日本人とは何か。―神話の世界から近代まで、その行動原理を探る (NON SELECT)

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著者 : 山本七平
  • 祥伝社 (2006年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (811ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396500931

日本人とは何か。―神話の世界から近代まで、その行動原理を探る (NON SELECT)の感想・レビュー・書評

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  • この本には我々が知らない日本が書かれている。今の日本の繁栄は明治維新以降の「追いつき追い越せ」の西洋化によるものだと多くの人が思い込んでいる。開国以前の日本が思想や経済が停滞して何も生み出していなかったのかというとそれは大きな間違いだと思い知らされる。日本が、西洋の科学をスムーズに取り入れ、民主主義をすんなり取り入れ、国際経済競争の中に当然のように入っていったのは、意外にも開国以前にそういう下準備を独自に積み重ねていた結果だった。

    紀元ゼロ年当時、日本は「東アジアの最後進国」であった。中国ではそのころかなり高い水準の文明に到達していたが日本はようやく石器時代を脱したレベルだった。それが「何かの刺激でおそろしいばかりの速度で駆け出す」。このスピード感が善くも悪くも日本の特徴のように思える。

    有史スタート以来日本は中国をお手本にしてきたがそれは全く猿まねではなかった。中国のオリジナルは契機にはなっているが、法律にしろ宗教・思想にしろ工芸技術にしろ結局は日本独自のものに作り変えてしまった。

    江戸時代には結構先進的なものの基礎が築き上げられていった。商業経済の発展、貨幣経済、市場の形成、資本の蓄積などもはや中国の影響を完全に脱している。むしろ西洋的発展といってもいいのではないか。

    学問でもいろいろと特色のある学者を輩出している。浅見絅斎、鈴木正三、石田梅岩、山片蟠桃、鎌田柳泓、海保青陵、本多利明、富永仲基、横井小楠…<「ことえり」は結構賢いな。こういう人名がサクサク変換出来る。>

    開国して地動説や進化論などに接してもさして驚かなかった日本人。鎖国の中、たかだか50年で独力で数学の最先端を極めるまでに進化した日本人。マルサスの人口論が出たその年に、同じような人口論をぶっていた日本人。世界に先駆けて堂島で先物取り引きを始めていた日本人。おまえは東洋人ではなく西洋人に限りなく近い気がするぞ。

  • 一回では全てを把握しきれないので、じっくりまた読みたい。

  • 日本に関わる歴史、政治、宗教、思想などを、日本人の「くせ」をテーマにして統合した本。
    読んだ後に視野が広がった感覚がある。おすすめ。

  • 相変わらず客観視した立場で幅広い情報を元に掘り起こしてくれているので、学校ではけして教わらない日本人の特性を実感できる。
    それと共に韓国・中国・アジアそして中東に西洋の実体を比較文化論として、人類全体の関わりとして知ることができる。
    日本の最大の特徴はとだえることなく縄文の文化を今に引き継いでいることのようだ。その結果、権力闘争が起こったとしても折り合いを付けて、深追いせずに共存する道を探し出そうとする傾向を育ててきたらしい。
    伊達千広(1802~77)による「大勢三転考」を取り上げ、その客観的・即物的にあるがままを深読みするだけで、講釈を付けない。
    「骨(かばね)の代」=氏族性の時代
    「職(つかさ)の代」=律令制の時代
    「名(な)の代」=幕府制の時代として、戦国時代までを政治形態で区分している。
    この移り変わりについて歴史的必然として受け止め、それぞれが移るべき要素を自己矛盾として内包していると見たと言う。

    山本氏の日本人に対する外国人に向けた説明は、「東アジアの最も後進的な民族です。その尺度を何よるかは難しい問題です。中国人は西暦元年に代数の初歩を理解していましたし、紀元前600年にはメトン法の歴を発見していましたしヨーロッパでもBC432年発見しています。しかしそのころの日本人は文字も持たず?統一国家を形成していませんし、水稲栽培が全国に広がった状態の石器時代です。それが何かの刺激で恐ろしいばかりの速度で駆け出しただけです。」と言っていたらしい。
    一万年ほど前、新石器時代になるころアジア大陸から日本が切り離されて島になった。
    そのころ造られたのが縄文土器、この文化は千島列島から沖縄までつながっていた。
    京大の生物学者である日沼さんによれば、ATLウイルスのキャリアが東アジアで日本人だけにしか見られないことを発見した。中国にも朝鮮に白人にもない。
    さらに面白いのは沖縄九州に圧倒的に多く、続いて漁民である離島や海岸地帯に多く、アイヌに至っては沖縄よりも多いこと、稲作が早くから伝播したと思われる瀬戸内海や名古屋に少ない。縄文人の狩猟・漁労・採集・(家畜・栽培)文化と関連してくる。
    つまり縄文文化人が日本文化の基礎となっていると考えられる。
    食文化にしても中国や朝鮮と全く違う姿をしている。
    トウガラシ(チリー)は日本から朝鮮に渡ったらしいが日本には定着しなかった。
    卑弥呼を日巫女とか日御子と書くと天照とのつながりがあるのかもしれない。
    起源200年以前と言われる登呂遺跡では4キロの落差が60センチで50坪単位の水田を正確に干拓していると言う。赤米を栽培し縄文土器と木製とスキ・クワと青銅の腕輪にガラス玉が出土している。
    中国語の音が「呉音」「漢音」「唐音」など支配体制が変わるに従って読み方が違ったのに対して、日本語となった訓の発音にそのすべてが残っていると言う。
    古事記は呉音で日本書紀は漢音なのだそうだ。
    例えば経文・会釈・修行・明朝は呉音だし、経済・会社・銀行・明快は漢音。

