- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396338596
感想・レビュー・書評
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移動調理屋として車で全国を回る女性の物語。
近くに来てくれたら、何を作ってもらおうかな?
佳代は15年前に失踪した両親を探すため、調理屋を思い立ちます。
改装した厨房車で暮らし、その土地の天然水を汲める場所に車を止めさせてもらう。
「いかようにも調理します」と札を出し、食材を持参すれば、一品なら4人前まで500円。
両親の手がかりを求めて移動する土地の名産品を生かした料理が美味しそう。
中学卒業間際に両親が失踪した後、給食係の手伝いなどをして弟の和馬を育て上げた佳代。
今はりっぱな大人となった和馬とのやり取りは、ほほえましい。
しかし、理想郷を追い求めていたらしい、この両親はいったい‥
ヒッピームーヴメントの生き残り世代らしいけど、ちょっと謎(笑)
行く先々で思わぬ出会いがあったり、ちょっとした人助けをしたり。
美味しく読めて、人情ありで、なかなか拾い物でした☆詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「いかようにも調理します」の木札を掛けた、キッチンワゴン。
持参した食材を地元の湧水を使って調理をする、
移動調理屋。全国をワゴンで移動する佳代の本当の目的は中学生の佳代と弟の和馬を置いたまま家を出た両親を探すことだった。
中野区でキャベツだけを持ってきた小学生の男の子
横須賀で子どもの頃のオヤキを強請る米兵ジェイク
京都の料理屋に予約される佳代の賄いカレー
松江の魚の行商のおばあさんとミートボールのトマト煮
小学時代を過ごした押上の思い出の鮨天と幼なじみ
盛岡のラタトゥイユと父娘と新しい麺料理
函館の母子を助けた魚介めし
両親の情報を追って、移動を繰り返す佳代と、佳代の料理で笑顔になる人々。
親と子どもの関係、譲れないもの、じんわりと染みる。
佳代の作る料理が美味しそうなのはもちろん、傷ついても上を向く、佳代の強さと頑固さが爽やかな読後。 -
うっかり夜更かししながら一気に読破。
深くじっくり味わうような内容ではないけど、非常に好きです。
「いかようにも」という表現とか、普段はパッと思いつかないけど、この小説にはピッタリの言い回し!
こういう所に作家さんのセンスって出るのでしょうね。
あと、ベア五郎とかwww
主人公の佳代の英語力からすると確かにベア五郎とか言いそうで思わず唸ってしまいました。
それにしても、「ヤッさん」といい「佳代のキッチン」といい、「ありそうでもない」けど、「なさそうでもない」感じのストーリが好きです。
原宏一さんおそるべし!!! -
中学生の時に失踪した両親を探すため移動調理屋としてキッチンワゴンで全国を巡りはじめる佳代。
各地で過去の両親を知る人から足跡を辿り両親を探し出せるのか。
読みやすく心温まるショートストーリーの連作。
シリーズ第一弾のようなので次作も手に取りたい。 -
近所の書店でポップ付きでオススメされていた本です。
ここは一つ薦めに乗ってみようと手に取って、ちょくちょく時間を見つけては読み進めていました。
後半に差し掛かってから急にページをめくる手が止まらず、自室で誰にも邪魔されることのない環境なのもあってかあっという間の読了。
その時の感動たるや。
面白い本を読み終えた時ってこんなにも満ち足りた気持ちになるんだなぁ。
私、長いことこの種の感動を忘れてしまっておりました。
東京は新井薬師から始まって、横須賀、京都、松江、東京に戻って押上、盛岡、函館……と北上しながら両親を探す佳代の旅を、一読者として共にしました。
どこの話も、人情味溢れるいい話でございました。
そして私も、佳代と一緒にチラシを配り、一緒に聞き込みを続け、一緒に調理を手伝い、キッチンカーがトラブルになれば対応策を考え、夜は一緒に晩酌しました、と言いたくなる程度には、読めば読むほど深くストーリーに没入して読んでしまっていました。いつの間にか、気が付けば、です。
そして、こんなこと言ってよければ、私はいつの間にか佳代に惚れ込んでしまっていました。旅を続ける中で色んな人と出会って成長して人間を観る眼が変わっていく姿にもう惚れまくってしまっていました。一人の女性として魅力的に感じていました。いつの間にか、気が付いた時には、です。
極め付けは、最後のニセコに辿り着いた時のラスト。
あのラスト。
何遍も読み返してしまいました。
え、そんな終わり方あり? と。
思わず抱きしめたくなったさ。
一緒に泣いてもよかったよね。
こんなことってある?
とまぁ、たっぷりと『佳代のキッチン』ワールドを楽しむことができました。
やはり、こういう読みやすくてストレートに面白い小説は私の人生に必要ですね。
なっかなか、小説って、特に大衆小説って手に取らないジャンルなんだよね。
新書とか学術書とか実用書とかそういうオカタイ系はよく読むのにね。
佳代の両親もきっとオカタイ系の本ばっか読むような人種だったんだろうな。
理想は「身内」を不幸にするよ。
追いかけてる本人は幸せでもさ。 -
両親を探しながら、移動車で調理屋をしている佳代の話。夜に読むとどうしてもお腹がすいてしまう。笑 そして、佳代の料理がどんな味なのか気になる…盛岡の麺と魚介メシが特に気になるな。シリーズで続いてるようなので、全て読破したい。
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厨房車に乗って調理屋をやりながら失踪した両親を探す佳代と、出会った人たちとの物語をまとめた連作短編集。
佳代の作る料理はおいしそうだし、周りの人たちとのふれあいもいい。ただ、両親の設定がすんなりと入ってこない。まだいるかな?こんな人。
終わりも残念。ただ、続編が刊行されていることを知っているのでまだ受け止められる。