世界史で学べ!地政学

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396615277

作品紹介・あらすじ

新聞では分からない世界の歴史と国際情勢が、地政学の視点ならスッキリと見えてくる!
本書は、今日の世界情勢を地政学的な見方で読み解き、それを世界史の流れを用いて解説してゆくものです。
地政学とは、地理的条件が政治に与える影響を説明する学問。もともとイギリス、ドイツ、アメリカなどで国家戦略に科学的根拠と正当性を与えることを目的として発展してきました。
たとえば、アメリカは「島」、ヨーロッパは「半島」だと思って地図を見てください。
こんな視点で世界を見渡したら、いつもとは違ったように見えませんか? こうした見方で、本書は展開していきます。
本書では世界を9つの地域に分けて解説しています。
現代の覇権国アメリカは、この先衰退していくのか、そしてそれはどのように? EU、ロシア、イラン、インド、中国などの地域覇権国家はどのようにして今のような力を持ったのか、そしてこの先どうなっていくのか、など、わかりやすく解説します。
もちろんISやボコ・ハラムをはじめとする中東諸国のテロ問題から、ギリシア危機の背景など、現代の国際情勢の喫緊の課題も、読み解いていきます。
図版をふんだんに使って、視覚的にも見やすく展開します。ビジネスパーソンならずとも知っておきたい、現代の世界情勢がよくわかる、必読の書です。

感想・レビュー・書評

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  • 高校時代、世界史を選択していたが、この本のようなダイナミズムや大きな世界の枠組みを知ることはできなかった。
    隣国中国や朝鮮半島、ロシアの動きを知る上で、世界史を教養として学び直す必要性を痛感。
    本書を読めば、平和ボケ解消になるだろう。

  • 大変勉強になりました。

  • アメリカに渡ってきた第一のグループは
    ピューリタン(清教徒)
    イギリスのカルヴァン派がピューリタン革命を起こしらイギリスから追われたため、アメリカに

    ピューリタンとはキリスト教の原理主義。
    キリスト教を新約聖書に書いてある本来の姿に戻せ!
    ローマ教皇が神の代理人じゃないし、聖母マリアを祀るな!

    ロシアのウズベキスタン併合

    ロシアとの第二次アフガニスタン戦争でイギリスが、アフガニスタンを保護国とした。

    インドからムスリム連盟が政権を握った諸州をインドから分離し、パキスタンができた。

    アメリカの同盟国パキスタン。
    なぜならパキスタンはアフガニスタンと国境を接し、ソ連の南下ルートに存在するから。

    ベンガル州(東パキスタン)が1970年代に分離独立運動を起こし、インドの支援で独立を達成した。
    今の「バングラデシュ」

    アフガニスタン内戦1970年代

    親ソ派のクーデター→社会主義化の強行、イスラム教徒の弾圧→ソ連軍の侵攻→アルカイダ創設(サウジアラビアのビンラディンたち)→難民のためのイスラム神学校のタリバン(生徒たち)の政権樹立
    イスラム世界初の核保有国


    ナチスに影響を与えた、
    カールハウスホーファーの主張

    ①「ドイツの主敵は、英、仏である。ソ連とは東欧の分割で妥協し、戦わない」

    ②世界を4つの地域に分割し、米国、ドイツ、ソ連、日本で支配する

    ・米国→南北アメリカを支配
    ・ドイツ→欧州と中東、アフリカを支配
    ・ソ連→中央アジアとインドを支配
    ・日本→東アジアと太平洋を支配

    中東をめぐり
    ロシア+フランス+イギリスの三国協商
          VS
    オスマン帝国+ドイツ

    イギリスがアラブに独立の指南
    それにより
    サイクス・ピコ協定が結ばれる。
    フランス協力圏のシリア
    イギリス協力圏のイラク
    民族、宗教を無視した国境線

    パレスチナは国際管理となり、ユダヤ人国家の建設予定地となる。
    ロスチャイルド家とのバルフォア宣言

    スエズ戦争(1956)
    英・仏が支援するイスラエルと、ソ連が支援するエジプトとの東西代理戦争

    イラン革命(1979)
    石油利権を王族と外資に握られ、貧富の格差拡大
    イスラム回帰を目指した、シーア派の法学者ホメイニを中心に国王への抗議活動
    その余波によってアフガニスタン内戦
    ソ連軍のアフガニスタン侵攻
    イラク国内のシーア派の分離運動の鎮圧のための(イラン・イラク戦争)