    日本の独自性・独創性を考えるとき、かな文字の創造と文学の発達がある。
    法としては中国から律令制度を持ち込み、後に鎌倉政府が独自の貞永式目(御成敗式目)を編み出す。
    そこにはさしあたって幕府にとって有利とは思えない、デモクラシー(民主制)・一夫一妻・相続の平等・多数決・奴隷の禁止・選択の自由・などが盛り込まれていた。
    平清盛によって中国から砂金と交換で銅銭が輸入されて、貨幣経済が巷まで広まった。
    諸外国で現金さえ持っていれば旅ができる国などなかったということだから、どれだけ貨幣経済が行き渡っていたかわかる。
    そのために、無尽・酒屋土蔵・高利貸などの銀行業務がはびこり、土地と米を生活の中心にする時代から、血縁でなく契約集団の一揆となり、金融が社会を動かす要となることで、土地から離れしがらみを薄くして個人主義を広める。
    又多くの文化と政治形態を中国から輸入しながら、科挙・官官・族外結婚・一夫多妻・姓・天明思想・易姓革命・纏足・册封(さくほう)がある。
    日本独自のものとしては、かな文字・かな文学・平民の学者・女帝・幕府・武士・紋章・料理・葬儀・墓・などがある。
    日本人の自立主義・平等主義・集団主義・能力主義は足利氏の室町時代(戦国時代)に発生。

  • 山本七平的歴史探求

  • 何気ないがしかし素朴に感じる「日本人」なるもの。だけど何らかの説明を試みようとまではあまり思わなかったしちょっと怖い気もしていた。この本は私が思ってもみなかったところからの話が多くてとてもおもしろかった。日本の民主主義とか欧米との対比でしかあんまり考えたことなかったし。

  • 分厚い本でした。持ち運びに不便。ものすごい知識量です。明治維新までの話。私には知らないといけないことが多すぎる…。

  • この本には我々が知らない日本が書かれている。今の日本の繁栄は明治維新以降の「追いつき追い越せ」の西洋化によるものだと多くの人が思い込んでいる。開国以前の日本が思想や経済が停滞して何も生み出していなかったのかというとそれは大きな間違いだと思い知らされる。日本が、西洋の科学をスムーズに取り入れ、民主主義をすんなり取り入れ、国際経済競争の中に当然のように入っていったのは、意外にも開国以前にそういう下準備を独自に積み重ねていた結果だった。

    紀元ゼロ年当時、日本は「東アジアの最後進国」であった。中国ではそのころかなり高い水準の文明に到達していたが日本はようやく石器時代を脱したレベルだった。それが「何かの刺激でおそろしいばかりの速度で駆け出す」。このスピード感が善くも悪くも日本の特徴のように思える。

    有史スタート以来日本は中国をお手本にしてきたがそれは全く猿まねではなかった。中国のオリジナルは契機にはなっているが、法律にしろ宗教・思想にしろ工芸技術にしろ結局は日本独自のものに作り変えてしまった。

    江戸時代には結構先進的なものの基礎が築き上げられていった。商業経済の発展、貨幣経済、市場の形成、資本の蓄積などもはや中国の影響を完全に脱している。むしろ西洋的発展といってもいいのではないか。

    学問でもいろいろと特色のある学者を輩出している。浅見絅斎、鈴木正三、石田梅岩、山片蟠桃、鎌田柳泓、海保青陵、本多利明、富永仲基、横井小楠…<「ことえり」は結構賢いな。こういう人名がサクサク変換出来る。>

    開国して地動説や進化論などに接してもさして驚かなかった日本人。鎖国の中、たかだか50年で独力で数学の最先端を極めるまでに進化した日本人。マルサスの人口論が出たその年に、同じような人口論をぶっていた日本人。世界に先駆けて堂島で先物取り引きを始めていた日本人。おまえは東洋人ではなく西洋人に限りなく近い気がするぞ。

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日本人はなぜ、明治維新を成功させることができ、スムーズに近代化ができたのか。また戦後はなぜ、奇蹟の経済復興を遂げ、民主主義をも抵抗なく受け入れることが出来たのか-そんな素朴な疑問に答えるべく、著者は、神代から幕末までの日本人の意識と行動をたどっていくことで、その秘密を解き明かそうとする。その試みは奇しくも、著者が長年にわたって独自に築き上げてきた「日本学」の集大成の観を呈するにいたった。著者他界の二年前に上下二巻で刊行された名著を、今回一巻にまとめて再刊。

日本人とは何か。―神話の世界から近代まで、その行動原理を探る (NON SELECT)はこんな本です

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