ユーロ恐慌 欧州壊滅と日本 (Econo-Globalists 19)

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著者 : 副島隆彦
  • 祥伝社 (2016年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396615802

ユーロ恐慌 欧州壊滅と日本 (Econo-Globalists 19)の感想・レビュー・書評

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  • 根本的問題とは, 為替価格と株価を操作して経済を発展させたいという儚い願望である。真に経済を起爆的発展させるには, 破壊的革新とそれに伴う連鎖革新を要する。10年代においてはその革新の筆頭は暗号通貨とblockchainであろう。そして, この革新は著者が日本の経済系の兆候として指摘する「国家独占金融資本主義」と明らかに矛盾する。なぜならば, これらの技術は非中央集権の分散系であり, これを管理せしめようとすることはこの技術の本義に反してしまうからだ。そして, この技術は, 現時点における銀行機構の存在意義を減少することにもなる。ただし, 暗号通貨のなかにも中央集権的余地を残すものがある。通貨革新の方向性が不覚にも支配的に確定してしまったとき, 管理狂はこの構造を利用したいと思うだろう。

    私は, 経済発展性について何も複雑に考える必要はなく, 人口動態と文化資本の継承性 • 発展性が経済系の持続的発展の要因であると思っている。第一に, 人口減少局域において経済の発展は難しい。第二に, たとえ人口が増加しても, 増加人口において文化資本が継承されていなければ, 蓄積可能であったはずの富を経済生態を麻痺させる帰結的な毒薬に費やしてしまう場合も多いにある。文化資本は人類が生み出した有用な無駄であるといえる。その有用な無駄を系の性能進化, すなわち, 効率性の向上; パレート改善と並列化できるかどうか, ということだ。

    その文化資本は学習を通じて形成される。永久国債の発行は終末の黙示であるが, ミルトン・フリードマンの示唆した教育バウチャーによるマネタリズムと, 学校選択制による学習機関の再編は個人的には一義あるように思う。

    自由市場経済において流動性は重要である。著者も指摘するように, 意図的に操作してきたツケが回ってくる日もそう遠くないのかもしれない。それはどれだけ警戒していたとしてもトリレンマの呪縛に嵌りかねない中国にも言えることだ。自由貿易の進展といいながらも一人勝ちを許されずに"協調"介入が行われる。経済学者の浜田宏一は通貨政策という名の為替操作を肯定的に捉えているが, その他国への影響はときに甚大なものとなる。そして, 各国は金融政策の独立という入子構造の中にあるから, 危害が表面化したときの実際的手段としては, 政策を端的に批判したり, 為替操作国として認定したり, 関税を引き上げたりするなどして結果的に通貨競争を生じさせる。自分から仕掛けたならば報復されるのは当然である。ゲーム理論において最強の兵法とはしっぺ返しであるということを改めて認識するべきだ。そして, ゲームのなかで横暴な独善者はいつまでも許容されることはなく囲い込まれる運命にある。だが独善者はそのことを知る由もなくますますメガロマニアと化していく。だから, 裏で各々が各々の弱みを握ろうと躍起になる。毅然たる資格を得ることができるのは, その弱みを持たない完全者だけである。真の為政者とは完全であらねばならない。そして散逸構造の建築を漸次進行しなければならない。
    米国覇権衰退が既定計画であっても中国だけが世界覇権を握ることはない。中国は微小な閾で闘いを強いられる。多極主義の世界になりうるか。そのとき日本は英米露との協働を許可されるか, 東亜 • 中東圏に属さなければならないのかは, この変遷期の命題であるという気がしている。

  • この本の著者の副島氏には社会人になりたての平成元年ころからお世話になっています。経済評論家まで隠れてこの人の本を買っているくらいの人気があるようで、将来について断言した解説をしているのがポイントです。

    この本は昨年(2016)11月に発行された本で、一年間に何冊も書かれている副島氏においては最新本でない可能性もありますが、欧州の状況を解説しています。

    かつて日本国債が破たんするという本が多く出されましたが、結局それが実現されないまま今に至っていて、もうそれを煽る本も少なくなってきました。その中で、この本においてそれに至る可能性が示されているのは不気味でした。

    現在行われているマイナス金利が、あと7年しかもたないとマーケットが見ている(p130)という記述は衝撃でした。昨年7月に、最大手の銀行である三菱UFJが国債を購入する特権を返上したニュースを聞いた時の驚き以来でした。

    この本ではそれらに対する資産防衛手段として、将来性のある日本株とゴールドの購入を推奨しています。最近ゴールドの価格は低調のようですが、いずれは上昇するとのことですから、今が買い時なのかもしれませんね。

    以下は気になったポイントです。

    ・ドイツ銀行はアメリカのシティバンクの子分を長年(敗戦後からずっと)やってきたので、シティバンクの尻ぬぐいをさせられた。シティバンクの扱ったサブプライムローンの焦げ付きを処理させられた(p18)

    ・黒田日銀総裁は、任期の2018年5月まで、日銀のマネタリーベースを増やすつもり。2013年3末の356兆円から、2016年12月の436兆円と増えている。理由は、ヘッジファンドからの日本国債暴落(金利上昇)の仕掛け攻撃を撃退するため(p32、39)

    ・アメリカが毎年30兆円も持っていくから、日本は悲惨になった。大企業の経営幹部はこのことを薄々知っているが怖くて言えない(p69)

    ・日本政府が債務の一部を低金利の永久債と交換する、これにより、その部分の債務リスクを完全に切り離すことができる(p73)

