謹訳 源氏物語 七

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著者 : 林望
  • 祥伝社 (2011年12月3日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396614119

謹訳 源氏物語 七の感想・レビュー・書評

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  • 柏木・横笛・鈴虫・夕霧・御法・幻。
    柏木は苦悩の末ついに亡くなり、女三宮は若くして出家してしまう。因果応報とはいえ、不義の子と知りつつきちんと育てるあたりは、源氏は懐が広いと思う。
    真面目一辺倒だった夕霧は恋に狂い、落葉の宮に疎まれているのに夫婦となる。正妻は怒らせるはいいところなし。
    そしてついに紫上が亡くなり、源氏は呆然自失のまま1年を過ごし出家の本懐をとげ、長かった光源氏の一代記はここで終了。今となっては雨夜の品定めが懐かしい。

  • 源氏48歳から52歳まで。

    近しい人との別れのシーンが多く、終始悲しげなトーンで進んでいく。

    そのせいか、源氏は出家する気持ちになったり、留まってみたりと相当に苦しみ悩んでいることが、よくわかる。

    紫上との別れが書かれている御法と幻は秀逸!
    いよいよ源氏が出家に向かって行動を起こし始めた!
    次巻に続く。

  • 正妻女三の宮には柏木の子供が生まれ、最愛の紫の上には失意を与えたまま先立たれます。後悔する源氏ですが、もはや生きがいと言えるものはありません。前半の光に対して、ここは陰の部分です。富と名誉は極めた光源氏ですが、晩年は短調の調べです。「源氏」もようやく7合目まで来ましたが、これまでの登場人物とかメモリーが不安定になってますね。

  • 柏木の悔恨。
    夕霧と落葉の宮の不幸な結婚。
    紫の上の死。

    主要な登場人物が舞台を去り始める物悲しい展開。

    好き放題にやらかした親の源氏に比べ、誠実な紳士として身を慎んできた夕霧が思い切って浮気したが大失敗。真面目な優等生より身勝手なDQNの方がモテる鉄則は千年前から変わらないようだ(夕霧もイケメン設定なのでこの場合ルックスの優劣は関係なし)。

    最愛の妻、紫の上を喪ってからの源氏の落ち込み度が激しい。何もかも虚しくなって出家しようと考えるも、「そんな心構えではダメだ」と自制したり、「このタイミングで出家したら世間にあれこれ言われる」と気にしたり、それまでの万能設定から人間的な弱さが見えてくるところがおかしい。

    大切に取っておいた手紙を燃やすシーンの哀しさは秀逸。

    手紙を見て亡き人を思い出して泣き、想い出を捨てることでもう戻らないことを思い知って泣き、今度は想い出を捨ててしまったことを後悔して泣くのだろう。

  • 久々源氏です。七巻は柏木、横笛、鈴虫、夕霧、御法、幻が収録されていました。

    父である源氏ならもっとスマートにコトが進んでいたであろう夕霧と落葉の宮の結婚話がひどすぎて、苦笑しまくりでした・・・

    当事者のお二人はもちろん、落葉の宮の母も見栄とプライドがすごくって、皆さん揃って見苦しい。誰も彼も自分第一外聞第一なんですよね。
    これが当時の常識なんでしょうけどなんて生きづらい世の中かと・・・お気の毒です。

    でも、皇女としては再婚は不名誉なことなのかもしれないけど、結果的には勢いのある家と結びついていたほうが安泰でしょう、落ちぶれて忘れられて苦労している皇族なんてまわりにたくさんいるでしょうに、そういう打算のできないところはやっぱり皇女だからか。でも、近江の君や五節ちゃんなら妥協する?か?うーん、キライなら誰もしないか…
    などと下世話なことを考えちゃいました。
    まったく夕霧めー、手近なところで妥協するくせに(雲居も藤典侍も手近だよね)あっ、してるから恋愛に疎いのか。でも、よりによって未亡人の皇女を相手にしなくても…でも、考えようによっては親友の妻も手近だね。
    とにかくこの章は皆さん未熟で美しくない。

