中学生でもわかるアラブ史教科書: 日本人のための中東世界入門 (NON SELECT)

  • 祥伝社
2.94
  • (1)
  • (2)
  • (9)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 72
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396500955

作品紹介・あらすじ

オイルショックに右往左往する日本人の姿を見て、急遽執筆された『日本人のためのアラブ史・中学生教科書』を中心に、ベンダサン、山本両氏によるイスラエル・アラブ問題をやさしく解説した諸論文を収録。いずれも今回、初の単行本化。その洞察は、三十余年を経過した今日でも、少しも輝きを失っていない。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • イザヤ・ベンダサン講師のアラブ史入門の書

    おもしろかった。中東、アラブとひとくくりにしている固定観念を破壊する書。

    アラブでは、何どうなっているのかわからない。ということをわかるのが理解の出発点である。

    オスマン=トルコが現代のややこしい中東・アラブを作りだしている

    イスラームの法律は、コーランであり、ハーディスである。国ごとに近代的な法による統治という考えはない。

    イスラームにあるシャリアという法体系は、宗教の異なる、ユダヤ教徒や、キリスト教徒を支配するための、属人法

    重税という苦難から逃れるために、改宗者(マワーリー)が生まれ、サラセン文化を形成していく。ギリシャ文化などをもたらしたマワーリーは、医学、科学、哲学などのアラブ世界にもとらした学者であり、翻訳家であった。

    アラブとは日本のように一枚板の国ではなく、民族と宗教のことなる領域が集合した地域である。
    トルコ領内には、イスラム教徒に支配された、ユダヤ教徒やキリスト教徒が住んでいる。その領域は血族と宗教の異なる小さな国のようなものである。
    オスマン=トルコは、その状態をそのまま維持して統治をしていた。あとからきたイギリスも同様、その政治形態を維持しながら統治している。

    だから、イスラエルや難民を認めることは国内に点在するさまざまな民族問題を引き起こすことになることをアラブの国の統治者はおそれている。

    第1次世界大戦後にナチスは、この領域にテロを持ち込んでしまった。宗教も民族も異なる集団は交わることもなく、ひたすら抗争と殺戮をくり返している。

    イスラエルが建国された時に、真っ先に移住したのは、その周辺に住んでいたアラブのユダヤ教徒たちであった。

    目次

    日本人のための<アラブ史・中学生教科書1>

    賢者は歴史に学ぶ
    突然石油が噴出した国の行く末
    日本が産油国を援助することのジレンマ
    なぜ、日本だけが、きわだって独特の反応をしめしたか
    「イスラム史」イコール「アラブ史」にあらず
    耕地化と砂漠化の歴史の循環
    マホメット登場以前の中東情勢
    マホメットの出身地とその出自

    日本人のための<アラブ史・中学生教科書2>

    イスラム教とイスラム制の発生
    マホメットがメッカでは存在を許されなかった理由
    メディナへの聖遷
    ユダヤ人との関係
    「ジハード」の本来の意味とは
    シャリーアというイスラム法の制定
    被征服民のイスラムへの改宗が禁じられた理由
    イスラム国際化の王朝、アッバース朝の栄華
    オスマン=トルコの統治の功罪
    アラブ時代とトルコ時代の違い
    オスマン=トルコがおそれたアラブ民族主義の台頭
    イスラム制からのトルコの離脱
    アラブ世界の分裂と、原始イスラムへの回帰

    日本人のための<アラブ史・中学生教科書3>

    イスラエルに移住したユダヤ人のほとんどがアラブ系
    アラブ圏のユダヤ人ほど強硬派
    騎乗禁止という差別の意味
    キリスト教圏とイスラム教圏とのユダヤ人差別の違い
    ユダヤ教徒、キリスト教徒の位置
    マワーリーが築いたサラセン文化
    ファーティマ朝の過酷な迫害政策
    テロの横行とその背景
    ルフシチョフが殺されかけた理由
    イスラム制絶対という反動思想の誕生
    どうしてもイスラエルを認められない理由
    難民問題が解決すると困る人たち

    立花隆氏「パレスチナ報告」に答える

    日本人の極端な好奇心と無関心
    ルポルタージュという手法の効用と限界
    ベネディクト「菊と刀」的日本観の弊害
    契約相手が次々に消えてしまったユダヤ人の近代史
    「ベンダサンは難民の数を少なく見積もっている」に答える
    「アラブ人の定義と、”先住民族”の用法についての疑問」に答える
    「ベンダサンはイスラエル内での差別に触れていない」に答える
    「独立直後の移住者数についての疑問」に答える

    アラブ・イスラエル問題入門 その対立の歴史はどこからくるのか

    アラブ人が中東を支配した期間
    西欧の進出を招いたトルコ支配
    宗教の違いが民族の違い
    アラブからナチス心酔者が輩出した本当の問題

    ユダヤ人とアラブ人と日本人

    イスラエルとソ連の奇妙な仲
    日本の新聞の言語統制は自慰行為
    ユダヤ・キリスト・イスラム共通の聖所の存在
    日本人に理解できない「正典絶対主義」
    現代のアラブ世界は油上の楼閣
    サウジもイスラエルも内政は四苦八苦

    イスラム社会の基本構造 宗教と政治・経済

    中東の政治状況を解く鍵
    レバノンの近代化に見る悲劇のパターン
    国家意識に優先する宗教・宗派意識
    ミレット制の持つ問題点

    私の本棚から 片倉もとこ著 「アラビア・ノート」

    アラブの女性社会に入り込んだ稀有な調査
    アラブの衣食住と結婚問題
    アラブ人とユダヤ人との共通性・同質性

    初出一覧

    ISBN:9784396500955
    出版社:祥伝社
    判型:B6変
    ページ数:224ページ
    定価:952円(本体)
    発行年月日:2007年07月
    発売日:2007年07月25日
    国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF
    国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FB

  • これはパレスチナ、イスラエル問題というよりも、アラブの歴史について書かれている。
    マホメット登場以前からの歴史がまず書かれ、世界史の授業で受けたような話が続く。
    そして、最近のパレスチナ関係の章、アラブの生活の内情などが細かく書かれていて、なかなか知ることができない情報も載っているので面白い。
    アラブの結婚のチャプターは面白かった。

  • ・1/12 読了,これはもっと中東のこと本でも読まないとなかなか分からないな.この人の他の本も読まないと.

  • 中身云々よりも、とりあえず、中学生では恐らくわからないでしょう(笑)

    少なくとも高校世界史の基本知識が無しにはいきなり読んで理解するのは難しい。


    個人的には社会人が改めてアラブ史というか雑学を学ぶのに適した本といった感じ。
    確かにわかりやすい。


    思うに、筆者は一般人のアラブ史への識見、というか歴史感覚を買い被り過ぎているのではないだろうか。

全5件中 1 - 5件を表示

イザヤ・ベンダサンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×