    ・三菱UFJ銀行が2016.7.15に、国債市場特別参加者(プライマリーディーラー:2004年導入)の資格を返上した。22社(証券会社19)で作るディーラーの筆頭格であった。彼らは特権的待遇を受ける代わりに、1行で全体の4%以上を応札(消化)する必要がある。大手銀行は3年前から、短期しか購入しないとした動きを見せていた(p76、78、132)

    ・年金資金(GPIF)は140兆円のうち25%を日本株に投入して株価を一生懸命吊り上げている(p84)
    ・イタリアのモンテ・ディ・パスキ・ディ・シエナ銀行が2016年1.20に取り付け騒ぎを起こしたが日本には全く報道されなかった。この銀行は世界最古の吟子いうで、イタリア4大銀行の一つである(p99)

    ・2012年2月に、IMFとアメリカ政府がギリシア国債について介入し、債権者に対して74%の棒引きを強引に飲ませた(p105)

    ・イギリスがEUから離脱したい本当の理由は、EU諸国が抱えている大借金を、イギリスが被らなければならず、今なら逃げれると考えていたから(p109)

    ・1960年のころ、1ポンド=1080の固定相場であった、一方1ドル=360円なので、3倍の実力。1916年の国際金本位制のころは、1ポンド=4.86ドルだったので、ポンドはドルの5倍の力があった。今や1ポンド=1.26ドル=128円であり、50年前の8分の1、イギリスの国家の信用がこの50年で8分の1に落ちたことになる(p112)

    ・ドイツ連銀は、6600億ユーロの債権残高がある。これは、欧州中銀であるECBからみれば大借金の債務残高である。この債権が健全であれば、強い国ということになる。しかし不良債権があれば別。いざとなればECBの出資比率(26.7%)の債務をかぶることになる(p121、122)

    ・2016.9には、最大手のドイツ銀行が、アメリカ司法省から140億ドルの制裁金を要求された。2007年までの住宅ローン担保証券(RMBS)の不正販売が理由(p122)

    ・ECBが抱える債務超過は、ドイツのユーロ圏での輸出超過、すなわちドイツの独り勝ちであった。こればイギリスがEUからの離脱を決める隠れた大きな要因であった(p125)

    ・償還期限が7年の国債から金利が急に高くなっている、これは「マイナス金利はあと7年(2023年)しかもたない」とマーケットが見ていることを示している。(p130)

    ・現在(2016)は、預金封鎖から70年、226事件(1936)から80年である。その事件で殺された高橋是清は、世界恐慌に対するデフレ対策としての積極財政であった、貿易促進のために円安を放置した。1ドル=2円だった為替相場を、5円まで放置した。同時に、国債の日銀引き受けもした。これは、現在の異次元緩和と同じ。異なることは、購入した国債の9割を市場で売っていたことが今と異なる(p135)

    ・アヘン戦争にイギリスにやられる前(1830年代)の、大清帝国は世界GDPの25%を持つ大帝国であった。中国人は今も、イギリスが最初のきっかけを作ったことを絶対に忘れてはいない(p145)

    ・英連邦である、カナダ、オーストラリア、南アフリカ、シンガポール、香港、インドでは、野球をしないでクリケットをする。この英連邦が、非鉄金属(銅、鉛、亜鉛、アルミ、スズ)を押さえている(p146)

    ・金の価格が4600円(小売価格、卸売り価格は400円マイナス)であれば購入すること(p147)

    ・金をはじめとする鉱物資源の価格決定権を、イギリスと中国がアメリカから取り戻そうとしている、欧州のロスチャイルド系の資本が、アメリカのロックフェラー系の衰弱を見越して動いている(p152)

    ・金を売ると消費税分が戻ってくるのがミソ、金という特殊な金属について回る面白い現象である。この1グラム300円(8%の差益を狙って日本に金を持ち込む人たちがいる(p158)

    ・アメリカ国内の1元=15円あたりが、ふたたび人民元の買い場である(p163)

    ・IMFは、2016.10.1付けで中国人民元が特別引き出し権(SDR)構成通貨に採用されるに伴い、構成通貨の相対比率を発表した。それによれば、1SDR=0.58ドル、0.38ユーロ、1.01元、11.9円、0.08英ポンド、であり今後5年間有効である(p166)

    ・イスラエル沖の巨大油田「バイアサン」の開発に、外国企業の参加が呼びかけられた(p177)

    ・時代は石油(原油)から天然ガスに移っている、この問題はアメリカ本土のシェールガス開発は大失敗ということ(p188)

    ・日本国は、アメリカ国債をこれまでに40年間買った残高を、総額で1000兆円くらい抱えている。これを、日本政府の8つある政府系銀行の中に、外債保有残高として積まれているが、絶対に公開しない。これにjは輸出大企業がニューヨークで米国債で資金運用しているものも含む(p197)

    ・2016.9.28に、大統領の拒否権を覆して法案が成立(拒否権が覆されるのはオバマ政権で初)し、テロ遺族がサウジアラビア政府を提訴できるになった、これにより両国関係の悪化は必至となる(p199)

    ・在日米軍が撤退する動きは始まっている、沖縄にいる8000人(家族入れて2万人)の海兵隊はいなくなる、表面上は、グアムのアンダーセン基地であるが、実際には予備役にいれるか、沿岸警備隊に再編入する、国境警備隊の編入も(p204)

    2017年2月26日作成

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