    イラン革命の余波によるアフガニスタン侵攻はソ連の崩壊を早め、サダムの暴走は湾岸戦争とイラク戦争を引き起こし、アルカイダの台頭はアメリカの一極支配を脅かすようになった。

    シオニズム運動
    「ヨーロッパに安住の地はない。ユダヤ人は約束の地シオン(聖地エルサレム)に、祖国を再建すべきだ」

  • 歴史というものを、主義や理念に基づく人間の行動の履歴であるという理想主義的な考えに対し、それは単なる国家という枠組み同志が、個々の地理的な条件に対し、どのように国益を維持しようとしてきたかのシンプルな結果である、という現実主義的な研究「地政学」によってとらえ直してみたのが本書。人がその配置された場所や周囲や隣人たちのメンツによって、実は本人の意思以上にその考えや行動が支配されているということは、学校でのクラス内の席替え次第で、学校生活が大きく左右される感覚に近いかも。人はその人の考えに基づいた行動をする、ということの否定ではなく、その考えのもとになっていることに、その人の配置されている場所の条件が大きく影響している、という考えだ。地理的条件に縛られたものとしての人間の行動を振り返ることで、人間の積み重ねてきた歴史というものの姿のある意味本質が見えてきて、いままでの学校で教わってきた歴史とは違うスッキリと納得がいく部分が多々あり、「地政学で学べ!世界史」というタイトルでもいいんじゃないかと思うくらい、世界史の概説本としてもおすすめ。

  • 「地政学」とはなんだ?

    簡潔に言うと、地理で考える政治学です。
    もーね、すごくわかりやすいんですよ。

    本書を読むことで
    日米中韓米の関係
    ギリシャの経済問題になぜロシアが絡んでくるのか
    クリミア半島問題
    国連って西欧の都合のいいことしかやらんな

    などなど、わかってきますし、なぜ集団的自衛権を急いで通さなければならないのかもわかります。

    戦争はなくならない。残念だけれども。
    だれかが昔、冷戦が終わったら戦争はなくなる、と言った。でも依然としてつづいている。
    なぜなくならないのか。それは地球にある資源が無限じゃないから。あの国のあれがほしい、と今のこの瞬間にも企てている。

    日本は幸運にも島国で隣接している国から唐突に攻め込まれることはないから危機意識が薄いが、多くの陸伝いの国々は他国からの侵略に常に備えなければならないし、隙を突いて奪ってやろうとも考えている。自国の利のために。
    自国の利益のためには昨日の敵と手を結ぶし、昨日の友を敵とする。その頭の中には、日本人らしい恩義なんて感情はないんだ。

    自分の世界旅行の前に読んでいたら、もっと現地でより多くのことを考えることができたのではないかな〜と少し悔しい。
    だから、世界を旅しようとしている人、した人たちにはぜひ読んでほしい。あー、旅がたのしかった〜だけで終わらせないように。

  • 世界史と地政学を、絡めてとても詳しく書かれていて面白かった。
    著者の違う本も読んでみたいと思う。

  • 世界史の知識が乏しく、わからない単語が多かったが楽しく読めた。

  • 武蔵野大学図書館OPACへ⇒https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000236881

  • 地政学など最も関心の遠い分野だったが、ロシアのウクライナ侵攻を受けて読んだ。歴史的経緯を踏まえて説明されているので、わかりやすい。

    地政学は帝国主義の論理で、国家と国家が国益をかけて衝突するとき、地理的条件がどのように影響するかを論ずる。

    アメリカに渡ってきたのは2種類の人々。第1のグループであるアメリカのキリスト教原理主義は、イギリスのカルヴァン派だったピューリタンを祖とし、今でも共和党の強固な支持基盤。この宗教的情熱を「自由と民主主義」のイデオロギーに転換して用いることがある。第2のグループは、土地を求めて渡ってきた貧しい農民で、開拓農民となり、政府からの保護をあてにせず、自らの命も自分で守る人々(リバタリアン)。

    日本が日清戦争に勝利すると、東洋と西洋の文明の衝突を予見したマハンの進言を受けて、セオドア・ルーズベルトはハワイを併合し、フィリピン、グアムを領有するスペインとの戦争を起こし、パナマ運河を建設した。

    韓国は、1997年のアジア通貨危機後、IMFが融資の条件とした構造改革を受け入れた。外資が銀行や企業を買収し、不採算分野を切り捨てて経営を健全化した結果、サムスン電機や現代自動車などが台頭した一方、失業者が増大して貧富の格差が拡大した。

