ほかならぬ人へ (祥伝社文庫)

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著者 : 白石一文
  • 祥伝社 (2013年1月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396338107

ほかならぬ人へ (祥伝社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 自分にとって“運命の人”は果たして存在しているのだろうか。存在するのだとして、それはどんな風にして見分ければいいのだろうか。
    様々なカップルや夫婦を見ていて、凹凸がぴったりと当てはまるような組み合わせもあれば、多少無理をして一緒にいるような組み合わせもある。
    そして一度はくっついたものの、離れてしまう組み合わせもある。
    離れてしまう。それは“運命の人”ではなかったからなのだろうか。そうだとしたら、ベストではない、ある意味では間違った組み合わせもこの世の中にはきっとたくさん存在する。
    そんなことについて、じっくり考えてしまうような小説だった。

    「ベストな相手が見つかったときは、この人に間違いないっていう明らかな証拠があるんだ」
    …妻のなずなに裏切られ、失意のうちにいた明生。半ば自暴自棄の彼はふと、身近にいたある女性が発していた不思議な“徴”に気付き、徐々に惹かれていく。

    この小説で描かれる、とある“徴”。人と人の相性の良さって、話が合うとか価値観が似てるとかそういうことだけじゃなく、生物学的な部分にも現れるものなのかもしれない。人は自分とは離れた遺伝子を持つ人に惹かれやすい、という話も聞いたことがあるし。
    結婚は勢いも肝心。と、結婚経験のある人はよく言うし、実際そういう面もあるのだろうけど、それがベストな相手であるとは限らない。
    この小説の主人公・明生も、成り行きと勢いからくる感情で、深く考えずに結婚を決めたけれど結局それは破綻する。そして彼にとってベストな相手は、そういう勢いとは真逆のところに存在していた。
    出逢いって不思議だ、と思う。なだれ込むように訪れたり、自分で選び取ったり。
    とても幸福な結末とは言えなくても、そういうベストな相手と出逢ってほんのひとときでも傍にいられたのなら、それはやはり幸福と呼べるのだと思った。

    2本目の「かけがえのない人へ」も似たようなテーマ。「ほかならぬ人へ」よりも生々しい“徴”が登場するのだけど、それは人間にとってきっとすごく大事な部分。
    自分にとってのベストにどこかで気づいているのに、それを掴み取ろうとせずに離れてしまうのもまた運命のひとつなのかと考えさせられる。それとも物語が終わった後、また何か変化が訪れるのか、とか。

    「まぁ、こんなものかな」で相手を選び結婚する人もいる。それ自体間違ってるとは言い切れないし、そういうのを幸福だと思う人もいるのだろう。
    何を以て“ベスト”とするのか。第六感に近いようなものなのか。
    いろんな“徴”に目を向けてみたいと、そんなことを思った。

  • 幸せになれる条件は揃っているのに
    幸せを選べない
    執着する相手でないとわかりながらも手放せない
    生きていたいと願っても叶わない
    なんとも歯がゆい物語ですが
    これが生きる事の難しさなのかなと
    なんとなく感じる作品でした

  • どうしても、理解できなかったりするのが恋愛だ。こっちのほうがいいのにどうしてもあっちにいってしまう。
    大人になって、家庭もあって、どこか冷静にそっちはダメだよ。と計算できるし行動できる私は、きっと普通の主婦なのだろう。
    でも、この小説に書いてあることもわかるのだ。こういう生き方しかできない人もいることも。そういうことを思い起こさせてくれる小説。

  • 読了日2011/08
    ほかならぬ人へ、かけがえのない人へ 2本収録
    「ほかならぬ人へ」は男性目線で
    「かけがえのない人へ」は女性目線で描かれています。

  • 幸せな恋愛、満たされた結婚...。
    それらは個人差や考え方の違いで様々だ。
    でも"普通"であることが、一番の幸福なのかもしれない。
    生きていれば何かを得て、何かを失う。ただ喪失感の方がはるかに強く感じるだろう。
    日常は"ちょっとした正と負"の積み重なりでバランスが成り立っていて、その一つでも欠けると大きく傾くことがある。
    この本を読んでそんな事を思った。

  • 「ベストの相手」なんているという幻想は捨てたほうがいいんだろう。東海さんはそうだったのかもしれないけど、みはるにとっても黒木が本当に「ベストの相手」なかんて確かめようもないしわからない。
    人は何でも失うと魅力が増すとも思うし、ベストだったと思い込む人間の力はすさまじい。こういうとき、私はベストじゃなかったんだ、と思うようにしてる。小説の中の登場人物にすらそんな都合のいいことは起こってほしくない心が狭い我儘なだけだけど。

    でも、でも、もしベストだと思っても手遅れであることもあるだろうし、人生どうしたらそれがベストの選択なのかわからないなぁと思う。

    あとがきがとてもよかった。編集者の宮川直美さんについても知りたくなった。

  • 「ベストの相手が見つかったときは、、、」というくだりに興味をひかれて読み始めた。
    それぞれの組み合わせが痛いほど切ないと感じたけれど、出会えてよかった本になりました♡

  • 新潮社のyomyomで初めて白石さんの作品を読んで、そういえば書店でよくこの本見るなーと思って買った作品。直木賞も受賞している。ところどころに心に刺さるようなフレーズがあり好きな作品だ。ただ、一つの物語で前ページ使って欲しかったなーとなんとなく思った。

  • 就活している頃に直木賞を受賞したので買ったのだが、そのまま積ん読状態になっていたものを読んだ。題名から想像の付くとおり恋愛小説だったが、表題の受賞作よりも、一緒に入っている「かけがえのない人へ」の方が面白かった。好きで一緒になったのに、どうしてうまくいかないのかなあという永遠の(?)課題が浮かび上がる。2作とも、主人公がブルジョワ~中産階級で、世間的に見たら「幸せ」な結婚をするのが全然幸せじゃないんだよね、という意識に支えられたストーリーであった。生まれ育った、ある種「恵まれた」環境から逃げ出したい。けど・・・という葛藤が本能的な性愛を通して描かれる。

  • 白石さんの本は、とても好きです。
    解説を書かれた新潮社の宮川直美さんも素晴らしいです。

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ほかならぬ人へ (祥伝社文庫)の作品紹介

「ベストの相手が見つかったときは、この人に間違いないっていう明らかな証拠があるんだ」…妻のなずなに裏切られ、失意のうちにいた明生。半ば自暴自棄の彼はふと、ある女性が発していた不思議な“徴”に気づき、徐々に惹かれていく…。様々な愛のかたちとその本質を描いて第一四二回直木賞を受賞した、もっとも純粋な恋愛小説。

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