仕事に効く 教養としての「世界史」

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著者 : 出口治明
  • 祥伝社 (2014年2月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396614836

仕事に効く 教養としての「世界史」の感想・レビュー・書評

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  •  読書仲間の間で話題であった一冊、増税前の駆け込みで購入しました。何気に出口さんの著作はお初だったりします、ふむふむ。

     “世界のこと、過去のこと、今日のことなど、
      いろいろなことを知れば、
      一つの地域や国の歴史に引っ張られずに、
      ものの見方や考え方が多面的になります。”

     “教養”というにはちょっとばっかりフワっとしてるかなと感じました、、というか、ここでのネタはそのままでは使えないなぁと、オブラートに包まないと相手を怒らせそうです。

     “アメリカは、世界で一番ユニークな人工国家”

     それはさておき、アメリカが壮大な実験国家であることや、複数国家を絡めて横断的に欧州を見ようとしている点など、歴史を俯瞰する点においての興味深い視座をいくつかいただきました。欲を言えば、欧州における“ウェストファリア前後”での、それぞれの“国家観”の差異についても伺ってみたかったかな、とも。

     ただ、ご自身でも「ものの見方や考え方を多面的に」と仰っているように、ここに描かれている内容を“鵜呑みにする”のは、ちょっと危険ですかね。そういった意味では、こちらを単体で読むのではなく、他の類書と併せて読む方が腹落ちもいいかなと感じます。

     個人的に一つ気になったのは“歴史の正しい姿はやはり一つ”との言い回し。こちら、実際にどうお考えかはともかく、言葉をそのまま受け取ってしまうと、なんとも危ういなと。「歴史認識を一つに束ねる」というのはどうにも違和感が残ります、これは転じて「価値観の多様性」を否定することにもつながりますから。

     他の部分で「考え方を多面的に」と述べてるのと矛盾してるってのもありますが、この辺りはいわゆる“団塊の世代”らしい共産主義的な理念だけの歴史観かな、と。ついでに言うと、日本というか、天皇家に対して否定的なのも個人的には嗜好があわないなぁ、なんて風にも感じました。

     そんな前提があるからか、“日本文明の背骨としての天皇家”を抜きにして、大陸や半島との同質性に言及しているのが、なんともおさまりが悪いです。まぁ、中華圏の文明に心酔しているであろうことは伝わってきましたが、、なんというか、日本文明は彼らの劣化版でしかないと、言いきってますしね。

     昔から「中国5,000年の歴史」なんて言い回しはありますが、現実には王朝は百年前後で都度都度刷新されてますし、支配階級も複数の民族が入れ替わりながら“国体”がコロコロと変わっているのは、出口さんご自身が本書の中で述べられているコトでもあります。

     そういった点で、個人的には大陸に“歴史と文明の連続性”は見いだしていないのですが、それでもあえて“地域としての連続性”を見いだすのであれば、、ヨーロッパや中東圏についても同様に“地域としての連続性”を前提として語るべきと思いますが、なぜか、そちらは切り離したものとして扱われています。

     この辺りの基準が二重になっているのが、個人的には分かりにくい部分だったかな、と。

     ちなみに日本では、考古学的に見ても1,500年以上は“天皇家”という一つの王朝が続いています。正史としては神武天皇の即位から数えて今年で2,674年ですかね。ギネスブックにも載っているのにはビックリですが。

     他方、大陸の今の王朝「共産中国」は成立から70年程度、民族としては漢族になるのでしょうが、その前の「清」は満州族による王朝でした。その前の「明」は漢族でしたが、その一つ前の「元」は蒙古族と、散在する各民族が中原をめぐって獲ったり獲られたりの繰り返しかな、と。

     といっても、これは特に珍しいことでは無く、欧州を見ても、民族単位で各国の“国体”とその“支配階級”はその時代時代で変わっています。そういった意味では、日本の在り様の方が世界史的には“特異”で前例のない存在なのかもしれません、、閑話休題。

     さて、個人的に一つ伺ってみたいと思ったのは、トインビーの「12-3歳までに神話(歴史)を学ばなかった民族は例外なく滅びている」との言葉、これに対して日本は今後どう向き合っていくべきでしょうか、との視座。

     ん、歴史は事実との対話に過ぎず、そこから派生する“真実”はそれこそ人の数だけ存在する、そんな事をあらためて実感した一冊でした。

  • 語呂合わせで年号を覚えて入試の対策をする。恥ずかしながら私にとって歴史はその程度の意味しかなかった。歴史に対する私の姿勢に鉄槌を浴びせる一冊。
    不思議と、恥ずかしいという気持ちとともに強く後悔する気持ちが湧いてきた。次元の低い語呂合わせのネタにされている歴史の裏で躍動する人間の活躍を完全に見過ごしていた。純粋に面白い。数千年という長い物差しで、今の日本、自分のおかれている状況を見つめ直すと、これまでと全く違った心持ちになる。日々感じている不安感も和らぐ気がする。
    新しい喜びに目を向けさせてくれた出口さんに感謝。

  • 冒頭に紹介されるキッシンジャーの言葉
    「人間はワインと同じだ。

     どんな人も自分の生まれた場所を大事に思っているし、故郷を良い所だと思っている。……人間も、このワインと同じで生まれ育った地域の気候や歴史の産物なんだ。これが人間の本性なんだ。

     だから地理や歴史を勉強しなさい。世界の人が住んでいる土地と彼等のご先祖についてちゃんと勉強しなさい。勉強した上で、自分の足で歩いて回って人々と触れ合って、初めて世界の人の事が良く分かる」

