- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396633134
感想・レビュー・書評
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『粘菌ホラー』これでもかというくらい、粘菌のまがまがしい色彩と粘っこさを表現しています。
いくつかの無関係に見えるエピソードのピースが後半にぴたっとはまるのが小気味よい。
モンスターホラーというよりも、登場人物のひとり「Iターンの松岡隆夫」が徐々に壊れていくのが圧巻。 これだけを追っていっても一読の価値ありです。 -
るんびにの子供を読んで同じ作者のものを選んだ。久しぶりに陰にこもった日本的な怪奇譚を読んだ。人の念は怖いものだ。たしかに妬みや恨みは人を滅ぼす。鬱蒼とした森の中の粘ついた生き物が頭にこびりつき気持ち悪い。杏奈のダメージGジャンのくだりは私も泣き笑いした。アツ先生の魂にも感動。全体的に構成が上手いなぁと思う話でした。
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「不入森」に潜む怨念が動き出すとき、囚われた人の狂気と、それを絶つ黒い水...世界観が「蟲師」に似ているホラー。
怪異を通して人のこころの闇を浮き彫りにするあたりがおもしろい。
もうちと深みがあると良かったかも。 -
山や森の湿度感や、伝奇ホラーな感じ、、、このみ。
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事故で選手生命を絶たれ、中学教師となった金沢圭介が赴任した先は来年三月で廃校となる尾峨中学校。
愛媛と高知の県境、山の中にある小さな中学校に東京から吉田杏奈が転校してくる。
金髪で前の学校の制服を着る彼女はこの田舎では異質だ。
そしてもう一人、都会での人間関係に嫌気がさして早期退職し、Iターンで就農した松岡隆夫。
この無関係な3人が「入らずの森」で交錯したとき、なにかが蠢きはじめた・・・。
初めての作家さん。
圭介、杏奈、松岡、そしてもうひとり痴呆の母を看護するルリ子の多視点で話が進みます。
尾峨の三人はわかるのですが、なぜルリ子?と思いながら読み進めました。
そしてこれらが繋がってくるあたり、一気読みでした。
一見ホラーとみせかけて、これを科学的に説明してくれるところがとても好みでした。
いや、まあ不思議はあるんですけど。
伏線の回収もうまく、あれがここに繋がってくるか!という驚きを楽しませていただきました。
過去の猟奇殺人事件の犯人の最後や山の民のその後などなど。全て納得!
それにしても農村の人間関係がリアルで・・・。
やっぱり面倒くさいなぁ、と思いましたね。
どこまでいってもおんなじですよね。
そういえば南方熊楠といえば、鳥飼さんの『異界』を思い出すのですが、ここでもアレをさして「異界」という表現がみられました。
やっぱりアレを知る人は同じ感想をもつのでしょうか。
リアルで見てみたいです。 -
擬態語というか擬音語というか、そこ頑張ってました。
こういう世界を表現するのって、伝え方ひとつ。
マンガ「蟲師」は読めばその世界観がすんなり伝わる。
この作品はそこがちょっと…。
地元愛媛の作家さんだけに応援したいですけど。 -
090612
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県の境目にある村。
そこに赴任している先生、親の離婚でやってきた生徒
Iターンで住み込んだ夫婦。
この3つが軸になって話が進んでいきます。
ごく普通の、よくある村のいざこざや人懐っこさや
人を排斥する、そんな地域の話かと思いきや…。
よくよく見れば、表紙もそんな感じでした。
普通から、じわりと普通ではない世界へと進んでいくのですが
そこを想像してしまうとちょっと怖いです。
むしろ、そんなものに遭遇したら、ダッシュで逃げさせていただきます(笑)
夜読んでも大丈夫! な怖さでした。