吉祥寺の朝日奈くん (祥伝社文庫)

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著者 : 中田永一
  • 祥伝社 (2012年12月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396338022

吉祥寺の朝日奈くん (祥伝社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • どうしてこの人の小説は
    こんなにも切ないんやろ。

    と同時に
    ニヤニヤが止まらない微笑ましさも
    この人だからこそ。



    80年代から90年代の世相と共に
    放浪する交換日記の顛末を
    瑞々しく描いた
    『交換日記はじめました!』


    誰の記憶にもない
    高校のクラスメートと
    油性マーカーの「マッキー」が取り持つ縁とは…
    『ラクガキをめぐる冒険』


    仲のいい
    高一の男子二人と
    ボーイッシュな女子一人による
    決して交わらない悲しい三角関係を描いた
    『三角形はこわさないでおく』


    お腹の音に悩む
    “ハラナリスト”の憂鬱を描いた
    『うるさいおなか』


    妻で子持ちの彼女に恋をしてしまった朝日奈くんを
    リアルな吉祥寺の街並みと共にクールに描いた表題作
    『吉祥寺の朝日奈くん』

    など
    5編の短編はすべて
    切なくも微笑ましい
    ラブストーリーになっていて、

    その先が気になる絶妙のところで潔く終わる、
    ラストの締め方がまた
    心憎いのです。



    見知らぬ者たちが
    日記というバトンを繋いでいく様は
    奇跡を見るようにワクワクしたし、

    ミステリー要素を隠し味に
    ラスト間際に反転する見事な物語のキレは
    さすがの乙◯の片鱗だし(笑)、


    もしこの物語に
    何か教訓があるとすれば
    『届かなくとも
    月へ手を伸ばせ!』
    っていう
    ドン・キホーテの精神なんじゃないかな。


    すべての作品に共通するのは
    今ある不甲斐ない自分を越えて
    一歩だけ前に進むストーリーです。


    そんなことしてどうするのって
    問いかけてくる世界から、

    お行儀良くしてなさいっていう
    誰かが決めたレールから、

    もっともっと
    はみ出さなきゃ。


    できないと決めつける前に
    手を伸ばし続けなきゃ。


    幸せはいくら待ってても、
    やって来ない。

    自分から出かけて行かなくちゃ、
    見つけられないのです。



    それにしてもこの人は
    乙◯同様に(笑)、
    報われない日々に
    苦悩する人たちや

    届かない愛の前で
    立ちすくむ人たちを描くのが
    ホンマ上手いですよね。


    映像化して欲しい話が沢山あります♪

  • はじめて読んだ、中田永一さん名義!
    同時期に乙一さんのGOSHを読んでいたため、あまりの爽やかさの差に驚きました(笑)。
    いいですね、大好きですこのテイスト。

    一番好きなのは『三角形は壊さないでおく』。
    題名から、あー、三角形は壊さないのね、とわかったのに、恋に落ちる高揚や戸惑いだったり、少し会える喜びや会えなかったときの落胆だったり、恋と友情の間で揺れ動く微妙な心情だったりが伝わってきて、妙にこしょばくにやけてしまいました。
    三人がそれぞれにいいなぁ。恋愛は自己中で盲目的になりがちなのに、好きな相手以外の関係に目を向けて。

    『うるさいおなか』も爆笑でした。
    先輩がいるというその理由だけで同じ高校を受験し、その大好きな先輩に図書室に誘われたのに、静かな場所には行けないと泣く泣く断る。
    先輩は、図書室で出会った女の子と付き合うようになる…。
    女子には、どんなに行きたくても、人には言えないくだらなすぎる理由で断腸の思いで断りを入れることがあるのです。穴の開いた靴下をはいているが故に、家に上がるのを断固遠慮したりとか(笑)。
    何を隠そう私もハラナリストです。昔は恥ずかしかったなぁ。ぐーぴたはハラナリストの強い味方。お腹が鳴りにくい姿勢も、経験的に体得済みです。
    でも最近は、何も聞こえないふりをしてくれる周りに甘えて恥じらいを失いつつありますが…^^;

    どのお話も、わかりやすいハッピーエンドではないのに、温かい気持ちになりました。

    ところでこの間、高校時代の私が書いた手紙を受け取りました。当時の担任が、10年後送るといって書かせ、10年を超過して届いたもの。
    この本は、そんな中高時代の甘酸っぱい気持ちも思い起こさせてくれた…
    と言いたいとこだけど、当時の私は色恋と無縁で、まだガラスの仮面は完結してないでしょうあはは、と締められていて脱力。。。
    三角形を壊すか壊さないか、リアルに悩めとは言わないが、他に書くことなかったんかー。

