齋藤孝のざっくり! 日本史

著者 :
  • 祥伝社
3.71
  • (25)
  • (54)
  • (56)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 435
感想 : 60
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396612979

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 日本や日本人について書かれた書は、日本の「島国的」で「あいまい」な特徴を海外と比べネガティブに論じるものも多いように思う。しかし、本書で斎藤さんは「そんなことないよ」と歴史から事例を様々見せることで意外に「タフで柔軟」「呑気・陽気」な日本人像を見せてくれる。日本史をざっくり、というよりは、そんな著者の明るい日本観をメインに楽しめた。

  • 高校受験のためだけに歴史を勉強していたわたしには難しすぎました。全て忘れていて…というかもともと理解してなくて、『そういうことだったのか』ではなく『そんなことがあったんだ』のレベルで非常に恥ずかしい。評価が⭐︎3つなのはわたしの知識の無さのせいです。自国の文化や歴史について知らないことは恥ずかしい。その言葉が結局いちばん印象に残りました。子ども向けの歴史の本からやり直します。

  • 史実を、今の視点で見直す、土地の動きの1500年は、センスというか整理の視点のうまさを感じました。

  • 「ざっくり」シリーズの日本史版です。日本史を
    ざっくりと語るのは難しい気がしますが、そこは
    齋藤孝氏独自の視点で、「今の日本が形作られる
    きっかけとなった出来事」に焦点を当てています。

    廃藩置県、万葉仮名と日本語、大化の改新、仏教
    伝来、三世一身の法、鎖国、殖産興業、そして
    GHQによる占領、と時代もバラバラであるが、
    これらが今の日本の社会や文化に与えた影響は
    測り知れないと著者は言います。

    何と平安時代の三世一身の法は20世紀のバブル
    経済までつながるとか。

    そんな独特の歴史観が学べる一冊です。

  •  日本史の「すごいよポイント」をみつけ、自分のネタ帳を作り、外国人にも日本を説明できようという趣旨。

    1章 「廃藩置県」と明治維新
     「廃藩置県」は、大名の統治(地方分権)から中央集権化したが、ほとんど内戦は見られなかった。それは倒幕の先頭に立った、薩長が自ら先頭を切って殿様をやめさせたからだ。この武士自身が気づいた革命は日本人の変わり身の早さである。

    2章 「万葉仮名」と日本語
     文字はとりいれたが、中国語の構造はとりいれず。漢字のいいところだけを取りいれた抜け目のなさ。この翻訳のうまさは、「自由」等の新たな概念の取り入れにも役立ち、明治維新の近代化を推し進めた。

    3章 「大化の改新」と藤原氏
     大化の改新の実質的な立役者は中臣鎌足であったが、彼は天皇をたて、自分は摂関としてNo2に収まり実権を握る統治システムを作った。
     この名と実を分けるやりかたは日本の安定統治に役だった。

    4章 「仏教伝来」と日本人の精神
     日本人の生活の隅々に入りこんだ「禅」の精神も、もとは仏教。
     仏教の基礎は無常観であるが、現世利益の「鎮護国家」をお願いされてしまったところに、もともとの日本の宗教の緩さがある。
     仏教はリビドーを刺激しない世界でもまれな宗教。これが日本人の「腰腹文化」と結びついて、メンタルコントロールの高さを作った。 

    5章 「三世一身の法」とバブル崩壊
     人間は非常に「土地」に執着する。
     しかし、土地を所有するのは「国家」か「個人」で振り子のように揺れてきた。
     「国家」が所有すると、開墾しようやお金を稼ごう等個人のやる気がなくなる。
     「個人」が所有すると資本が集中し、地主と小作人と言う格差が生まれる。

    6章 「鎖国」とクールジャパン
     鎖国とは220年自国の文化がに詰められた状態。
     閉じ込められたリビドーがさく裂したのが浮世絵(特に春画)。

    7章「殖産興業」と日本的資本主義
     日本は資本主義で生み出された「モノ」ではなく「システム」を輸入したため成功した。渋沢栄一という天才が資本を集中し、分配させるために銀行を作り、日本的にアレンジした資本主義を根付かせた。

    8章 「占領」と戦後日本
     日露戦争で勝ってしまい勘違いした日本は、国力を顧みず戦争に突っ込んでいった。
     結果は敗戦。
     GHQは日本の降参前から、統治後のストーリーも完全に描いていた。
     その後、経済と軍の結託が、軍事力の増強であると踏んだGHQは日本が二度と「軍事化」しないように、農地と財閥を解体し、経済と軍の間を絶った。
     しかし、日本は軍がなくとも経済だけで成長した。

  • 後半になるにつれ息切れが目立つ。あと著者の東京へのコンプレックスとかがにおいすぎ。
    しかしながら「戦後日本」に対する記述は一読の価値あり。

  • 日本史を事項の暗記ではなく、大きな流れとして捉え、8つの切り口で読み解いてみようという1冊。「廃藩置県」と明治維新、「万葉仮名」と日本語、「大化の改新」と統治システム、「仏教伝来」と日本の精神、「三世一身の法」と土地所有、「鎖国」による文化の醸成、「殖産興業」と日本に資本主義が根付いたわけ、「占領」の背後にあるアメリカの意図。どれも思い切り主張をクリアにしていて、小気味よい。歴史をいろんな切り口で考える際の、一つのモデルとして楽しめばよいと思う。

  • すいすい読めて面白い。

  • なるほどー。日本史って面白いんだ。知ってたらもう少し学校の成績よかったかも。

  • 同じシリーズの「世界史」と「美術史」が面白かったので、日本史も読んでみた。8つの章から日本の歴史を読み解いていく。本当にざっくりなのに、大化の改新から第二次世界大戦後までをイメージできて面白かった。

    特に第2章の翻訳語の話と、第6章の鎖国の話が興味深い。「国家」「幸福」「権利」など江戸時代には無かった概念を、翻訳して漢字をあて国民に浸透させたのは偉業だ。

    鎖国とは「1つの国民を島国に閉じ込めて、220年間コトコト煮込んだらどうなるか」という壮大な実験。熟成の結果、オリジナル色の強い江戸文化は生まれた。現代でもオタク色の濃いアニメやゲームなどがクールジャパンとして海外から評価されている。

    齋藤氏が提唱する「一人鎖国」を実践してみたい。

全60件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。教育学、身体論、コミュニケーション論を専門とする。2001年刊行の『声に出して読みたい日本語』が、シリーズ260万部のベストセラーとなる。その他著書に、『質問力』『段取り力』『コメント力』『齋藤孝の速読塾』『齋藤孝の企画塾』『やる気も成績も必ず上がる家庭勉強法』『恥をかかないスピーチ力』『思考を鍛えるメモ力』『超速読力』『頭がよくなる! 要約力』『新聞力』『こども「学問のすすめ」』『定義』等がある。

齋藤孝の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
夏川 草介
三浦 しをん
万城目 学
村上 春樹
村上 春樹
J・モーティマー...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×