日本史から見た日本人 古代編

著者 :
  • 祥伝社
4.00
  • (1)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 30
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396610180

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  語源学を展開しつつ、古代ゲルマン人と古代日本人の共通点を書いていく。西部邁や西尾幹二といった左翼全盛だったころの「右」ならではの言説が読んでいて楽しい。表紙はトリックアートの福田繁雄だ。日本の死者は死んでもなくならない。それはギリシャ神話のオルフェイスとユーリダイスの物語とよく似ている。死ぬというのは「退去」なのであり消散ではない。ドイツ語のゼーレ(霊魂)はゼー(海)の派生語であり、出雲神話にある幸魂・奇魂が海から現れるのと共通しているなどから、「死者の民主主義」こそ本当の民主主義であり、生者のみの民主主義を実行しようとしたことでどれだけ独裁が生まれたかを指摘しつつ、保守的なことこそ民主主義的であることも語られている。歴史本というより、渡部昇一本。特に、留学中に、中国人や欧米人に、日本と日本人について何か間違ったことを言われると百倍返しでボコボコに論破し絶交していくエピソードを書いているが、私は結構こういう話は好きです。
     渡部昇一と西尾と西部の留学エピソードの違いってものすごく面白い。渡部は相手をボコボコにする。西尾は欧米人はかっぱらいが多く下品で気がくるっていると批判する。西部は一周まわって欧米の庶民を賛美している(皮肉かもしれんが)。
     ページを繰る手の止まらない面白い本でした。

著者プロフィール

上智大学名誉教授。英語学、言語学専攻。1930年、山形県鶴岡市生まれ。1955年、上智大学大学院修士課程修了後、ドイツ・ミュンスター大学、イギリス・オックスフォード大学へ留学。ミュンスター大学における学位論文「英文法史」で発生期の英文法に関する研究を発表。ミュンスター大学より、1958年に哲学博士号(Dr.Phil.)、1994年に名誉哲学博士号(Dr.Phil.h.c.)を授与される。文明、歴史批評の分野でも幅広い活動を行ない、ベストセラーとなった『知的生活の技術』をはじめ、『日本そして日本人』『日本史から見た日本人』『アメリカ史の真実(監修)』など多数の著作、監修がある。2017年4月、逝去。

「2022年 『60歳からの人生を楽しむ技術〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

渡部昇一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×