    見苦しい夕霧の巻だけでなく、柏木や紫の上も亡くなり、源氏も出家の予感で、この7巻はどこもかしこも無常感たっぷりで気が滅入ります。

    とはいえとうとうここまで来ました。
    残すは宇治十帖のみ。 。この分じゃ私、宇治の三人姫にもイライラしそうです。

  • 林望訳「謹訳源氏物語」を第七巻まで読む。
      だがしかし、あろうことかこの源氏本、図書館が蔵書として持っているのはこの七巻までというお粗末さ。ここまで所蔵していながら、かように中途半端に打ち切りとはいかな所業であろう。・・・・・・などと憤慨していたら、あにはからんや、第八巻以降はまだ発行されていないのだとか。な~んだ、せっかく一気読みしようと思っていたのにと、さても口惜しいことよ。この調子では、第十巻にたどり着くのは二年後くらいになるのかも知れぬなあ・・・・。物事には潮時というものがあるというに。

      さて、この第七巻の最後は「幻」の帖。主人公源氏が齢50を過ぎ、最愛の妻の紫上に先立たれて虚しく出家しようと準備するところで終わったわけだが、色好みだった若い頃と違って人生の黄昏にきた男の哀切がひしひしと描かれていると云えようか。今回読むまで誤解していたのが、源氏物語というのは色恋話が中心の物語だとばかり思っていたが、なんのなんのとんでもない。確かにそのような部分もかなり占めてはいるものの、つまるところはこの世の儚さ虚しさ、これに尽きると云えそうだ。その儚い人生の中で繰り広げられる親と子の情愛、夫婦の情愛が主題だと云っていいのだろう。とりわけ源氏と紫上との深い信頼に結ばれた夫婦愛には感嘆させられるし紫上に先立たれ放心してしまった源氏の描写には心を打たれずにはいられない。あのような一夫多妻の世の中にあっての情愛の深さ、果たして現代のこの時代にもありうるものかとすら思える。 
      さらには親子の情愛にも涙を誘われずにはいられない。訳者の林望さんも同じく云っているが、明石の入道が京に上る娘明石の君と孫と永久の別れを告げる場面、とくとくと自分の心情を話すところでは、同じく娘と孫を持つ立場としても本当に泣かされる。政略のために娘を利用するということが普通の時代にありながら、やはり親子の情愛というものには人間としての普遍のものがあるということだ。
      やや過剰な表現が駆使されてはいるものの、そこの親子や夫婦の微妙な機微が余すところなく文字にされていて、日本人として読むにまったく違和感はない。万葉集や古今和歌集など、古歌に歌われた心持ちともまったく違いはないということだ。げにもげにも素晴らしく、誇りえる日本文学だと云わなければなるまい。
      それにしても、源氏物語が書かれた時代はまだ武士が勃興する100年も前のこと。殿上人たちの世界という特殊な世界ではあろうが、高貴な女は御簾の中から話しかけるだけで他の男には顔を見せないのが普通とされたり、何かと云えば歌の交換をしたり、また男が人前でもさめざめと泣いたりしているが、本当に本当だったの? と思ってしまう。やはり想像を絶する世界の話とは云えそうだ。

  • 夕霧と落ち葉の宮、紫の上の死、源氏の出家という源氏世代の終わり。

    それにしても紫式部はすごい。限られた世界の中で、描かれる人間模様。男性の身勝手さや、男女問わずに評判を気にするところは、現代に通じるのでは。でも、男性視点ではどうなんでしょう?

    こんな風に感じられる林望先生の訳が素晴らしいせいだけど。

    次巻が待ち遠しい!

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謹訳 源氏物語 七の作品紹介

源氏の正室女三の宮は柏木との間に不義の子を生む。おさえきれぬ怒りとともに、人生の因果に愕然とする源氏。そして、最愛の紫上に死が訪れる-。

謹訳 源氏物語 七はこんな本です

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