    韓国には深刻な地域対立がある。朴正煕、全斗煥、盧泰愚の軍人大統領は、古代の新羅王国の地域である慶尚道の出身。金大中などの民主化運動家は、古代百済王国の地域である全羅道の出身で、北朝鮮に対しては太陽政策をとった。朝鮮戦争の直前に済州島で北朝鮮の支持者が蜂起すると、治安部隊によって虐殺され、多くの島民が日本に脱出した(今も大阪を中心に居住)。

    インドとパキスタンが分離独立すると、アメリカはソ連の南下ルートにあるアフガニスタンと国境を接するパキスタンと同盟を結んだ。インドは中国と国境紛争を抱えるため、残った大国であるソ連と軍事同盟を結んだ。イラン革命の影響を受けて、アフガニスタンのイスラムゲリラであるムジャヒディンは、無神論の社会主義政権に対するジハードを宣言した。ソ連は、ウズベキスタンやトルクメニスタンの独立運動を懸念してアフガニスタンに侵攻したが、逆に各国の過激イスラム教徒が義勇兵としてアフガニスタンに終結する結果を招き、アルカイダも生まれた。

    9世紀にノヴゴロド国を建てたノルマン人リューリクの息子イーゴリは、キエフに都を移した(キエフ王国)。キエフはビザンツ帝国に穀物やスラブ人奴隷を輸出し、工業製品を輸入した。10世紀にビザンツ帝国と同盟を結び、ギリシア正教会に改宗し、キリル文字が普及した。13世紀にモンゴル軍によってキエフが破壊された後、200年間モンゴルに支配された。その間にロシアの中心はモスクワに移り、15世紀にビザンツ帝国がオスマン帝国に滅ぼされたため、最後のビザンツ皇帝の姪を妃に迎えたモスクワ大公のイヴァン3世が皇帝の称号を受け継いだ。ウクライナは、領土を拡大したポーランドとロシアによって二分されたが、その後のロシアの勃興とポーランドの衰退によって全土がロシアに併合された。17世紀後半にピョートル大帝がスウェーデンを破ってバルチック艦隊を建設し、続くエカチェリーナ2世はオスマン帝国を破ってクリミア半島に黒海艦隊を建設した。19世紀後半、アレクサンドル2世はアロー戦争に乗じて清朝から沿海州を奪い、ウラジオストークに太平洋艦隊を建設した。ロシアと覇権を争うイギリスは、クリミア戦争と露土戦争でロシアのバルカン進出を阻止し、日英同盟を結んで日本にロシアを監視させた。

    19世紀末にロシアやフランスでユダヤ人虐殺事件や反ユダヤ主義が起きたため、シオニズム運動が始まった。ロスチャイルド家がイギリスの戦時国債を引き受ける代わりに、パレスチナはイギリスの委任統治領となり、ユダヤの受け入れが始まった。アメリカ民主党は移民受け入れに積極的で、ユダヤの票と資金力が民主党の躍進に貢献した。これを危惧した共和党は、1924年の移民法で門を閉ざしたため、ユダヤ人はパレスチナに流れ込んだ。1930年代は、ナチスのホロコーストによって大量のユダヤ難民がパレスチナに流れ込んだ。現在のイスラエルは、約束の地からアラブ人を追放するべきと主張する右派連合のリクードと、アラブ人との共存を受け入れようとする労働党が対立する。アメリカでも、民主党の対アラブ政策を批判するユダヤ人は共和党支持に回り、閣僚や政策アドバイザーとなってイラクやアフガニスタンの戦争を主導した。

  • 地理と歴史の面から分かりやすく書かれており、現在の国際情勢の基礎となる部分でも読んで損はない本だと思った。

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著者プロフィール

茂木 誠(もぎ・まこと)
ノンフィクション作家、予備校講師、歴史系 YouTuber。 駿台予備学校、ネット配信のN予備校で世界史を担当する。著書に、『経済は世界史から 学べ!』(ダイヤモンド社)、『世界史で学べ! 地政学』(祥伝社)、『超日本史』 (KADOKAWA) 、『「戦争と平和」の世界史』(TAC)、『米中激突の地政学』(WAC 出版)、『テレ ビが伝えない国際ニュースの真相』(SB 新書)、『政治思想マトリックス』(PHP)、『「保守」 って何?』(祥伝社)、『グローバリストの近現代史』(ビジネス社・共著)、『バトルマンガ で歴史が超わかる本』(飛鳥新書)、『「リベラル」の正体』(WAC 出版・共著)など。 YouTube もぎせかチャンネルで発信中。

「2022年 『ジオ・ヒストリア 世界史上の偶然は、地球規模の必然だった!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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