    この前置きで
    すんなりと本のなかに入っていけた。
    そういう本。

  • 衝動的に本を読み、感想を書かずに放置、結局内容忘れて読み直し、みたいな展開を無限ループでこなす毎日です。

    日本を知りたければ、世界の歴史を知るべきだ。
    昨今、ビジネスの世界で求められることが多いのは、世界の情勢もさることながら、我々が住んでいる『日本』そのものに関する知識である。
    しかしながら、いわゆる日本史に囚われた知識では、「外から見た日本の視点」は手に入らない。
    今、教養を身に着けるため真に学ぶべきは、世界史である。

    著者は、生命保険会社のCEOを務める傍ら、世界中の1,000を超える都市を訪れた経験を生かし、京都大学で歴史に関する特別講義を受け持っていた方だそうで。
    義務教育でありがちな、○○年に△△があった、◇◇が××を行った、という「覚えるための歴史」ではなく、「ストーリーとしての歴史」を意識した構成になっており、非常に読みやすい本になっています。
    触れられているのは、中国における王朝の変遷、キリスト教のルーツ、ローマの皇帝と教皇etc...。
    今まで名前くらいしか頭に留まらなかった歴史上の人物が、キャラクターを伴い紙面上で踊りだすようなおもしろさです。
    特に、長きに亘って日本の文化に影響を与え続けてきた中国の変遷は、中国大陸だけでなく、中央アジアやヨーロッパまで含めた俯瞰的な視点で見つめることによって、新鮮なものになっています。
    教養書籍としてだけでなく、読み物として純粋におもしろく読める本でした。

  • 現役の会社経営者が、1冊の参考文献もなしに書いた本だなんて信じられないほどの造詣の深さを感じました。とんでもない歴史オタクです。あまりの情報量について行けきれなかった。東洋の繁栄がアヘン戦争前後で西洋に取って代わられたというくだりが興味深かった。GDPを基準にその推移を計測していて、中国やインドが超大国から一気に途上国レベルに落ち込んでしまっていて、反対に英国を始めとする西洋諸国が躍進していたのには驚いた。あと旧約聖書が紀元前4世紀頃の書物だとは知らなかった。キリストの生誕よりもだいぶ前の書物だったとは。

  • 学生時代に世界史をほとんど学んでこなかった私には、結構読むのに苦労しました。
    もっとも、アヘン戦争とアメリカ及びフランスという国についての見方は非常に興味深かったです。
    アメリカは歴史が浅い国であるということは聞いたことがありましたが、そういうことかと腑に落ちました。

    本書は、やはり世界史の一通りの基礎的な知識を持った上で読む方が断然良いことを痛感しました。
    本書でもちらっと批判されているように、学校で学ぶ世界史は無味乾燥で面白味はないかもしれませんが、全ての基礎であることに違いはありません。
    この基礎があるからこそ、色々な見方もできるようになるのだと思います。

    今年は、私も「漫画版 世界の歴史」を読んで、大きな流れを掴もうと決意しました。

  • 「この本は、僕が半世紀の間に、見たり聞いたり読んだりして、自分で咀嚼して腹落ちしたことをいくつかとりまとめたものです。この本の準備のために読んだ本は一冊もありません。それが参考文献を特に明示しなかった理由です。」(「おわりに」より)
    学者でもないのにこの本のレベルって、凄くないすか。

  • 一回読んだだけでは理解しきれない。世界史をもう一度勉強しなおし、何度も読む本。世界の見方が変わる。

  • 全11章。終章を除きいずれの章も独立しており、興味のある章を拾い読みすることもできる(各章の題は最後に記載したとおり)。前から順に読むと5章と6章は重複部分が多く、ややくどい。ところどころ著者のこだわりは感じる(コロンブスをコロンと表記。その理由は本書に記載されている。)が、全般に平易に書かれており読みやすい。
    表題のとおり『仕事に効く』かどうかは、どんな仕事をしているかにもよる。大抵の人の仕事には無関係と思われるが、雑談ネタとしては面白い。著者は歴史の専門家ではないのでどこまで正確かはよくわからない。著者自身が「勘違いや誤解が多々あると思います。」としており、鵜呑みにすると痛い目に会うかもしれないので、そのつもりで読む必要がある。
    第1章 世界史から日本史だけを切り出せるだろうか-ペリーが日本に来た本当の目的は何だろうか
    第2章 歴史は、なぜ中国で発達したのか-始皇帝が完成させた文書行政、孟子の革命思想
    第3章 神は、なぜ生まれたのか。なぜ宗教はできたのか-キリスト教と仏教はいかにして誕生したのか
    第4章 中国を理解する四つの鍵-難解で大きな隣国を誤解なく知るために
    第5章 キリスト教とローマ教会、ローマ教皇について-成り立ちと特徴を考えるとヨーロッパが見えてくる
    第6章 ドイツ、フランス、イングランド-三国は一緒に考えるとよくわかる
    第7章 交易の重要性-地中海、ロンドン、ハンザ同盟、天才クビライ
    第8章 中央ユーラシアを駆け抜けたトゥルクマン-ヨーロッパが生まれる前の大活劇
    第9章 アメリカとフランスの特異性-人口国家と保守と革新
    第10章 アヘン戦争-東洋の没落と西洋の勃興の分水嶺
    終章 世界史の視点から日本を眺めてみよう

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    世界史

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