百瀬、こっちを向いて。

著者 :
  • 祥伝社
3.95
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本棚登録 : 1809
感想 : 413
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396632977

感想・レビュー・書評

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  • 「愛と恋の違いについて抱いているイメージがある。燃焼反応の化学式だ。愛とは状態のことで、恋とは状態が変化するときに放出される熱なのではないか。」

    「百瀬、こっちを向いて。」というタイトルがドキドキ。
    ずっと気になっていてようやく手に取る。
    高校生の恋愛短編集であったか。
    どうしても「桐島…」と比べてしまい、この本は主人公たちが所謂スクールカースト底辺ばかりなので歯痒いばかり。
    自分もこの頃「石ころ帽子」が本気で欲しかったから歪んだ自意識過剰さが尚更痛いんだろうけど。
    「百瀬、こっちを向いて」
    「なみうちぎわ」
    「キャベツ畑に彼の声」
    「小梅が通る」
    どれもそれなりにチクリとして、晴れない雲の中で目を凝らすような気持ちになる。あの頃のように。
    でも読後、あーあ全部書いちゃった。という気分になった。そこまで書かなくてもなあ。
    どれも素敵なお話しだったはずなのにな。

  • 面白かった!
    学生時代の恋愛って、学生時代にしかできないものだなぁとつくづく思う。

    中田さんの話は、いくえみ綾さんの漫画と世界観が似てる気がする。どちらも私の大好物だ。

  • 青春、恋愛、嘘、秘密。

    まだくっつく前のどきまぎした頃の話で、しかもどれも嘘とか秘密があって、ばれちゃったり、ばれなかったり。

    表題作の『百瀬、こっちを向いて。』は、もう、タイトルが秀逸。そして、ほおずきの花言葉のくだりと、最後がもう、本当、もう…!男の人は女の人を騙せるなんて思ってはいけませんね。恋愛に嘘は必要だとは思いますが、きっと「嘘だって知ってるけど、騙されてあげてる」ってこと、多いと思うんです。私は、そんな神林先輩みたいな女の人、大好きです。
    あと、実写化される(されてる?)みたいでちょっとプロモーション動画を観たのだけど、人間レベル2の主人公、格好良すぎじゃあありませんか?だって、成長した主人公、向井理ですよ?人間レベル90あると思うんですけど。

    他の短編も素敵でした。特に『なみうちぎわ』は海の底みたいな、いろんなものが絡み付いたお話で、描写が好きでした。

  • 久々恋愛小説。

    恋なんて、知らなければよかったのに
    という本の帯が印象的で購入しました笑)

    短編小説ですね。

    なみうちぎわ
    かなり好きです。


    この作品の中で愛と恋の違いについて語っています。

    愛とは状態のことで、
    恋とは状態が変化するときに放出される熱のよう。

    心が熱を発しながら、今よりも上の
    広くてふかい愛情の段階へ移行している。

    小太郎の心の中に宿した罪の意識や良心の呵責とは
    違う感情。
    それは拷問のようで
    息がくるしようなきもち。
    かなしいようなつらいようなもの。

    恋愛小説だからこその素敵なフレーズだなって思った。
    なんか気持ちが嬉しくなった。
    ありがとう笑)

  • 『百瀬、こっちを向いて。』
    タイトルが秀逸。ラストが秀逸。
    そこでこの言葉なのか、と思う。
    「」をつけないでかかれたその一言がすごく染みた。
    カップルじゃない同士の現在の会話と、過去の回想が交互に現れ
    先がどうなるんだろうと否応なく引き込まれる。
    神林先輩とほおずきの使い方、いいな。
    それに読み終えたあと、最初の部分読むと神林先輩は何もかも知ってた感じ。わお。
    作者は乙一という噂はあるが、田辺が愛知の大学ってあるからそうかもしれなくもない。どっちでもいいけど。