  • タイトルの「吉祥寺」に惹かれて購入、短編集になります。
    懐かしい地名がてんこ盛りなタイトルの話も良かったですが、、

    印象的だったのは「三角形はこわさないでおく」の一編。
    どこか純文学を感じさせるその筆致に、透明感が残りました。

    夏の日差しに照らされて、夏の雨にあてられて、
    そして彼誰時の夕焼けに包まれてゆく、登場人物の3人。

    純粋であるがゆえの身を斬られるような切なさと、
    それら全てを柔らかく包み込むような甘さが同居して。

    さて、「三角形はこわさないでおく」とのフレーズの真意は、なんて。

  • 中田永一さん、とても良い。こんな恋愛小説もあるんだ・・・!と思わせてくれた作品。キュンと甘酸っぱく、そしてどんでん返しもあり。たまらんです。

  • 『交換日記はじめました!』のゆっくりと時間を経て、当人達の知らない所で物語が続いている感じがよかったです。交換日記形式のお話なんて初めて読んだので新鮮でした。

    『ラクガキをめぐる冒険』は推理小説、恋愛小説、青春小説が混ざったような物語でした。
    最後の2、3ページが新しい恋の始まりになればよいなと思いました。

    私の一番好きなお話は『三角形はこわさないでおく』です。ツトムと廉太郎、そして小山内さんとの三人の関係がなんともいえません。廉太郎とツトムがお互いを大事に思う気持ちがせつないというか瑞々しいというか…青春という一言では片づけてはいけない物語でした。

    どのお話も少しせつないですが、何かしら登場人物達の心に小さな希望や勇気が湧くような終わり方になっていてよかったです。

  • もうだいぶ乙一さんだということが公然と口にされるようになってきたね。
    白乙が好きな私としては、中田永一さんとしての活動は嬉しい限り。

    本作は5編から成る短編集。
    『ラクガキをめぐる冒険』と『三角形はこわさないでおく』が好きだな。

    前者は、中学時代に一緒にラクガキ事件を起こした同級生の行方を追うもの。
    ただ懐かしくなって気まぐれで起こした行動だったのかと思いきや、、、
    意外にもミステリ要素が強くて良い意味で驚かされた。
    凄いなー、こんな展開になるなんて想像もつかなかったよ。
    伏線もしっかりしていて納得。

    後者は高校生の恋愛・青春の物語。
    タイトルからも分かるように三角関係になってしまうんだけどね、
    こちらも物語の展開に伏線があってかなり楽しめました。

    あと、『交換日記はじめました!』も良かったな。
    恋人同士の交換日記の内容をそのまま書くだけというスタイルで
    この後どう展開するんだろう?物語に拡がりが出るんだろうか?
    っていう疑問があったけど、なるほどそうしますか!という感じ。

    表題作は映画化されるようですね。
    個人的には上記3つのどれかのほうが映像化されて欲しかったです。

  • どのお話もそれぞれに温かくて面白かった。お気に入りは、「三角形はこわさないでおく」と「吉祥寺の朝比奈くん」。推理小説家が織り成す展開が、ぼんやりとした日常の描写にスパイスを効かせていて、胸の奥からこみ上げるあつさがあった。

  • アンソロジーで「百瀬、こっちを向いて」を読んで以来、
    著者のこの作品を読みたくて購入。様々な恋愛模様を描いたオムニバス作品。読み手に期待させる伏線があったり、魅力的なキャラクターが出てきたりと一気に読めた。そんな中やはりタイトルの「吉祥寺の朝日奈くん」は素晴らしい。

  • 交換日記はじめました!と三角形はこわさないでおくが好きだ。

  • 中田永一さんの文章は、どこか暖かくて優しい印象で読むとほっとします。
    その一方で、ストーリーは一筋縄ではいかない意外性があって、テンポ良く読んでしまいます。
    穏やかな気持ちになる本です。
    私は、特に「三角形」と「ラクガキ」がすきです。

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吉祥寺の朝日奈くん (祥伝社文庫)の作品紹介

彼女の名前は、上から読んでも下から読んでも、山田真野。吉祥寺の喫茶店に勤める細身で美人の彼女に会いたくて、僕はその店に通い詰めていた。とあるきっかけで仲良くなることに成功したものの、彼女には何か背景がありそうだ…。愛の永続性を祈る心情の瑞々しさが胸を打つ表題作など、せつない五つの恋愛模様を収録。

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