H.G.ウェルズの予言された未来の記録

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396614430

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  • ウェルズが残した作品『来るべきものたちの姿』をめぐり、ウェルズの前半生を振り返りながら、筆者がどうやって原書にたどりつき、それを訳すことに年数をかけてきたかが描かれる。
    その原書は既に他人に訳されており、吉岡義二訳の『世界はこうなる』というタイトルで読めるようだ。
    キーワードの『アーモンドの花が咲く』という四行詩の謎について、筆者が四苦八苦する様にほとんどのページが割かれているのでなかなか核心にたどりつかないが、すらすら読めるので苦にはならない。

    この原書をめぐり、訳すことに対して諜報部員から探りが入ったり、アーモンド~を訳すことに対して圧力がかかったとのこと。

    ウェルズの描いた未来予想図では、2059年に世界政府が誕生する。著者は、そこに登場する日本人の青年が残したダイニングメッセージ「アーモンドの花が咲く」というキーワードは、旧約聖書の「民数記(ナンバーズ)」の一節で、神を信じられなくなったユダヤ人たちに対しての奇蹟として、モーセの兄アーロンのアーモンドの木の杖に花が咲いたということになぞらえ、世界政府が樹立しようとも、日本はアーロンが導いたユダヤ人と同じように発展していくと読み解く。
    そしてPという新しい思想をもったニュージェネレーションが台頭し、日本を牽引してくれるとのこと。

    この解釈の批判はさておき、ウェルズの先見の明には舌を巻く。2059年、世界がどうなっているのか、見届けたい。

  • H.G.ウェルズ自身が作家として異例の下層階級出身で、労働者階級に深い同情を持ち社会主義者だったが、『タイムマシン』で階級闘争の行き着く果の人類文明の破綻(労働者階級への恐怖の表われ)、第二作『宇宙戦争(原題は«世界の間の戦い»)』で未来の戦争における毒ガスで大虐殺を予測したのは予言ではなく文中にあるように「タスマニア人に英国がしたこと」の再現(植民地支配の破綻)を告発?
    『ノストラダムス…』を書いたとき「まともな史料を持たず、伝記的描写をでっち上げた(史実と大違い)」と同じく、ウェルズの詳しい伝記も読んでないようだ(日本を軽視し絶滅するというポジションで、著者の結論と真逆)

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