラーム史。2005年に歴史小説『李世民』(講談社)でデビュー。著作に『賢帝と逆臣と 小説・三藩の乱』『劉裕 豪剣の皇帝』(講談社)、『蒼き狼の血脈』(文藝春秋)、『平家物語』『西郷隆盛』『星の旅人 伊能忠敬と伝説の怪魚』『渋沢栄一伝 日本の未来を変えた男』「真田十勇士」シリーズ(小峰書店)、「三国志」シリーズ(理論社 / 静山社ペガサス文庫)などがある。

「2023年 『三国志 5 赤壁の戦い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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