    『なみうちぎわ』
    この前、「LOVE or LIKE」で書いたから略。

    『キャベツ畑に彼の声』
    …だまされた!出だしとラストで。
    若干ミステリの枠組みでもいいんじゃないのか、と思う。大袈裟だけど。
    読んでて初夏の爽やかな青の空がずっと浮かんでた。
    さわやかだなーいいなー。
    作中、主人公が「なみうちぎわ」を読んだんだなと思わせる描写(たき火&1モル燃焼熱393キロジュール)がある。
    これは宣伝や作者の遊びではなくて、調べたことをもう一回著書の中で披露したかっただけなのではと思わなくもない。

    「小梅が通る」
    ナルトにカイジが出てくるなんて…作者若いな。てかジャンプ好きだよな。
    うまれてきてごめんなさい、って作中に出てくるし、やっぱ作者は乙一かもなァ。。。
    ポンポンとした会話のテンポ、女の子の切り返しが読んでて気持ちのいい作品。
    若干、そうゆうとこが「なみうちぎわ」にも似てるかな。

    【総括】
    全部読みやすく、鼻につかず、アタリだった。
    でも『百瀬~』が一番。
    まだ、どんな恋愛小説の作風が定まってないなかで思考錯誤しながら書いたような、ひた向きな感じがいい。
    人間レベル2(※この表現が…やっぱ、ぽいかも)で薄暗い電球の明るさしかないって卑下してる主人公が、自分を守るために恋愛にものすごく脅えてる主人公が、百瀬に惹かれてってちょっとだけ踏み出して悩んだりがんばったりする姿に、じんときた。

  • 短編、恋愛、学園モノ

    今まで、短編って、避けがちだったけど、短くてもちゃんとした物語があって完結すると、このボリュームで楽しめるなら、たくさん色んな物語に没入できて、楽しいね。
    心温まる系の作家さんなんだけど、また瀬尾さんとも小野寺さんとも寺地さんとも違った文体でステキです。

  • ・福岡が、舞台?、ということで手に取った。まだ、考え中だがそういうテーマの読書会を、みつけたので。参加できた。迷いに迷って前日。
    ・表題作
    百瀬こっちをむいてほか3編が収められてる。
    中田栄一さんは、いろんなペンネームで執筆されているようだ。

    主人公の相原くんは、地味でダサめなんだけど、神林さんや宮崎くんがちょっといない感じ。
    高校から卒業して8年ごくらいまでのはなし。
    で、宮崎くんは百瀬に舞姫渡したりして。

    んー。
    相原くん、あれだな。わたしは良かったと思うよ。久留米駅とか、博多駅とかでてくる。ストーリーとは関係ないかも。
    でも、知ってる情景が目に浮かんできてやっぱり土地ってあるかもって思い直した。

    ほおづきこわし。
    ・なみうちぎわ
    あぁ。こんなことあったら。5年も眠り続けるなんて。

    ・キャベツ畑に彼の声
    ・小梅が通る

  • きゅんきゅんした!!終始きゅんきゅんした!!!
    「小梅が通る」
    1番好き!!山本くんマジで素敵!!柚木ちゃんがこれから沢山の幸せに包まれますよぉに…!!
    あーー…恋っていいものだよなぁっとしみじみしてしまった。

  • 二つ目と四つ目が気に入りました。特に四つ目の、山本の鈍さがツボでした。気づかないもんなのかな、と。可愛い短編集でした。

  • タイトルの「百瀬、こっちをむいて」含む4編の短編恋愛小説からなる一冊。「なみうちぎわ」「小梅が通る」がよかった。特に「小梅が通る」の最後のシーンのヒロインの素直な気持ちは読者を引き込んでしまうものがあった。

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著者プロフィール

1978年福岡県生まれ、2008年『百瀬、こっちを向いて。』でデビュー。他の著書に『吉祥寺の朝日奈くん』『くちびるに歌を』『私は存在が空気』。別名義での作品も多数。

「2017年 『僕は小説が書けない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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