蜩ノ記 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396338909

感想・レビュー・書評

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  • 田舎の村で家譜編纂をしながら切腹の時を待つ武士の元へ、不祥事を起こした青年侍が見張り役として遣わされる。青年侍は武士やその家族、村の人々と交流しながら武士の切腹を回避できないかと考える…

    謎解きの様な側面もありワクワクしながら読み進めて行った。
    青年侍・檀野庄三郎が戸田家の家族や村の人々と交流を深めて行く様子が微笑ましかった。
    侍たちの思惑に翻弄される百姓達が気の毒で遣りきれない気持ちになる。
    その中で源吉の腐る訳でも暴力に出る訳でも無く、理不尽さえも受け入れて自分に出来ることを考えて行く姿がとても好きだった。

  • 人間関係や役職関係、相続関係がわからなくなってしまって、途中見返せる家系図が欲しかった。
    時代劇小説のあるあるだけど役職が変わったり嫁いだり、出家したりで名前が変わっていたみたい。

    人格者には周りに人が集まるし、人の生き方にまで影響を与えることができる。嘘をついたり、私利私欲を肥えさせようとする考えだとダメだなという教訓の本。
    秋谷は侍の美学を突き通したのかもしれないけど、お寺の坊さんが言ったように事情を訴えるなど運命に抗ったり、残していく妻子に心残りを伝えたりしても良かったのではないかと思った。心が強すぎてかっこいいけど周囲は寂しい。

  • 時代物ということで、途中誰が誰だかわからなくなって戻りつつ読んだけど、後半に向けて盛り上がっていき面白かった。
    場面が動いていても常に登場人物それぞれの切なさのようなものを感じさせ続け、話のテーマや重点がブレずに一貫しているところがすごいと思った。

  • 以前、映画で見た作品。

    起伏が少なく淡々と物語は進むが
    武士とは何たるか、をよく表した作品。
    命を区切って生きることの大切さも教えられる。

    冒頭と最後も上手くつながっており
    悲しい最期なはずだが読後感はいい清々しさです。

    映画で筋を知っていても本も楽しめる作品です。

  • これぞ武士の生き様なのでしょうね。
    いや死に様でしょうか…

  • 秋谷に触れ、変わっていく庄三郎の心境は、読者に近しいので、彼を通してこの本の世界に没入させる。

  • 7月-19。4.0点。
    羽根藩シリーズ。直木賞。
    藩主の側室と江戸で一夜を過ごした咎で、藩史編纂を命じられた主人公。3ねM後に切腹が決まっている。監視役に命じられたもうひとりの主人公。

    再読。面白い。さすが直木賞。
    領民を思い、家族に対しても清廉である姿勢。
    ラストもグッときた。

  • 歴史は鑑。よきことも悪しきことも記す。藩の歴史を記し、10年後に自害することになっている武士の一家と、監視役の男。ただ役割を果たしていく一家。

  • 重かった。
    秋谷のような清廉の人は切腹で中根のような小物ばかりが人の上に立つ。秋谷を信じられなかった前藩主も人間の器が小さい。
    人の上に立つ者が人としての器が小さいというのは罪だな、と思わされる。
    秋谷の生き方は自分にもそう生きられるのかと問われているような気がする。

  • 源吉は本当に心優しくて強い子だなあ。百姓の子だけど心は武士のようだった。
    秋谷の武士としての真っ直ぐな生き方が郁太郎を成長させ、庄三郎を変えたと思う。武士としてだけでなく、人としてかっこいい人だった。こういう人が切腹しなければならないというのが武士の世なんだろうな。
    これから先、郁太郎には秋谷の名に恥じないような人生を歩んでほしいし、彼を導くのが庄三郎であってほしい。
    この続きがあるようなので是非読みたい。

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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