- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396338435
感想・レビュー・書評
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栄三郎がなぜ取次屋を生業としたかを物語る「取次屋」誕生秘話!
一番手柄 ― 取次屋栄三シリーズの10作目
2013.05発行。字の大きさは…小。
大阪の鍛冶屋の倅ながら江戸で剣客となった秋月栄三郎は、侍の世界に失望し人生に迷っていた。そこに大坂で暮らす父・正兵衛が現れ、知己の老親分・洞穴の源蔵の世話を命じるが…。
栄三郎は、15才の時に大阪で岸裏伝兵衛に見いだされて、剣の弟子として江戸へ連れて来られる。それから15年、気楽流剣術に打ち込み師匠も認める腕となったが、師の岸裏伝兵衛が武者修行に出てから、侍の世界に失望し人生に迷っていた。
そこに、大阪から栄三郎の父・正兵衛が出て来て、火盗改め方の手先・洞穴(法螺吹き)の源蔵を手伝うように言う。栄三郎は、あんな法螺吹きの面倒をみれないと正兵衛に言えば。
正兵衛は、栄三郎に「ええか、人は生きるのが仕事や。ところがいつか死んでしまうことをわかってしもてる。夢を見たとて虚しいことや。そやよってに楽しみを見つけるのや。どんな時にでも楽しみを見つけて生きてたら、短い一生も捨てたもんやない……」
「わしはお前に今持ち合わせのない、その楽しみを与えてやっているのや。そう思え」と、正兵衛は諭すように言った。
父に促されて、人の世話を焼く栄三郎は、それにより人との関わりが多くなり、剣に行き詰っていた自らの生き方を見つけることとなる。
そして、人の世話を焼く楽しさを知る。
正兵衛は、「この世の中で、人の世話を焼くことほど面白いものは無い」と言う。
人の世話をすることによってつながる損得抜きの上等の縁――それが栄三郎が修めた剣術の遣い道をも拓いていくと。
栄三郎は、動き回っていると、退屈な日々が何やら浮かれたものになってきた。
その栄三郎の動きにより、洞穴の源蔵が恩人・火盗改め方与力の仇を討つ、一番手柄をあげる働きをする事となります。
【読後】
堅苦しい栄三郎が遊び心のあふれる人と変わるきっかけとなった物語。
この話は、いいです。
いままでは、短編4話であったが。この本は、長編です。
【取次屋栄三】を読みだして10作目になります。
岡本さとるさんのデビュー作の1作目(2010年12月)から始まって、いまも続いて出版されているシリーズです。昨年(2019年)8月に20冊目「忘れ形見―取次屋栄三」が出版されました。
この本は、町人の大阪の鍛冶屋の倅が、侍の剣客となった秋月栄三郎の人柄が一番の読みどころです。どんなに喧嘩している人の中に入っても栄三郎の笑顔が人を和ませ、その人の心を癒します。そんな栄三郎が町人と侍の間に立ち、事件を解決して行く物語です。
今後も続くことを楽しみにしています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ここで、取次屋になる前のお話が紹介される?
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いわばエピソードゼロ
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取次屋栄三の10作目にして初めての長編。いきなり時代が戻っていて面食らったが、取次屋誕生秘話という試みは興味をそそる。栄三と父親正兵衛との関係も奥の深い会話が多く、親のありがたさをしみじみと感じる。
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第十弾
多分シリーズ初の一巻一話形式
取次屋誕生秘話
栄三と父との交流と人との係わりの面白さ
火盗改めの与力の死の謎に迫る -
L 取次屋栄三10
初の長編?今までのシリーズとちがい、褒めちぎりも少なくなって鼻につくことがなくなったよ。
でも、ここまでかな。
法螺話、必要だった? -
201306/法螺話部分はちょっと飽きたけど、今回も良作。読みやすい時代物なのでこのシリーズはおすすめしやすい。