齋藤孝のざっくり! 日本史

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396612979

感想・レビュー・書評

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  • 史実を、今の視点で見直す、土地の動きの1500年は、センスというか整理の視点のうまさを感じました。

  •  日本史の「すごいよポイント」をみつけ、自分のネタ帳を作り、外国人にも日本を説明できようという趣旨。

    1章 「廃藩置県」と明治維新
     「廃藩置県」は、大名の統治(地方分権)から中央集権化したが、ほとんど内戦は見られなかった。それは倒幕の先頭に立った、薩長が自ら先頭を切って殿様をやめさせたからだ。この武士自身が気づいた革命は日本人の変わり身の早さである。

    2章 「万葉仮名」と日本語
     文字はとりいれたが、中国語の構造はとりいれず。漢字のいいところだけを取りいれた抜け目のなさ。この翻訳のうまさは、「自由」等の新たな概念の取り入れにも役立ち、明治維新の近代化を推し進めた。

    3章 「大化の改新」と藤原氏
     大化の改新の実質的な立役者は中臣鎌足であったが、彼は天皇をたて、自分は摂関としてNo2に収まり実権を握る統治システムを作った。
     この名と実を分けるやりかたは日本の安定統治に役だった。

    4章 「仏教伝来」と日本人の精神
     日本人の生活の隅々に入りこんだ「禅」の精神も、もとは仏教。
     仏教の基礎は無常観であるが、現世利益の「鎮護国家」をお願いされてしまったところに、もともとの日本の宗教の緩さがある。
     仏教はリビドーを刺激しない世界でもまれな宗教。これが日本人の「腰腹文化」と結びついて、メンタルコントロールの高さを作った。 

    5章 「三世一身の法」とバブル崩壊
     人間は非常に「土地」に執着する。
     しかし、土地を所有するのは「国家」か「個人」で振り子のように揺れてきた。
     「国家」が所有すると、開墾しようやお金を稼ごう等個人のやる気がなくなる。
     「個人」が所有すると資本が集中し、地主と小作人と言う格差が生まれる。

    6章 「鎖国」とクールジャパン
     鎖国とは220年自国の文化がに詰められた状態。
     閉じ込められたリビドーがさく裂したのが浮世絵(特に春画)。

    7章「殖産興業」と日本的資本主義
     日本は資本主義で生み出された「モノ」ではなく「システム」を輸入したため成功した。渋沢栄一という天才が資本を集中し、分配させるために銀行を作り、日本的にアレンジした資本主義を根付かせた。

    8章 「占領」と戦後日本
     日露戦争で勝ってしまい勘違いした日本は、国力を顧みず戦争に突っ込んでいった。
     結果は敗戦。
     GHQは日本の降参前から、統治後のストーリーも完全に描いていた。
     その後、経済と軍の結託が、軍事力の増強であると踏んだGHQは日本が二度と「軍事化」しないように、農地と財閥を解体し、経済と軍の間を絶った。
     しかし、日本は軍がなくとも経済だけで成長した。

  • 日本史を事項の暗記ではなく、大きな流れとして捉え、8つの切り口で読み解いてみようという1冊。「廃藩置県」と明治維新、「万葉仮名」と日本語、「大化の改新」と統治システム、「仏教伝来」と日本の精神、「三世一身の法」と土地所有、「鎖国」による文化の醸成、「殖産興業」と日本に資本主義が根付いたわけ、「占領」の背後にあるアメリカの意図。どれも思い切り主張をクリアにしていて、小気味よい。歴史をいろんな切り口で考える際の、一つのモデルとして楽しめばよいと思う。

  • 全体を通して興味深く、読みやすかった。
    特に鎖国を実験に例えたとこが面白かった。
    エロもよかった。

  • 文章力と発想力がすごいなー。歴史の本読んでて笑えるってすごい。
    江戸時代の鎖国のあたりが面白かった。

  • 日本史の様々な事件を「なぜ重要なのか」「どう現在につながっていくのか」で語った一冊。まさに日本史再勉強入門書。特に、現在との連続性への視点が面白い。まさか鎖国の話でやおい同人誌に言及されるとは……

  • 大化の改新と仏教の章が特によかった。史実を日本人の性質とからめて見られるところが面白い。

  • 日本史を久しぶりに復習しようかと考えていた時に
    ふと見つけた本です☆

    本書は、テレビでも有名な明大教授の齋藤さんが、、、
    ある日本史上の出来事を切り口に、
    その出来事の歴史的な意義、その後の日本にどのような影響を
    もたらしたかが痛快に描かれています。

    本書の随所に「あっそうなんやへぇ~」
    と興味ある内容が満載 !

    日本について、、、日本人について改めて振り返るには
    すごくよぃ一冊です☆

  • さすが斎藤孝という感じの切り口の本。
    昔習って知ってはいるものの
    全く実感を持って感じられなかった事柄が
    なるほど~と自然に頭の中に入ってきます。

  • 面白かった。
    学校の詰め込みのような授業では、なんでこういう選択をしたのだろう、なんでこういう流れになるの?というところを学べず、歴史が嫌いだった身としては、高校までにこういう本ともっと出会っていたら、もう少し歴史に興味を持って勉強できたかなと・・・

    ただ、この本を通して読んだときに、”日本人のこういうところが好きなのだ”というのが、章ごとに繰り返し出てくるので、少し気を削がれました。
    もう少し色んな視点から深めてあると最後まで興味深く読めたかと思います。

    こういう、流れを汲んだ教科書ができないものでしょうか。。

著者プロフィール

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。教育学、身体論、コミュニケーション論を専門とする。2001年刊行の『声に出して読みたい日本語』が、シリーズ260万部のベストセラーとなる。その他著書に、『質問力』『段取り力』『コメント力』『齋藤孝の速読塾』『齋藤孝の企画塾』『やる気も成績も必ず上がる家庭勉強法』『恥をかかないスピーチ力』『思考を鍛えるメモ力』『超速読力』『頭がよくなる! 要約力』『新聞力』『こども「学問のすすめ」』『定義』等がある。

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